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排煙窓(無窓解除)と排煙設備(設備要求)の違いを解説

  • 建築設計の上で必ず悩むのが、排煙設備要求
  • 排煙窓(排煙上有効な開口部)と排煙設備は異なる

上記を理解するための記事です。

こんにちは。YamakenBlogです。
YmakenBlogでは、建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ豆知識を発信しています。

はじめに排煙窓と排煙設備の違いについて説明します。




排煙窓と排煙設備の違い

排煙窓排煙設備
法令建築基準法施行令第116条の2第2項第二号建築基準法施行令第126条の2第1項
対象建築物居室を有する全ての建築物・特殊建築物で延べ面積500㎡を超える建築物
・排煙窓を有しない居室
・延べ面積が1,000㎡を超える建築物の居室(床面積200㎡超)
概要居室の床面積の1/50以上の開口部(天井から下方0.8m以内の窓等)床面積500㎡以内ごとに防煙壁(天井面から下方0.5m以上の垂れ壁)により区画
留意点有効な開口部を有しない場合は、排煙設備の設置が必要対象部分が建築物の場合には、全ての室(居室・非居室・廊下等)に排煙設備の設置が必要
※排煙窓と排煙設備の違い

はじめに結論からお伝えしていきます。

排煙窓は、建築基準法施行令第116条の2第1項第二号の無窓に関する開口部のことをいいます。

床面積の50分の1以上の開口部を求めており、この開口部を有しない建築物は、法第35条(特殊建築物等の避難及び消化に関する技術的基準)が適用されることにより、避難関係に関する基準に適合するよう設計する必要があります。

[建築基準法施行令第116条の2](窓その他の開口部を有しない居室等)・・・抜粋
法第35条の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号に該当する窓その他の開口部を有しない居室とする。
一 (略)
二 開放できる部分(天井又は天井から下方80㎝以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の50分の1以上のもの

建築基準法施行令第116条の2

なお、この窓ですが、開放できる窓(いわゆる一般的な窓)であればよく、火災時における窓の開口が容易にできるかどうかの必要はないんです。ですから、開閉可能な窓が設置されていればOKです。

一方で、排煙設備は、その排煙機能を確保するための構造を施行令第126条の3に適合するよう設計する必要があります。

この施行令第126条の3については、防煙壁での区画や材料、オペレーターの位置などについて詳細に基準が決められており、排煙窓とは全く異なるものです。

なお、『設備』という文言から機械的なものをイメージする方がいますが、そのようなことはありません。

ごく普通の窓に、窓を開放するためのオペレーター(クレセントなどの手動開放装置)を設置しているだけのものが主流と考えられます。

詳しくは後ほど解説します。

では、法第35条についてみていきます。

参考:排煙設備要求について

法の文中では、
「〜(略)〜政令(施行令第116条の2)で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物〜(略)〜排煙設備、非常用の照明装置及び進入口並びに敷地内の避難上及び消化上必要な通路は、政令(排煙設備の規定は施行令第126条の2、及び施行令第126条の3)で定める技術的基準に従つて、避難上及び消化上支障がないようにしなければならない。」

と記載され、施行令第116条の2第1項第二号では、
開放できる部分(天井又は天井から下方80㎝以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の1/50以上のもの」となっています。

繰り返しとなりますが、この”排煙窓”が確保されていない場合は、施行令第126条の2及び同令第126の3の規定に基づき、”排煙設備”の設置要求が生じます。

なお、施行令第126条の2では、適用除外(住宅では2階・延べ面積200㎡以下など)できるケースがあります。

排煙設備要求のまとめ

排煙設備要求が生じる建築物・居室の概要版としてまとめました。

条項等排煙設備要求が生じる建築物等
施行令第116条の2第1項第二号排煙上有効な開口部の面積の合計が、居室の床面積の1/50未満の居室
施行令第126条の2第1項法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が500㎡超
施行令第126条の2第1項3階以上で延べ面積が500㎡超の建築物
(※建築物の高さ31m以下の部分にある居室で床面積100㎡以内ごとに防煙区画された部分を除く)
施行令第126条の2第1項延べ面積が1,000㎡を超える建築物の居室で、その居室の床面積が200㎡超
(※建築物の高さ31m以下の部分にある居室で床面積100㎡以内ごとに防煙区画された部分を除く)

排煙設備の適用除外規定

排煙設備の設置が免除される規定があります。

令第126条の2第1項各号に規定されており、一号から五号まで記載されています。
また、階避難安全検証法等により安全が確かめれた建築物が適用除外とすることが可能です。

1)施行令第126条の2第1項第一号〜第五号

  • 一号:法別表第1(い)欄(2)項の特殊建築物で準耐火構造・防火設備で区画(100㎡以内、共同住宅の住戸は200㎡以内)
  • 二号:学校等
  • 三号:階段、昇降機の昇降路の部分等
  • 四号:機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫等(主要構造部が不燃材料)
  • 五号:平成12年建設省告示第1436号(詳細は省略しますが、同告示第四号を確認)

2)階避難安全検証法、全館避難安全検証法が確かめられた建築物

法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が500㎡を超えるもの、階数が3以上で延べ面積が500㎡を超える建築物(建築物の高さが31m以下の部分にある居室で、床面積100㎡以内ごとに、間仕切壁、天井面から50㎝以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下「防煙壁」という。)によつて区画されたものを除く。)、第116条の2第1項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が1,000㎡を超える建築物の居室で、その床面積が200㎡を超えるもの(建築物の高さが31m以下の部分にある居室で、床面積100㎡以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
一 法別表第一(い)欄(2)項に掲げる用途に供する特殊建築物のうち、準耐火構造の床若しくは壁又は法第2条第九号の二ロに規定する防火設備で区画された部分で、その床面積が100㎡(共同住宅の住戸にあつては、200㎡)以内のもの
二 学校(幼保連携型認定こども園を除く。)、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場(以下「学校等」という。)
三 階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分
四 機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの
五 火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるもの

建築基準法施行令第126条の2

排煙設備の構造

排煙設備の場合、施行令第126条の3の規定に基づく構造が必要であり、具体的には防煙壁による排煙区画や排煙オペレーターの設置などが必要になってきます。

排煙上有効な開口部は一般的な引き違い窓などで良いですが、排煙設備は手動解放装置を設置するなどの要求が生じますので、設計の際には、法文を読み解くとともに、「防火避難規定の解説」を確認するようにしましょう!

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おわりに

飲食店等の方は、排煙設備が機能するか確認するようにしましょう。
たまに、どうやって引っ張るんだって!思うオペレーターを設置している飲食店等が見受けられます。建築基準法違反です。

ということで、今回は、「排煙」の規定をまとめてみました!!

ちょっと専門性が高くなってしまいましたが、知っていて悪いことはありません。

>>こちらの記事も排煙について理解する上で助けになると思います。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など