界壁の問題は”なぜ起きた?” 一建築士の見解

現在、世間ではレオパレス21による界壁等の施工不備により社会に大きな影響を与えている事態になっていますよね。建築業界の信頼を損なう問題であるとともに、原因が明確に分かっていないので、アパートにお住まいの方は不安ですよね。
今回は、何故、このようなことが発生することになったのか、一人の建築士として考えてみました。

こんにちは!!やまけんです。

今回の界壁問題、多くの方が引っ越しを余儀なくされ、また、不動産オーナーにとっても大きな損害を受けるという、これまでにない社会的影響の大きい事案となっています。

「そもそも何故このような問題が起きたのか」
このことに関しては、それぞれの立場での考え方があるので、一概にどれが正しいとは言えないと思いますが、建築士として(つまり設計者として)の考えはどうなのかという点では、不動産オーナーや共同住宅・長屋に住もうと検討されている方の参考になると思われます。

どうぞ、最後まで読んでみてください。

今回の問題で分かっている原因

株式会社レオパレス21が平成31年2月7日プレスリリースした「全棟調査進捗状況のご報告及び調査の過程で新たに確認された不備について」によると、「これまでに確認している不備として、設計図書上の表記の不統一及び誤記、設計図書通りの施工 がなされていない事、大臣認定との不適合が、確認されております。これらは、遵法性の知識や 意識の低さから起因したものと考えておりますが、具体的な原因究明には到っておりません。〜(略)〜」と記載されています。

①設計ミス(誤記)
②設計図どおり施工していない
③認定を受けた工法以外で施工

ここまでは分かっているところのようです。

この3つのうち一番に分かって欲しいことは、「図面どおり施工していない」ということ。
設計図どおりも認定を受けた工法以外も”図面どおり施工していない”ということです。

まず、基本的に工事監理がちゃんとなされていないことが大きな問題であることを前提するべきです。

さらに先に言いたいことは、不正を行うことを前提とする考え(視点)は間違いだし、チェックする側の全てに非があるとする考えは私にはありません。ちなみに私は検査員ではありません・・・笑

審査機関の問題なのか

チェック側がしっかりと完了検査を行なっていればこのような問題は発生しなかったはずだ!と考えます。

それって、物理的に可能ですが、現実的ではない。

なぜかというと、界壁などの見えなくなってしまう部分というのは、天井点検口が設置されていても、部分的にしか目視で検査することができないですし、全数検査とすれば人手の確保と施工を一時的に止めなければならないなど、建築主の費用増と時間的な制約を大きく受けるので、抜き取りで部分的に検査している現状です。

そのため、完成して見えない部分については施工写真等でチェックが行われています。
(写真を偽造するような方がいれば、前提が崩れてしまいますが・・・)

通常、建物の計画から竣工までは次のようなチェック体制が確立されています。
①確認申請における審査、②発注者の検査、③工事監理者によるチェック、④工事施工者によるチェック、⑤確認審査機関(行政もある)による検査

つまり、これだけチェック体制があるのに施工を間違うわけがないんです。

それでも、何だかの理由により法令どおり施工していない部分があったとしたら、それについては、中間検査や完了検査においてチェックされることで、法令に適合した建築物を建築することが可能となります。

これは主観的な考えとなってしまいますが、あえて法令どおりに施工しない意味が分からないんです。
法令どおりに施工しない場合、自分の信用が損なわれるし、火災が発生した場合、人命に関わってくることなので、ずさんな施工をすることは通常考えにくいんです。
普通やらない・しない・苦労して建築士になったのに自分が生活できなくなるようなことはしない。

審査機関側がチェックすることが大切という考え、それってすごく正論なんです。
分かるんですが、これだけが問題ではないという考えもあります。

工事監理者のチェックはどうなっていたの?

通常、工事監理者がいるので、しっかりと法令どおり施工されているかチェックしているはずなんですが、されていなかったようです。

「何故だろう」・・・施工者に嫌われても、口うるさくチェックするべきだと思うんです。
ここも今回の事案の問題になっているはずです。

施工者は何故、法令どおり施工していないのか

配布された施工図に不備があれば、法令とおり施工されないです。当然ですよね。
これは施工者が問題ではなく、設計者が悪い。

これは想定ですが、確認申請図書に添付した図書以外のものを施工図として使用していたのでしょう・・・
そうしたら、確認申請を行なった意味がないですよね。

また、設計図書とおり施工しなければ法令に適合しないこととなります。
はじめに言ったとおり設計図書とおり施工していないことが一番の問題でしょう。
工事監理と施工が適切に行われていなかったことで発生した事案なのかなと想定されるところです。

法令どおり施工しないことに対する工期短縮とコストは微々たるものと考えられますし、違反建築物をつくりあげることへのデメリットとを考慮すると、やはり今回の事案は意味の無い結果のように思います。

まとめ

今回の事案については、具体的な原因究明を待つしかありませんが、設計者・監理者・施工者・検査員の4重の網をかい潜って不法行為に及んでいたというのは非常に稀な事案のように思われます。
原因は一つではなく、複雑かつ様々な要因があったように考えられるところです。

こういった事案があることで、建築物については、施工不備が当然に行われているという考えが世間的な風潮として残ってしまうということが建築士としては残念でなりません。