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【改築とは?】リフォームや新築・増築等との違いを元行政の建築士が解説

今回の記事
・改築って、リフォームと何が違うの?
・改築って、増築や新築と何が違うの?

この記事では上記のような疑問の解消を含め、建築基準法における「改築」を詳しく解説します。

こんにちは!建築士のYamaken(やまけん)です。

元は建築行政職員として、数多くの建築相談を受けて来ました〜そんな私が解説する記事です☺︎

特に『改築』については、建築基準法における明確な定義なないことから、多くの建築士をはじめ専門知識を有さない方を含め本当に悩んでいると思いますし、その気持ち分かります。

この記事を読めば改築の意味を理解できるはずです。

ぜひ、参考にしてみてください。




建築基準法上の改築の定義は?

まず、はじめに知らなければならないことがあります。

『改築』とは単純に建て替えることではないのです。

このことを理解しないと次のステップである増築やリフォームの違いなどの解説に進むことができません。と偉そうに言っておきながら、わたしは行政の職員になりたての頃はあまり理解していませんでした(笑)

よくある例ですが、今ある建築物を解体して、新しく建築物を建築する場合、それは新築か改築かのどちらかに分類されることになります。

この記事にたどり着いた方の中には、建築物を建て替える行為自体を”改築”と理解している人もいるんじゃないでしょうか。申し訳ありませんその理解は建築基準法では間違いですので、まずは新築と改築の2種類があることを知ることが大切です。

(補足)
行政職時代には、建築確認申請書の第3面の欄において、たまーに『改築』をチェックしてくる建築士の方がいらっしゃたのですが、建築計画を確認してみると、多くの場合は『改築』ではなくて『新築』なんですよね。

つまり、建築基準法における『改築』と一般的に使われている『改築』は別モノです。

おそらくですが、多くの方は、『一般的な改築とは、”建て替えること”や”リフォーム”』だと思っているんだと想定できるのです。

繰り返しですが、実は、正しいようで違うんですよね。この一般的な『改築』の意味では使用しない方がいいです。それよりも正しい理解として、建築基準法における『改築』を覚えた方が良いと思われます。

それでは、序章が長くなりましたが、『改築とは?』について早速、解説します。

改築は、リフォームとは異なる

建築基準法では法第2条が用語の定義となっており、この第2条に『改築』が規定されています。

はじめに、リフォームと改築は似ているようで別物です!!←こことても重要です。


日本ではリフォームは広義的に使われていますが、本来は内外装等を修繕することです。

例えばお風呂や台所の住宅設備の機器更新などもリフォームと扱われます。リフォームするということは、既存の建築物は基礎や柱を含め残っている状態をいいます。なお、一部を残して建て替える行為の場合、改築に該当する場合もあります。

(建築基準法第2条第13号)
建築 建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。

実は、建築基準法上、『改築』の定義は記載が無いんですね。この法律第2条で規定しているのは『建築』についてです。

余談になりますが、よく『建築物の建築』という言葉を使用することがありますが、これは『建築物の新築、増築、改築、移転』のことをいいます。

ですので、『建築』と言ったら、新築・増築・改築・移転のうちのどれかという意味です。そのため改築と混同しやすい『新築』の時は、建築物の新築という言葉を使うと誤解が生じません。

では、『改築』の定義とは何なのかということになりますが、それは通達(現在でいう技術的助言)に示されています。

通達における改築の定義

下図をご覧いただくと、見た目が変わっていませんよね・・・おそらく構造なども変わっていないのではないかと思います。


※基本的な『改築』の考え方

昭和28年住指発第1400号(昭和28年11月27日)によると、

改築とは建築物の全部若しくは一部を除却し、又はこれらの部分が災害等によって滅失した後引続きこれと用途、規模、構造の著しく異ならない建築物を建てることをいう。従前のものと著しく異なるときは、新築又は増築となる。なお、使用材料の新旧は問わない。

※建築物:法第2条第1号に規定

つまり、建て替える前の建築物と比べて、用途、規模、構造がほぼ同じである建築物を建てることを改築となるわけです。

改築の定義のポイント
☑️用途とは、一戸建て住宅や店舗、飲食店、事務所などのことを指します。

☑️規模とは、床面積や階数、高さなどのことを指します。
☑️構造とは、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などのことを指します。


*改築と扱う場合のイメージ

また、改築については、上記のこと以外にも注意するべきポイントがあります。

☑️『改築』と判断するには、『引続き』と『著しく』という文言に注意しなければなりません。

・引続きとは、建築物を除却・滅失した後、あまり時間を経ずに建てること
『あまり時間を経ずに』というのも解釈は難しいですけどね・・・笑

例えば、除却してから1年以上も放置していた場合には、引き続きには該当しないことから、同用途・規模のものを建築しても改築には該当しません。

・著しくとは、例えば、従前は木造の構造を鉄骨造やRC造にするとか、住宅だった用途を事務所や店舗にするとか、または、床面積を100㎡から2倍の200㎡にするとか・・・etc  これは著しいに該当するわけです。つまり、改築にはならないということ。

なお、上記の2点については、特定行政庁によって取り扱いが異なるのでご注意ください。

話しは戻りまして、何でそこまでして『改築』の判断にこだわるかというと、既存不適格の緩和があるからです。

既存不適格とは、法律の改正により改正以前は適法であったものが改正により適合しなくなった建築物のことをいい、違反建築物ではなく既存不適格建築物と呼ばれています。

どういうことかと次の項目になります。

既存不適格建築物における改築の緩和

既存不適格建築物の改築における緩和規定は、法第86条の7→令第137条〜に記載されています。

代表的?というわけではないですが、令第137条の7(用途地域等関係)を見ると分かります。

(用途地域等関係)

第137条の7 法第3条第2項の規定により法第48条第1項から第14項までの規定の適用を受けない建築物について法第86条の7第1項の規定により政令で定める範囲は、増築及び改築については、次に定めるところによる。

一 増築又は改築が基準時における敷地内におけるものであり、かつ、増築又は改築後における延べ面積及び建築面積が基準時における敷地面積に対してそれぞれ法第52条第1項、第2項及び第7項並びに法第53条の規定並びに法第68条の2第1項の規定に基づく条例の第136条の2の5第1項第二号及び第三号の制限を定めた規定に適合すること。
二 増築後の床面積の合計は、基準時における床面積の合計の1.2倍を超えないこと。
三 増築後の法第48条第1項から第14項までの規定に適合しない用途に供する建築物の部分の床面積の合計は、基準時におけるその部分の床面積の合計の1.2倍を超えないこと。

この規定も不思議ではあるんですけど・・・既存不適格建築物の増築は1.2倍まで認められますが、改築は規定がないんです。

だいたいの特定行政庁は従前の建築物の1倍にしているでしょうけどね。

増築は1.2倍、改築は1倍となっており、改築であれば、既存不適格建築物として建築が可能なわけです。つまり、新築では既存不適格として扱えないが、改築であれば既存不適格として扱うことができるのです。

ですので、行おうとしている行為が『改築』であるかどうかはとても重要な確認事項というわけです。

改築と増築との違い

増築との違いは、床面積が増加するかどうかです。

既存の建築物に新たに部屋を増築する場合、床面積が増えますよね?この場合は、増築に該当しますが、改築には該当しません。

なお、例えば、建物の半分を壊して、半分のうち3分の1を新たに建築する場合は、増築には当たらず改築と判断されます。これは、既存建築物に対して増築される面積がないためです。法的な用語はありませんが、減築となります。つまり、改築の中に減築も包含されている形です。

ただし注意点として、用途、規模(従前の床面積以下)、構造が従前の建築物とほぼ同じであることが求められますので注意してください。そうではない場合、いったん、除却した建築物に増築したと判断される可能性もあります。

改築と新築との違い

改めてお伝えしますと新築と改築は全く異なります。

新築と改築との違いは、改築が従前と用途、規模及び構造が同じであるに対して、新築は、用途や規模、構造が一つでも異なる場合もあります。

既存建築物があって、それを壊してどう同種同規模に建て替える場合は改築であり、既存建築物がない場合は新築です。*既存建築物を解体して更地となった後に、一定期間(行政庁によって異なる)が経過すると改築とは扱わないこともあるので注意です。

なお、改築の例としては、古い日本家屋を壊して新たに鉄骨造の住宅を建築する場合は、『新築』となります。

改築における減築

改築にあわせて減築を検討することがあると思います。関連記事をお読みください。

リフォームとの違い・リフォーム会社選び

建築基準法では、大規模の修繕と大規模の模様替えという用語があります。

リフォームは、大規模の修繕、大規模の模様替え、改築、改修のいずれかに該当することとなります。

下記の3つの行為については建築基準法に該当することになりますが、改修(小規模な修繕や模様替え、改装など)については定義されていません。

リフォームに係る建築基準法上の該当行為

大規模の修繕:小規模な住宅などの建築物以外は建築確認申請が必要
大規模の模様替え:小規模な住宅などの建築物以外は建築確認申請が必要
改築:建築確認申請は必ず必要

※大規模の修繕・模様替についてはこちらの記事もご覧ください。

上記の3つのいずれにも該当しない場合は、改修となります。

とはいえ、改修内容は原則として建築基準法に適合することが求められますので違法とならないよう注意が必要となります。ですので、リフォーム会社は慎重に選択しましょう。多少コストがかかっても建築士を介して施工会社に委託することも考えられます。

また、建築士が在籍するリフォーム会社を何者(少なくとも3者)から選定して見積を取得してから決定する方法が良いと思います。参考に『ホームプロ』のリフォーム会社紹介サイトを掲載しておきます。

こちらの会社の場合は、独自の審査基準を設けてサイトに掲載する企業をチェックしており、約1,200社が掲載されていますので、自分でリフォーム会社を見つけるのは面倒という方にはマッチすると思います。

中古物件を売りたい・探している方へ

既存ストックである中古物件を利活用するのはイニシャルコストを抑えることもできますし、古い木造住宅の場合などの既存建築物ですと、趣き加減が良い味わいを出している場合もあって、建築的にも面白いと思います。

既存建築物にしか出せないモノがあるので、リフォームやリノベーションはこれらも伸びていく分野だと思います。

だからといって、個人間で売買すると、後々建て替えができない土地(無接道敷地)だったとか、違反建築物だったとか、さまざまな問題を抱えるケースがあります。

また、終活として資産を売却しておきたいと考えている方も後々のトラブル防止のために仲介業者を使うようにしましょう。

地元の不動産を活用しても良いし、大手を活用しても良いと思います。
いずれもリスクをしっかりと説明してくれる業者に依頼するのが無難です。

おわりに

『改築』はとても大切な用語とっていることが十分に理解できたと思います。

ご理解いただけたら今回の記事を書いた意味があります!!笑

『改築』の判断は、自身の判断ではなく、特定行政庁が判断することになりますので、特に、従前と変わらない用途・規模・構造・建て替えの時期には注意しましょう!!

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。

皆さまのお役に立っていれば幸いです。

それでは、また〜

>>>関連記事としてリフォームで建築確認申請が必要なケースと不要なケース

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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など