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建築確認・中間検査・完了検査を行わなかった又はうっかり忘れた場合の対処法

この記事でわかること

建築確認申請、中間検査、完了検査などの事務手続きを怠った場合の対処方法に関して、私が過去に在籍した特定行政庁における対処方法をお伝えします。
注)特定行政庁によっては厳しい指導を行っている場合もあるので参考程度にとどめてください。

こんにちは!YamakenBlogです。

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忘れることもある…

私が特定行政庁に在籍していた時代は、年に2・3回くらいはあったなという印象です。

特に自治体の裁量で決める中間検査を失念してしまうケースが多いですが、理由としては、❶工事監理者が失念。❷工事監理者と施工者との調整不足。❸施工管理者の失念。かと思います。

中間検査が必要かどうかは特定行政庁が規則等で定めており個々の自治体で異なることから忘れられがちです。中間検査の認知度(重要度)が低いことも理由の一つかなと思います。

もちろん中間検査が必要な建物は確認申請書に記載しているため、申請を担当した建築士は認識しているはずです。ですが、現場を止めらずに中間検査を受ける金物工事を通り越して外壁・内壁を施工してしまうと取り返しがつかない状況に陥ります。

完了検査については、ローン審査の関係があるので検査率が高いですが、ローンを組んでいない小規模な建築物の場合で、建築士さんが確認申請のみの契約で建築主さんがDIYの場合には普通にスルーするケースが多いです。

近隣からの通報で発覚することが多いです。
近隣の方は確認看板が掲示されていない場合は怪しいと思い役所に確認の電話をします。

なお、都市計画区域外で小屋暮らし系YouTuberが建てているDIY小屋は規模的に確認申請は不要かと思いますが、明らかにに構造には違反しています。通報されていないだけなので使用の継続は生命に危険が及ぶので注意してください。

補足:都市計画区域外での小規模建築の場合には建築工事の届出のみ

罰則規定

お伝えすべきこととしては罰則規定があることです。

罰則規定

1年以下の懲役又は100万円以下の罰則
・違反者:確認申請手続き違反者,完了検査の合格前に使用した違反者
・施工者:中間検査の合格前に特定工程後の工程に着手した施工者
・申請者:完了検査及び中間検査手続き違反者

[建築基準法法第99条第1項(抜粋版)]*分かりやすくするため( )書きを削除してます。次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
一 第6条第1項第7条の6第1項又は第68条の19第2項の規定に違反した者
二 第6条第8項又は第7条の3第6項の規定に違反した場合における当該建築物、工作物又は建築設備の工事施工者
三 第7条第2項若しくは第3項又は第7条の3第2項若しくは第3項の期限内に第7条第1項又は第7条の3第1項の規定による申請をせず、又は虚偽の申請をした者

建築基準法第99条第1項

罰則に関する補足

確認申請手続きを行わずに物置を設置したのだろうと思われる事案に出くわしたことがありますが、手続き違反だけじゃなく、場合によっては、適法に建てた建築物が違反する恐れ(延焼のおそれのある範囲が変わることにより、防火構造や防火設備要求が発生する)があるので、注意が必要です。

このほかにも、基礎や避難規定などの条項に違反している可能性が十分にあります。

法人の方は、法第105条第1項第一号の規定により、構造、防火避難関係規定などに違反した1億円以下の罰金刑です、、、。

不動産を購入する際も注意が必要ですので、購入する際は、確認済証と完了検査済証がある建築物であることを確認した方が良いです。

補足として近年は既存ストック活用の流れでリフォームやリノベーションが増えてきています。その中で、建物用途の変更の際に用途変更確認申請を行うのを失念しまったケースがあるようです。忘れてしまった場合の罰則についてはこちらの記事に書いておりますので良かったらご覧ください。

ではでは、それでも”やってしまった場合”の対象方法について解説していきます。

手続き違反した場合の対処法

在籍していた特定行政庁での対処方法ですが、次の方法をとっていました。

一般的な対応方法でもあります。
なお、特定行政庁について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

特定行政庁を知るための補足記事

  • 建築基準法第12条第5項に基づく報告

建築基準法第12条第5項は、特定行政庁等が建築主等に対して建築物の敷地や構造などに関して状況の報告を求めることができる規定です。

【建築基準法第12条第5項】
 特定行政庁、建築主事又は建築監視員は、次に掲げる者に対して、建築物の敷地、構造、建築設備若しくは用途、建築材料若しくは建築設備その他の建築物の部分(以下「建築材料等」という。)の受取若しくは引渡しの状況、建築物に関する工事の計画若しくは施工の状況又は建築物の敷地、構造若しくは建築設備に関する調査(以下「建築物に関する調査」という。)の状況に関する報告を求めることができる
一 建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者、建築主、設計者、建築材料等を製造した者、工事監理者、工事施工者又は建築物に関する調査をした者
二 第77条の21第1項の指定確認検査機関
三 第77条の35の5第1項の指定構造計算適合性判定機関

建築基準法第12条第5項

確認申請手続き違反のケース

確認申請手続き違反であれば、一旦施工を中止した上で、建築確認申請同等の手続きを行うこととなります。同等の手続きを建築基準法第12条第5項の報告において特定行政庁がチェックを行います。

この手続きを経たからと言って適法であることの確認済証は交付されません。ですが、報告書の副本を返すことで建築確認済証の交付を受けたものとみなすこととしておりました。

どうしても確認済証の交付を受けたい場合には、解体更地にした上で再度確認申請を行う必要があります。

行政庁の中には近隣等への影響を鑑みて、影響がないようであれば12条第5項の報告で顛末書+反省書の提出でOKにして確認申請を提出するよう指導してくれる場合があるかもしれません。

中間検査違反のケース

中間検査手続き違反の場合は、すでに特定工程後の工程に着手してしまい、チェック箇所が覆われてしまい確認することができなくなっている可能性が高いです。
*特定工程とは床スラブの配筋工事や木造金物工事などです。

しかしながら、中間検査の場合、すでに工事が進んでいるとコンクリートや壁等により覆われているため梁や仕口などの特定工程の状況をチェックできないです。このため、再度検査するため、部分的に撤去する必要があります。

その上で、建築基準法第12条第5項に基づく報告を提出します(内容は中間検査と同じです)。中間検査の場合には失念してしまうと取り返しのつかない手戻り工事が発生するため注意が必要となります。

なお、違反発覚後の手続きでは12条5項による対応となるため中間検査済証は交付されないので注意が必要です。

完了検査違反

最後に完了検査の手続き違反についてです。

設備や家具を置いて使用している状況ですと、完了検査できない箇所等が生じてしまうので、部分的に設備の移動等が必要となる可能性があります。これについても、違反発覚後は建築基準法第12条第5項に基づく報告を提出してもらいます(提出する内容は完了検査申請と同じです)。

なお、中間検査同様に検査して適法だとしても、書類上は検査済証は発行されないので注意が必要です。

ローン審査で完了検査済証が必要なため完了検査の申請を忘れる方はいないとは思いますが検査済証が無い建物は増築が難しくなる上に法基準の適合性も確認できない無いため、そうした点では資産価値が低くなります。

単純に完了検査を失念した場合(役所にバレる前段階であることが前提)には、数日から数週間以内であれば内部のものを移動して完了検査を受験して済証を交付してもらうのが最良かと思います。

補足記事

用途変更確認申請の場合には完了検査は不要ですが届出が必要です。詳細はこちらの記事をご覧ください。

まとめ

ということで記事は以上となります。

違反してしまった場合は、建築基準法第12条第5項に基づく報告とされますが、この報告についても虚偽の報告を行った場合はさらに罰金に処されますので、顛末や理由書は正直に書いた方が良いです。

ちなみに、行政側は違反建築物に対しての処理に係る費用や5項報告に係る審査については手数料を受けることができないルールです。

ですので、行政側としてもなるべくなら対応したくない仕事なので、違反してしまった場合には行政との折り合い点(着地点)を見つけたら淡々と処理していくのが無難です。

それでは以上です。参考となれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など