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建築基準法第27条(耐火建築物等)のまとめ[改正概要など]

今回は「建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号):平成30年6月27日公布」から、改正法のポイントの一つである「戸建住宅等の福祉施設等への用途変更に伴う制限の合理化」について、建築基準法第27条も含めて解説したいと思います。

こんにちは。山好き建築士です!!

法第27条第1項については、以前の法改正以降、自分自身も曖昧にしていたところもあったので、詳しく記事にしてみました!

なお、公布された法律は、1年以内施行となっておりますので、法改正に合わせて変更される施行令等の概要が分かりましたら、このブログでも紹介します!

👉こちらの記事は平成30年に公布された建築基準法をもとに解説を行なっているもので、改正までの経過や改正の目的などを掲載しています。最新の記事はこちらをご覧ください。




平成30年改正の建築基準法第27条

※今回改正された部分をで示しています。まずは、法律からの解説です。

(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)
第27条 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、その主要構造部を当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでの間通常の火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、かつ、その外壁の開口部であつて建築物の他の部分から当該開口部へ延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。
一 別表第1(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供するもの(階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの(同表(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(2)項に掲げる用途で政令で定めるものに供するものにあつては、政令で定める技術的基準に従つて警備設備を設けたものに限る。)を除く)
二 別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分(同表(1)項の場合にあつては客席、同表(2)項及び(4)項の場合にあつては2階の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計が同表(は)欄の当該各項に該当するもの
三 別表第1(い)欄(4)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が3,000㎡以上のもの
四 劇場、映画館又は演芸場の用途に供するもので、主階が1階にないもの(階数が3以下で述べ面積が200㎡未満のものを除く。)
2 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物としなければならない。
一 別表第1(い)欄(5)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する3階以上の部分の床面積の合計が同表(は)欄(5)項に該当するもの
二 別表第1(ろ)欄(6)項に掲げる階を同表(い)欄(6)項に掲げる用途に供するもの
3 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物(別表第1(い)欄(6)項に掲げる用途に供するものにあつては、第2条第九号の三ロに該当する準耐火建築物のうち政令で定めるものを除く。)としなければならない。
一 別表第1(い)欄(5)項又は(6)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が同表(に)欄の当該各項に該当するもの
二 別表第2(と)項第四号に規定する危険物(安全上及び防火上支障がないものとして政令で定めるものを除く。以下この号において同じ。)の貯蔵場又は処理場の用途に供するもの(貯蔵又は処理に係る危険物の数量が政令で定める限度を超えないものを除く。

建築基準法27条第1項(特定避難時間等倒壊防止建築物)

第一号

特定避難時間等倒壊防止建築物(※)としなければならないのは、法第27条第1項第一号の規定においては、3階以上の階を以下の(い)欄(1)項〜(4)項の用途に供する建築物です。

(※)特定避難時間等倒壊防止建築物(用語の定義:施行令第109条の2の2)
主要構造部が施行令第110条で定める技術的基準に適合し、大臣構造方法又は大臣認定
施行令第110条の2で定める防火設備(施行令第110条の3で定める技術的基準に適合し、大臣構造方法又は大臣認定)
なお、この記事では、これに関する施行令と告示をまとめています。

別表第1の抜粋

(い) (ろ)
用途 (い)欄の用途に供する階
(1) 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの
※政令未制定
3階以上の階
(2) 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの
※施行令第115条の3第1号:児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む)
3階以上の階
(3) 学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの
※施行令第115条の3第2号:博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場
3階以上の階
(4) 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの
※施行令第115条の3第3号:公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を含む店舗(床面積が10㎡以内のものを除く。)
3階以上の階

平成30年の建築基準法改正内容

今回の改正により、3階部分を別表第1(1)項〜(4)項の用途に供する建築物でも延べ面積が200㎡未満であれば、特定避難時間等倒壊防止建築物としなくてもよくなります
概要は、下の図を参照してください。
ただし、(2)項の用途で施行令おそらく、今後、新たに施行令が定められ、その中で福祉施設が定められるはずです。で定める建築物については、施行令(今後、制定されるはずですが、在館者の避難措置、警報設備が規定されると想定)で定める技術的基準に適合しなければなりません。
注)今後の政令案の公表を待ちましょう!

パブコメ(2018/12/7〜)により、施行令で定める建築物が判明

パブコメによると、(2)項の用途で政令で定める建築物は、次のとおりです。

病院、診療所(病床あり)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等(就寝利用があるもの)
また、警報設備の技術的基準も判明しました!
天井又は壁の屋内に面する部分および天井裏の部分に、いずれの室(火災の発生のおそれの少ない室を除く)で火災で発生した場合においても、有効に火災の発生を感知することができる方法により設置し、建築物の各階に火災の発生を有効かつ速やかに報知することができる構造方法
※出典:平成30年改正建築基準法に関する説明会(第1弾)資料1 国土交通省公表資料

第二号

特定避難時間等倒壊防止建築物としなければならないのは、法第27条第1項第二号の規定においては、以下のとおりです。
(い)欄(1)項客席が200㎡以上(屋外観覧席は1,000㎡以上)
(い)欄(2)項:2階が300㎡以上(病院・診療所は患者の収容施設がある場合に限る)
(い)欄(3)項:2,000㎡以上
(い)欄(4)項:2階が500㎡以上

別表第1の抜粋

(い) (は)
用途 (い)欄の用途に供する部分((1)項の場合にあつては客席、(2)項及び(4)項の場合にあつては2階、(5)項の場合にあつては3階以上の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計
(1) 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの
※政令未制定
200㎡(屋外外観覧席にあつては、1,000㎡)以上
(2) 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの
※施行令第115条の3第1号:児童福祉施設等(幼保連携型認定こども園を含む)
300㎡以上
(3) 学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの
※施行令第115条の3第2号:博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場
2,000㎡以上
(4) 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの
※施行令第115条の3第3号:公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を含む店舗(床面積が10㎡以内のものを除く。)
500㎡以上

第三号

百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの ※施行令第115条の3第3号:公衆浴場、待合、料理店、飲食店又は物品販売業を含む店舗(床面積が10㎡以内のものを除く。)」の用途に供する部分の床面積が3,000㎡以上のもの

第四号

劇場、映画館又は演芸場の用途に供するもので、主階が1階にないもの(階数が3以下で述べ面積が200㎡未満のものを除く。)

(平成30年の建築基準法改正)
赤線
が、平成30年の改正部分となります。
これにより、3階以下で延べ面積が200㎡未満であれば、特定避難時間等倒壊防止建築物とする必要がなくなります。

 

特定避難時間等倒壊防止建築物について(施行令と告示の解説)

施行令第110条第一号イ・ロ・ハ、同令110の2及び3(抜粋)

主要構造部 通常の火災による加熱が加えられた場合に、加熱開始後、変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないこと
壁(間仕切壁・外壁の耐力壁)・柱・床・はり 特定避難時間(※)
屋根(軒裏を除く) 30分間(特定避難時間が30分間未満である場合は特定避難時間)
階段 30分間

(※)特定避難時間
特殊建築物の構造、建築設備及び用途に応じて当該特殊建築物に在する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでに要する時間をいう。

●壁・床・屋根の軒裏
通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後特定避難時間当該加熱面以外の面(屋内)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないこと等
●外壁・屋根
屋内において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後特定避難時間屋外に火炎を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないこと
●延焼のおそれのある開口部
片面20分の防火設備

告示(平成27年国交省告示第255号)(抜粋)

告示 建築物の区分 主要構造部等 外壁の開口部
第1第一号 法第27条第1項第二号 準耐火構造等 両面20分防火設備
第1第二号 3階建ての共同住宅 1時間準耐火基準
建築物周囲通路基準
両面20分防火設備
第1第三号 3階建ての学校等 1時間準耐火基準
建築物周囲通路基準
両面20分防火設備
第1第2項 告示第1第一号〜第三号以外 耐火構造等 両面20分防火設備

※上表以外に告示第3の規定

以上、ここまでが、建築基準法第27条第1項の規定になります。
特定避難時間難しい!これについてはつまり大臣認定・・・( ・∇・)

建築基準法第27条第2項・第3項

同条第2項(耐火建築物)

一号:3階以上の部分が①かつ②

①「倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの※政令未制定」の用途に供する
②床面積が200㎡以上

二号:3階以上の階を「自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの ※政令:施行令第115条の3第4号:映画スタジオ、テレビスタジオ」

同条第3項(耐火建築物又は準耐火建築物)

一号:

「倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの※政令未制定」の用途に供する部分の床面積の合計が1,500㎡以上
「自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの ※政令:施行令第115条の3第4号:映画スタジオ、テレビスタジオ」の用途に供する部分の床面積の合計が150㎡以上
※「自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの ※政令:施行令第115条の3第4号:映画スタジオ、テレビスタジオ」はロ−1準耐(外壁耐火)はNG

二号:

危険物の貯蔵場又は処理場の用途に供する建築物(別表第2(と)項四号の危険物、施行令第116条参照)

まとめ

今回は、建築基準法第27条についてまとめました。
詳細なまとめではないですが、参考になれば幸いです。今後とも当ブログを宜しくお願いいたします。٩( ‘ω’ )و

建築基準法は”例外”や”ただし”が多く、プロでも法の解釈に悩み苦しむことが良くあります。注意はしておりますが、間違いがあるやもしれませんがご容赦ください。掲載する情報はあくまでも日常生活の知恵の一つの参考程度と思ってくださいネ。私のブログを読んで頂いた方が建築基準法に関心も持って頂けば幸いです。

 






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など