設計用一次固有周期(T)と振動特性(Rt)の関係を解説

今回は、一級建築士試験向けの記事です。

こんにちは!やまけんといいます。

普段は、建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ豆知識を発信しているブロガーです。

よく建築士試験では、設計用一次固有周期と振動特性が出題されます。

お節介ながらあまり法律に触れることが少ないと思う受験生向けに実際に法的にどうのように規定されているのか説明していきたいと思います。




施行令第88条第1項(地震力)

施行令第88条第1項の規定は、地震力の計算規定です。どのように規定されているかと次のようになっています。

建築物の地上部分の地震力については、当該建築物の各部分の高さに応じ、当該高さの部分が支える部分に作用する全体の地震力として計算するものとし、その数値は、当該部分の固定荷重と積載荷重との和(第86条第2項ただし書の規定により特定行政庁が指定する多雪区域においては、更に積雪荷重を加えるものとする。)に当該高さにおける地震層せん断力係数を乗じて計算しなければならない。この場合において、地震層せん断力係数は、次の式によつて計算するものとする。

建築基準法施行令第88条第1項前段の抜粋

基本的には、Ci(地震層せん断力係数)*ΣWi(固定荷重+積載荷重+多雪区域の場合は積雪荷重)で求めることができ、同項では、Ci(地震層せん断力係数)の算出方法が規定されており、以下のようになります。

Ci=Z*Rt*Ai*Co

  • Z:その地方における過去の地震記録に基づく震害の程度及び地震活動の状況その他地震の特性に応じて1.0〜0.7までの範囲内において国土交通大臣が定める数値
  • Rt建築物の振動特性を表すものとして、建築物の弾性域における固有周期及び地震の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により算出した数値
  • Ai:建築物の振動特性に応じて地震層せん断力係数の建築物の高さ方向の分布を表すものとして国土交通大臣が定める方法により算出した数値
  • Co:標準せん断力係数

Rt昭和55年建告第1793号第2に規定

ここで、Rtは”T”と”Tc”の関係により求めることができます。

T<Tcの場合Rt=1
Tc≦T<2Tcの場合Rt=1-0.2*(T/Tc-1)2
2Tc≦Tの場合Rt=1.6Tc/T

まずは、Tについてです。

T:設計用一次固有周期(s)

T=h(0.02+0.01α)

h:当該建築物の高さ(m)
α:当該建築物のうち柱及びはりの大部分が木造又は鉄骨造である階(地階を除く。)の高さの合計のhに対する比
※RC造のαは0

*鉄骨造と鉄筋コンクリートとでは、どちらが長い周期となるのか、高さをh(m)とすると
S  造:T=0.03h
RC造:T=0.02h  となり、高さが同じ場合、S造の方が長くなります。

Tc:基礎地盤の種別に応じた数値(s)

第一種地盤:0.4(岩盤、硬質砂れき層等)→硬質地盤
第二種地盤:0.6(第一種・第二種以外) →普通地盤
第三種地盤:0.8(腐葉土、泥土等)   →軟質地盤

具体的な計算例を上げてRt(振動特性)を求めてみます

計算例:S造、h=20m、第二種地盤

T=10m(0.02+0.01*1)=0.3(s)
Tc=0.6(s)

上表より、Rtは、T(0.3)<Tc(0.6)の関係となり、Rt=1となります

次にh=50mの場合はどうなるかというと
T=50m(0.02+0.01*1)=1.5(s)
上表より、Rtは、2Tc(1.2)≦T(1.5)の関係となり、Rt=1.6Tc(0.6)/T(1.5)=0.64

よって、固有周期が長くなれば、Rt(振動特性)は小さくなる

つまり、固有周期が短くなれば、RT(振動特性)は大きくなります。

また、三種地盤(軟弱地盤0.8)の場合は、Tc(0.8)≦1.5<2Tc(1.6)の関係となり、Rt=1-0.2(T(1.5)/Tc(0.8)-1)2=0.85となるため、Rt(振動特性)は大きくなる。

以上のように計算すること顔

まとめ

T(設計用一次固有周期)が長い(短い)Rt(振動特性)が小さい(大きい)






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など