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【建築確認と許可の違い】建築確認申請と建築許可の違いをわかりやすく解説

この記事では、一般的に建築確認申請が建築許可(行政処分)ではなく、あくまで確認行為である理由について解説します。

どうして建築確認申請が許可行為とは異なるのか、詳しく見ていきましょう!

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建築確認は「確認行為」であり、民法とは無関係

一般的に誤解されがちなことですが、建物を建築する際に役所から建築許可を得なければならないと考える人がとても多いです。

しかし、役所による建築確認は行政がその建築を許しているわけではなく、あくまでも建築基準法や都市計画法などのルールに適合しているかどうかを確認している行為に過ぎないです。

(建築物の建築等に関する申請及び確認)
第6条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(~略~)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(~略~)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の”確認”を受け、確認済証の交付を受けなければならない。

建築基準法第6条第1項(抜粋)

また、私権を定めている民法は建築確認申請時の審査対象外です。

建築許可とは、法令によりあるルールに照らしてその建築行為自体が制限される場合に、その制限があってもなお建築すること場合に必要な行政処分といえるものです。

例えば(後程、後述します。)、都市計画法に基づく市街化調整区域では、市街化を抑制する目的から、一定の私権に介入し建築物の建築行為自体に建築許可という処分を行います。

また、建築基準法においても敷地と道路との間に水路があって接道が取れていない敷地では、一般的に建築することができませんが、水路に蓋がけによって例外的に建築することができるルールがあります。この場合には例外的に建築行為自体に対して行政が許可する行為となります。

この場合、建築許可の審査において、個人の権利や所有権関係がチェックされます。

一方で、建築確認は建築物が建築基準法や消防法などの建築基準関係規定に適合しているかを確認するためのもので、民法などの所有権関係には関与していません。

したがって、建築確認済証の交付を受けることと、建築許可(行政処分)を受けることは、それぞれ異なる目的・意味を持っています。

隣地トラブルは建築基準法の対象外

以前、行政職員だったころに、「俺に挨拶がない!。隣の家の違法建築工事は役所が許可しているのだろう!」というクレームを受けたことがあります。

もちろん、建築確認済証の交付を受けているので、建築基準法や都市計画法などの関連法に適合しているため違法ではないです。このときは確認したところ、隣地の工事範囲が大きいから建蔽率に違反しているのではという指摘でした。

屁理屈に聞こえてしまうのですが、私権が絡む建築工事自体に許可はしていないのです。あくまでも計画の適合性の審査と、完了時には、建物が計画書どおり建築されているかどうかのみ。

また、「塀が越境しているのに役所は許可したのか!」というクレームも受けたことがあります。

建築計画が適合していれば確認済証の交付は可能です。

この場合も、敷地境界線に関して隣地とトラブルを抱えており、不法占拠する隣地者との境界査定が完了しないことから着工遅延を懸念して建築確認済証の交付を先行して受け、建築着工を行ったことで自分の土地だと主張する隣地者が生じさせたトラブルです。

行政は民事不介入であり相隣トラブルを抱えていても建築計画が建築基準法等に適合していれば建築確認済証の交付が可能です。

建築確認は、覊束行為(きそくこうい)

法律用語でいうと、羈束行為(きそくこうい)と言って、建築確認審査業務は一般的には裁量の余地がないものです。(法律で定められたルールに照らし合わせて淡々と処理する。このため建築確認業務は民間にも開放されています)

建築確認は、建築基準法と消防法等の建築基準関係規定に適合しているかどうかを確認しているに過ぎません。

繰り返しになってしまうのですが、所有権関係の私権を定めている民法は、建築基準関係規定ではないです。この建築確認審査時の対象外のため、所有権等を審査することは求められていないのです。

例えば、他人の土地に越境して塀を築造した場合などは、建築確認を申請した敷地に虚偽があるか無いかは審査の対象外のため、その建築に建築する建築物が一定の基準(構造や防火上のルール)に適合しているかどうかの確認ですから、”確認”がおりることになります。

極端なことを言えば、市街化調整区域や特定行政の許可が必要な行為を除けば、他人の敷地で建築確認済証の交付を受けることも可能です。

とはいえですが、そうしたところで、民法に反することになるので実際には建築することは不可能ですよね。それに設計料や審査手数料もかかりますので、やる意味が全くないです。

長年、放置した土地だったら、他人に建築されてしまうこともあり得るということ?

 そうならないように、一般的には設計を担当する建築士が確認します。
建築基準法の規定とは別に、所有権関係と敷地形態などの確認は要チェックです。後々、トラブルのもとになるようなことは事前に回避します。
 チェックに当たって特に注意すべき点は、隣接敷地における過去の建築確認申請敷地です。
 なお、隣地の建築確認申請上の敷地設定については、建築計画概要書で確認することができますが、敷地を共有している場合は、他の建築物を不適合(違反建築物)にしてしまう恐れがあります。
 また、自治体によっては、建築確認申請時の図書として任意に公図等の添付を求めていて、これにより公図上の面積と配置図、現地が適合しているかを確認している場合もあります。

補足:市街化調整区域は建築許可

建築確認申請は確認行為であるものの、行政の許可を受けないと建築確認済証を交付を受けることができない最たる例が都市計画法の市街化調整区域における許可(開発許可)です。

市街化調整区域では、農林業や公益施設以外の建築物は、建築することができる者やその建築用途が限られているため、”誰が”、”どのような目的で”、”どのような建築物を建築”するのかを審査し、一つ一つ建築物を許可しています。

私権を保護しつつ公共の福祉の観点から一定の私権を制限しているのが市街化調整区域における建築許可です。

この他、建築基準法第43条等の特例的な建築許可もあります。特定行政庁の業務についてはこちらの記事にまとめておりますので良かったらご覧ください。

関連記事:特定行政庁とは?

また、開発許可についてはこちらの記事をご覧ください。

関連記事:都市計画法に基づく開発許可を覚える

まとめ

本記事では、一般的に建築確認申請が建築許可ではないことについて解説を行いました。

建築確認はあくまで、建築物が建築基準法や消防法などの建築基準関係規定に適合しているかを確認する行為です。建築確認申請は建築そのものを許可する処分行為ではなく、特定の場合(例:都市計画法の市街化調整区域内や建築基準法内での例外的許可)を除いて建築許可は必要ありません。

建築確認は民法に関連する所有権関係には関与していないため、相隣関係のトラブルなどは当事者間で解決する必要があります。

この記事が皆様の理解の助けとなれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

最後まで読んで頂きありがとうございました。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など