「排煙窓」と「排煙設備」の違いとは?(排煙無窓を含めて解説)

今回の記事
・建築設計の上で必ず悩むこととなるのが、排煙設備要求
・排煙窓(排煙上有効な開口部)と排煙設備は異なることについての理解

この記事では上記について簡単に理解してもらうための解説記事です。

こんにちは。やまけんです!

なお、排煙無窓に関する規定には、法第35条、法第35条の2の2種類があり、今回はそれぞれ説明していきます。※今回の記事における法第35条の2は、最後におまけ的に記載しています。




排煙窓と排煙設備の違い

はじめに結論からお伝えしていこうと思います。

排煙窓は、建築基準法施行令第116条の2第1項第二号の無窓に関する開口部のことをいいます。

施行令を確認すると分かりますが、床面積の50分の1以上の開口部を求めており、この開口部を有しない建築物は、法第35条(特殊建築物等の避難及び消化に関する技術的基準)が適用されることにより、避難関係に関する基準に適合するよう設計する必要があります。

[建築基準法施行令第116条の2](窓その他の開口部を有しない居室等)・・・抜粋
法第35条の規定により政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、次の各号に該当する窓その他の開口部を有しない居室とする。
一 (略)
二 開放できる部分(天井又は天井から下方80㎝以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の50分の1以上のもの

なお、この窓ですが、開放できる窓(いわゆる一般的な窓)であればよく、火災時における窓の開口が容易にできるかどうかの必要はないです。ですから、窓が設置されていればOKです。

一方で、排煙設備は、その排煙機能を確保するための構造を施行令第126条の3に適合するよう設計する必要があります。

この施行令第126条の3については、防煙壁での区画や材料、オペレーターの位置などについて詳細に基準が決められており、排煙窓とは全く異なるものです。

なお、『設備』という文言から機械的なものをイメージする方がいますが、そのようなことはありません。ただの窓に開放するためのオペレーターを設置しているだけのものが主流と考えられます。詳しくは後ほど解説します。

では、法第35条についてみていきます。

参考:排煙設備要求について

法の文中では、
「〜(略)〜政令(施行令第116条の2)で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物〜(略)〜排煙設備、非常用の照明装置及び進入口並びに敷地内の避難上及び消化上必要な通路は、政令(排煙設備の規定は施行令第126条の2、及び施行令第126条の3)で定める技術的基準に従つて、避難上及び消化上支障がないようにしなければならない。」

と記載され、施行令第116条の2第1項第二号では、
開放できる部分(天井又は天井から下方80㎝以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の1/50以上のもの」となっています。

繰り返しとなりますが、この”排煙窓”が確保されていない場合は、施行令第126条の2及び同令第126の3の規定に基づき、”排煙設備”の設置要求が生じます。

なお、施行令第126条の2では、適用除外(住宅では2階・延べ面積200㎡以下など)できるケースがあります。

参考:法第35条の2(内装制限)について

法の文中では、
「〜(略)〜政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物〜(略)〜は、政令で定めるものを除き、政令で定める技術的基準に従つて、その壁及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならない。」

と記載され、
施行令第128条の3の2第一号では、「床面積が50㎡を超える居室で窓その他の開口部の解放できる部分(天井又は天井から下方80㎝以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の1/50未満のもの」となっています。

この”排煙窓”が確保できていない場合、施行令第128条の5第5項の規定により、居室及び避難経路に準不燃材料の要求(内装制限)が生じます。

排煙設備要求のまとめ

排煙設備要求が発生する場合を概要版としてまとめました。

条項等 排煙設備要求が生じる建築物等
施行令第116条の2第1項第二号 排煙上有効な開口部の面積の合計が、居室の床面積の1/50未満の居室
施行令第126条の2第1項 法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が500㎡超
施行令第126条の2第1項 3階以上で延べ面積が500㎡超の建築物
(※建築物の高さ31m以下の部分にある居室で床面積100㎡以内ごとに防煙区画された部分を除く)
施行令第126条の2第1項 延べ面積が1,000㎡を超える建築物の居室で、その居室の床面積が200㎡超
(※建築物の高さ31m以下の部分にある居室で床面積100㎡以内ごとに防煙区画された部分を除く)

排煙設備の適用除外規定

排煙設備の設置が免除される規定があります。

令第126条の2第1項各号に規定されており、一号から五号まで記載されています。
また、階避難安全検証法等により安全が確かめれた建築物が適用除外とすることが可能です。

1)施行令第126条の2第1項第一号〜第五号

  • 一号:法別表第1(い)欄(2)項の特殊建築物で準耐火構造・防火設備で区画(100㎡以内、共同住宅の住戸は200㎡以内)
  • 二号:学校等
  • 三号:階段、昇降機の昇降路の部分等
  • 四号:機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫等(主要構造部が不燃材料)
  • 五号:平成12年建設省告示第1436号(詳細は省略しますが、同告示第四号を確認)

2)階避難安全検証法、全館避難安全検証法が確かめられた建築物

排煙設備の構造

排煙設備の場合、施行令第126条の3の規定に基づく構造が必要であり、具体的には防煙壁による排煙区画や排煙オペレーターの設置などが必要になってきます。

排煙上有効な開口部は一般的な引き違い窓などで良いですが、排煙設備は手動解放装置を設置するなどの要求が生じますので、設計の際には、法文を読み解くとともに、「防火避難規定の解説」を確認するようにしましょう!

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おわりに

飲食店等の方は、排煙設備が機能するか確認するようにしましょう。
たまに、どうやって引っ張るんだって!思うオペレーターを設置している飲食店等が見受けられます。建築基準法違反です。

ということで、今回は、「排煙」の規定をまとめてみました!!

ちょっと専門性が高くなってしまいましたが、知っていて悪いことはありません。

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