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【住宅と排煙】一戸建て住宅(2階・200㎡以下)の排煙設備の設置が不要な理由を解説

この記事では「一戸建ての住宅」の排煙設備を解説します。

✔︎ 一戸建て住宅は、排煙設備の設置が不要になるの??
✔︎ 一戸建て住宅は、排煙無窓検討が必要なの?

上記の疑問に答えます。

こんにちは!建築士のやまけん(@yama_architect)です。
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一応、この記事を読むことで、一戸建て住宅における『排煙窓・排煙規定』を理解することが可能です。特に一戸建て住宅を専門に設計されている方の手助けになると思います。




無窓解除検討との関係性

こちらの記事(下記リンク)では、居室を含むすべての建築物は施行令第116条の2第1項第二号の排煙無窓解除が必要です!!という話をしています。住宅も寝室やリビングなどの居室を含むために無窓解除の検討が必要となります。

ただし、次の項の結論で説明しますように戸建て住宅や長屋については一定の条件のもと検討が不要となります。

結論:一定条件下の戸建て住宅は排煙検討が不要

一定規模以下の住宅は無窓解除検討が不要です。

その理由は、無窓解除検討がOUTだった場合に次に検討する施行令第126条の2第1項の排煙設備検討の告示(同項第5号)が適用されるためです。

その告示とは、平成12年建設省告示第1436号第4号イ(排煙設備の設置を要しない火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件)です。

階数が2以下で、延べ面積が200㎡以下の住宅又は床面積の合計が200㎡以下の長屋の住戸の居室で、当該居室の床面積の20分の1以上の換気上有効な窓その他の開口部を有するもの

平成12年建設省告示第1436号第4号イ(排煙設備の設置を要しない火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件)

一戸建て住宅の大きなポイントとしては、次のとおりです。

❶階数2以下
❷延べ面積200㎡以下
居室の床面積の1/20以上の換気上有効な窓

上記の条件については、床面積200㎡以下の長屋の住戸の居室も対象となります。

一般的な住宅であれば、1/20以上の換気窓計算(法第28条第2項)に基づきOKとなっているはずですよね。

ですので、延べ面積200平米以下・かつ2階以下であれば、居室の排煙無窓解除検討(1/50)を行いOUTとなってもH12建設省告示第1436号第四号イにより排煙設備の設置が免除されますから排煙設備の設置は不要となります。

以上からそもそも住宅(2以下200平米以下)については排煙無窓検討は不要ということになります。

ちなみにですが、3階建てや延べ面積が200平米超となる場合には、この告示を適用することができませんので、排煙無窓解除の検討(1/50)を行いOUTとなってしまったら素直に排煙設備の設置が必要となります(または告示で逃げる)。

なお、店舗や事務所の併用住宅については、住宅以外の部分(非住宅部分)については適用とならないため注意が必要となります。

以上で解説は終了です!

とこれでは、せっかくこのブログに訪問頂いたのに読み終えてしまうし、ページから離脱されちゃうので、”なぜ”に答えていきたいと思います!

まずはじめに、排煙無窓検討である建築基準法施行令第116条の2(窓その他の開口部を有しない居室等)について詳しく説明します。

排煙設備検討と混同してしまうと、頭の中がごちゃゴチャになっちゃうので、これを機会に一緒に整理してみましょ。

排煙無窓(施行令第116条の2第1項第2号)

建築物の設計においては、全ての居室について、排煙無窓となるかならないかチェックを行います。法令は、建築基準法施行令第116条の2(窓その他の開口部を有しない居室等)となります。

このチェックはどのような建築物でも必ず必要です。
この施行令のうち、第1項第二号に適合するか確認します。

[建築基準法施行令第116条の2第1項第二号]
開放できる部分(天井又は天井から下方80㎝以内の距離にある部分に限る。)の面積の合計が、当該居室の床面積の50分の1以上のもの

建築基準法施行令第116条の2第1項第2号

例えば、居室の面積が10㎡であれば、10㎡÷50=0.2㎡の開口部が必要となり、天井から下方80㎝以内における窓等の開放部分が0.2㎡以上あれば良いわけです。

なお、天井の形状が一様では無い場合は行政庁ごとに取り扱いを定めているので、各行政庁のホームページを見るか、直接問い合わせる必要があります。

※近畿地方の場合には、近畿建築行政会議において取り扱いが公開されており、天井が一様ではない場合には、最大の位置から下方80㎝以内、アーチ天井や勾配天井は壁の最も高い位置から下方80㎝以内を排煙上有効な範囲としています。

では、本題に戻り、一戸建て住宅について、

  • この排煙無窓検討において、適合していれば排煙窓OKとなり排煙設備要求は発生しません
    ここで検討は終了です。
  • NGとなれば、いわゆる排煙無窓となり、令第126条の2第1項の規定により排煙設備が要求されます。

では、次にその排煙設備について説明します。

排煙設備の検討(施行令第126条の2第1項)

ということで排煙設備をみてみましょう!

特殊建築物で延べ面積が500㎡超、3階以上で延べ面積が500㎡超、排煙無窓居室などは排煙設備が必要となります。

排煙設備が必要となる場合には、防煙壁により区画が必要となるため、排煙無窓解除(施行令第116条の2)と根本的に異なります。

>>>参考記事

[建築基準法施行令第126条の2第1項]法別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が500㎡を超えるもの、階数が3以上で延べ面積が500㎡を超える建築物(建築物の高さが31m以下の部分にある居室で、床面積100㎡以内ごとに、間仕切壁、天井面から50㎝以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下「防煙壁」という。)によつて区画されたものを除く。)、第116条の2第1項第2号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が1,000㎡を超える建築物の居室で、その床面積が200㎡を超えるもの(建築物の高さが31m以下の部分にある居室で、床面積100㎡以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない

一戸建て住宅については、この施行令に記載されているとおり、令第116条の2第1項第2号に該当する窓その他の開口部を有しない居室には、排煙設備の設置が必要になります。

しかしながら、住宅の場合には、第1項の但し書きが重要なポイントとなります。

詳しくは、第1項第五号を確認する必要があります。

住宅における排煙設備設置免除の規定

免除規定は、第1項第一号から第五号に規定されていますが、住宅において大切なのは第五号です。

[建築基準法施行令第126条の2第1項第五号]
火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるもの

この国土交通大臣が定めるものというのが、「平成12年5月31日建設省告示第1436号」になります。

住宅で大切な規定は、告示四イです。冒頭でもお伝えてしていますが再掲します。

[H12建告第1436号四イ]
階数が2以下で、延べ面積が200㎡以下の住宅
又は床面積の合計が200㎡以下の長屋の住戸の居室で、当該居室の床面積の20分の1以上の換気上有効な窓その他の開口部を有するもの。

平成12年建設省告示第1436号第4号イ(排煙設備の設置を要しない火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件)

つまり、記事冒頭でお伝えしたように、一戸建て住宅でも次のように該当すれば設備要求は免除されます。なお、通常、住宅や長屋は法第28条第1項の1/7の採光検討や1/20の換気検討が必要となり採光及び換気の基準に適合させる必要があります。

  • 2階建て以下
  • 延べ面積が200㎡以下
  • 居室の換気窓計算(1/20)以上

200㎡を超えるような戸建て住宅や3階建ては一般的には少ないですので無窓解除検討を行うことがほぼないですよね。

ですが、仮に200㎡超や3階以上の戸建て住宅の場合には、建築確認申請上、1/20の採光・換気検討と1/50無窓解除検討書の提出が必要となります。※採光の場合には便宜的に1/7で検討。

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本記事のまとめ

排煙無窓(施行令)でも2階以下で、延べ面積200㎡以下の「一戸建ての住宅」であれば排煙設備は適用除外となります。

今回の記事はここまでとなります。

多くの住宅は200㎡を超えることなんて無いし、排煙無窓になることはあまり無いと思いますが、知っていれば、いつの日か、そういった案件を担当した時に適切に対応できることと思います。

ここまで読んで頂きありがとうございました!参考になれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など