この記事では、市街化調整区域内において建築制限が課されている理由を解説しています。
どの法律のどこの部分(文言)に制限の内容が規定されているか分かりにくいと思いますので、YamakenBlogでは、丁寧に解説したいと思います。
こんにちは!やまけん(@yama_architect)といいます^ ^
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市街化調整区域とは?
市街化調整区域とは、都市計画法第7条第3項に規定されているものです。
第7条は、市街化を図る市街化区域と市街化を抑制すべき区域である市街化調整区域とを区分する区域区分(いわゆる線引き)について規定されています。
先に答えを言ってしまっていますが、つまり「市街化を抑制すべき区域」です。
そのため、市街化を進めるような開発行為や建築行為は厳しく制限されています。
自分の土地でも好きなようにできないの?という疑問が生じますよね??
Answer できません。
市街地が拡大すれば、人口密度は薄まり、行政コストも膨らみ、民間企業としても、非効率な都市活動を展開せざるを得なくなるため、全体的に都市の魅力は低下、地価も下落することが想定されます。
『いやいやそんなことないよ!!』って思った方。申し訳ないのですが誤りです。
なお、あくまでも、人口が増加しないことを前提として誤りです。ですので、人口が増加している都市は市街化調整区域を市街化区域に変更する市街地拡大もありえます。
話しは戻りまして、誤りとお伝えしたのは、これから人口減少時代に入るからです。現在、生きている人のうち誰も急速な人口減少時代は経験していないのが危機的な状況です。
※江戸時代の一時期や昭和初期(戦争時)を除いて人口減少は日本初です。
そのような中、田園地域に、農林漁業従事者以外の方が『ポツンと』家をまばらに建てることをイメージしてみてください。道路、下水、水道、電気等のインフラは誰が整備するのかという疑問になりますよね。
皆の税金なのです。
市街地部に住んでいる人からしたら、『やめてくれ!!』になります。たった一人の身勝手な行動で都市全体の魅力を低下させてしまうわけにはいかないのです。
特に三大都市圏以外の都市は、高度経済成長期に人口増加を見越した市街化区域としているので、市街化区域内に多くの未利用地が残っています。
ですので、市街化調整区域はしっかりと、その区域内の農地や山林を保全することが大切です。
ちなみ、都市計画区域外は、簡単に言うと著しく都市化する恐れがなく、近傍の市街化区域へも影響を与えないと考えられているので、基本的には建築制限はありません。
では、次に、どこに建築制限が規定さているかという疑問です。
市街化調整区域の建築規制は、どこに規定されているの?
建築基準法を読んでも、どこにも出てきませんよね。
答えは、都市計画法第43条に規定されているのです。
なお、立地基準(開発許可を受けることができる一定条件の建築物)は都市計画法第34条に規定されています。ちょっと複雑な条項で29条・34条・43条がごちゃ混ぜになっちゃうので注意が必要となります。
(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)
第43条 何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第29条第1項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して同項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。ただし、次に掲げる建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設については、この限りでない。一 都市計画事業の施行として行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
二 非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
三 仮設建築物の新築
四 第29条第1項第九号に掲げる開発行為その他の政令で定める開発行為が行われた土地の区域内において行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設
五 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの2 前項の規定による許可の基準は、第三十三条及び第三十四条に規定する開発許可の基準の例に準じて、政令で定める。
3 国又は都道府県等が行う第一項本文の建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設(同項各号に掲げるものを除く。)については、当該国の機関又は都道府県等と都道府県知事との協議が成立することをもつて、同項の許可があつたものとみなす。
規定文は、第1項のここ!!
何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第29条第1項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して同項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。
※都道府県知事というのは、政令市・中核市の場合は市長です。
基本的な考え方として、農林漁業従事者のための建築物(都市計画法第29条第1項二号)や公益上必要な建築物以外の建築物は、許可を受けなければ建築物は建築することはできません。
これが原則です。
市街化調整区域でも建築できる例外規定について
過去に大規模造成団地や地区計画を定めている地域などは、一般的な住宅を建築することができるようになっていますが、これはあくまでも例外です。
(参考)
※線引き前宅地(区域区分を行う以前から存している宅地)については、緩和規定がありますが、各都市ごとに若干の取り扱いの違いがあるので、各自治体(政令指定都市・中核市以外は、都道府県)に確認しましょう!
また、市街化調整区域内における開発許可は、都市計画法第34条、同様に、法第43条第1項に係る許可の基準は施行令第36条に規定されていますが、今回の記事では、あまりにも専門的過ぎるので、割愛します。
次回の記事とさせてください。
今後、空き家が増加したらどうするの?
不動産業界的には、既存ストックの流通量は増加若しくは維持していくことを求めていきたいはずですので、市街化調整区域内の空き家を適切に市場に流通させていくことが重要であることは間違いないです。
そのため、建物用途変更を容易にすることも大切かもしれません。
市街地への経済に直接的な影響を与えない範囲で、田園・山林等の自然環境保護に視点を置きながら、新たな産業等に焦点を持っていくことが大切なのかもしれません。
残る空き家は、自治体さんが適切に解体して、営農をしたい方向けに田園地として整備するのがいいと私は考えている方です。
まとめ
建築制限なのに、建築基準法に規定されていないと思っていた方、都市計画法に規定されています!!
宅建業を勉強されている方の参考にもなったはずです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。٩( ‘ω’ )و