レオパレス21等による建築基準法不適合事案に対する再発防止策の検討動向

レオパレス21及び大和ハウス工業の原因究明、再発防止策への対応と再発防止策の検討を行うため、

国では「共同住宅の建築時の品質管理のあり方に関する検討会」を平成31年3月14日に設置し、

これまでに計3回にわたる会議を開催し、

第3回会議において、建築基準法等の改正に関わってきそうな再発防止策について、”方向性”が取りまとめられたので、私のサイトをいつもご覧になっている建築士の方に向けに、その”方向性”について、簡単ではありますが、記事にしました。

こんにちは!!建築士のやまけんです^ ^

いつも当サイトをご覧いただきありがとうございます。

私は、まちづくりに関わる建築士として日々仕事をしておりますが、レオパレス21等による、界壁等の問題については、建築士の信頼を大きく損なう行為であったと考えており、国において、どういった改善策を検討していくのか注視しております。

私以外にも、この問題に関しては、強く関心がある方が多くいらっしゃると思いますので、第3回会議で示された”再発防止策の方向性”を記事にまとめしたので、ご覧いただければと思います。




はじめに

そもそも、レオパレス21や大和ハウス工業の問題について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

☑️界壁の問題は”なぜ起きた?” 一建築士の見解

 

また、界壁について、知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

☑️長屋や共同住宅における界壁とは何か。建築基準法施行令第114条の解説です。

 

今回の記事は、国土交通省が公表した資料を元に解説していますので、今回、記事にしている内容について詳しく知りたい方はこちらのページ(国土交通省ホームページが開きます)をご覧ください。

では、本題に戻りまして、

今回、再発防止策の方向性を示した検討会の目的は、次のようになっています。

時間がある方は、読んでみてください。

「本委員会は、共同住宅に係る界壁、外壁及び天井が法定仕様に適合しない仕様となっている事案の発生を踏まえ、専門的見地から、事案に係る原因究明結果の検証を行うとともに、再発防止策等について検討を行うことを目的とする。」
※出典:共同住宅の建築時の品質管理のあり方に関する検討会 規約

第3回検討会で示された再発防止策の方向性


※出典:第3回共同住宅の建築時の品質管理のあり方に関する検討会

 

この図の内容を整理すると次のような形になります。
☑️:考察部分

現状・課題 再発防止策の方向性
○レオパレス 21において不適合事案が発生した背景として、工事監理が適切に実施可能な人員・体制が確保されなかったため、実質的に工事監理が行われず、

○工事監理者が設計図書と施工関係図書の齟齬(そご)の指摘及び設計図書と搬入部材の不一致の指摘ができなかったこと等が指摘されている。

工事監理に係る体制・環境の確保建築確認申請図書と施工関係図書の整合確認工場で組み立て済みのパネルに係る照合確認適切に行われるような仕組みについて、検討が必要ではない。

☑️考察
○建築確認申請図書と施工関係図書の整合確認に係る適切に行われる仕組みについては、どのように行っていくのか現時点においては不明となっている。

○しかしながら、行政や建築確認検査機関がこれまで以上に建築物の品質管理に関わっていくことが想定されることに留意する必要がある。

○当然ながら、建築主へは新たなコストをかけずに、品質を確保する仕組みを導入するはずなので、建築士による工事監理の部分を中心に責務の範囲が明確化された形で、整合・照合に係る法改正が行われると考えられるところ。

○レオパレス 21以外の大手賃貸住宅供給事業者においても、より確実に施工不良を防止するためには、工事監理を行う体制・環境の確保、建築確認申請図書と施工関係図書の整合確認等で、改善すべき点のある事業者が存在する。
○レオパレス 21においては、本部が虚偽の建築確認申請をさせるなど、設計図書と異なる施工が組織的に行われていた 大手賃貸共同住宅事業者の品質管理・工事監理の実態を、国として定期的に把握すべきではないか。特に、工場で組立て済みのパネルを使用する場合に、適切な品質管理が行われていることをチェックする仕組みが必要ではないか。

☑️考察
○これに関しては、型式認定を行っている国の責務に関する部分となりますが、大手の賃貸事業者における品質管理等の部分において、品質を確実に確保するための対策を行う法改正が成されると想定されます。

○大手賃貸住宅供給事業者の中には、現在も、工場で組立て済みのパネルを使用している事業者が存在する。
○リスク情報の早期共有による不適合事案拡大防止や迅速な違反特定、違反是正の指導状況等の共有が求められる。 国土交通省と特定行政庁の間、特定行政庁間それぞれにおける違反情報等の共有体制のあり方について、検討が必要ではない。

☑️考察
○行政指導に係る部分なので、民間建築士には直接的には関係ないですが、情報共有を図るためのプラットフォームが作られることが想定される。

○47都道府県のうち、38都道府県において、3階建て賃貸共同住宅(木造又は鉄骨造)の中間検査が実施されているが、9都道府県については未導入 中間検査の導入の促進を図る必要があるのではないか。

☑️考察
○中間検査を不要としている自治体についても、義務化されていく可能性があり。
○中間検査の導入促進により、不正を行おうとする者に対しての抑止効果が生じる。
○ただし、中間検査自体は、基礎配筋や軸組み等のチェックが中心のため、界壁等の中間確認については新たに制度化する必要がある。今後、制度化に向けた建築基準法の改正や指針等が示されるかも。

[参考:中間検査に係る法令文]
第7条の3 
建築主は、第6条第1項の規定による工事が次の各号のいずれかに該当する工程を含む場合において、当該特定工程に係る工事を終えたときは、その都度、国土交通省令で定めるところにより、建築主事の検査を申請しなければならない。
一 階数が3以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事の工程のうち政令(2階の床及びこれを支持するはりに鉄筋を配置する工事)で定める工程
二 前号に掲げるもののほか、特定行政庁が、その地方の建築物の建築の動向又は工事に関する状況その他の事情を勘案して、区域、期間又は建築物の構造、用途若しくは規模を限つて指定する工程
○大和ハウス工業による型式適合認定に関する事業所への周知等が不十分であったことに加えて、設計における型式適合の確認を事業所任せにしていた。 事業所での設計が適切に行われていることを担保するため、チェックする仕組みを検討すべきではないか。

☑️考察
○事業者による設計担保に関する部分なので、大手事業者を中心に、行政や確認検査機関等による設計担保に関してのチェック機能が加えられる法改正がありそう。

 

今後のスケジュール

国では、令和元年6月21日までに最終報告書をまとめることとしており、その最終報告書を受けた上で、原因究明の結果と再発防止策を取りまとめ、第4回検討会(時期未定)において検討することとしているようです。

私の感覚では、年内には方向性を確定して、来年の通常国会に建築基準法等の改正案を提出しようとしているのかも。


※出典:第3回共同住宅の建築時の品質管理のあり方に関する検討会

最後に

国で示したものは、”方向性”としながらも、方向性の前段階に近い部分があったかと思います。
今後は更に詳細に検証して、どういった仕組みが良いか検討していくはずなので、最終報告書並びに第4回検討会については注視していきましょう。

この問題については、おそらく、建築基準法等の改正につながってくる事案で、場合によっては、建築士への負担が増える可能性も高いことから、今後も情報発信していければと考えております。

なお、今回の事案を受けて、更に罰則規定が強化されていくものと思いますので、若輩者が言うのもなんですが、建築士の方々は、設計・工事監理を適切に行い、施工業者と協力して品質確保を図っていきましょう!

それでは最後までご覧いただきありがとうございました。

今後とも当サイトをよろしくお願いいたします^ ^