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【宅建士試験】建築基準法の勉強方法を分かりやすく解説

宅建士試験に挑んでいる方・・・「建築基準法の問題(2問)は捨てた!」なんて言っていませんか。建築士であれば簡単に解くことができるような問題でも、初めて建築基準法に触れる方にとっては取り組みづらいですよね。

そのように悩んでいる方向けに「宅建士試験向け建築基準法攻略」を考えました

こんにちは!!建築士で宅建士も有しているやまけんです。^ ^
建築や都市計画に関する業務経験を活かして建築士や宅建士の仕事に役立つ情報を発信しています。

ではさっそく本題に戻りまして、私が過去12年分の問題傾向を分析して、どの分野を勉強すればよいのかポイントをまとめてみました。ちなみに無料で公開します。

たった2問、されど2問ですが、このサイトを見て勉強して合格できました!って言ってくれるような方がいれば嬉しい限りです。

この記事で得られるメリット

○宅建士試験における過去の出題傾向
○過去12年分の問題から特に重要と考えられる問題を解説
○2023年度試験に出題されそうな建築基準法の規定




宅建士試験における過去の出題傾向

一番のポイントは、これを理解することで建築基準法の問題を攻略することが可能です。
では、どのような出題傾向なのか見てみましょう。
*スマホの方で見づらい方は横にしてみてください。

21準都市計画区域内の建築確認防火地域内の建築確認構造計算適合性判定指定確認検査機関に関する確認業務高度地区内の建築物の高さ建築協定日影規制(商業地域)特別用途地区の緩和
22都市計画区域外の建築確認用途変更
(事務所→共同住宅)
避雷設備中間検査
(共同住宅)
工業・工業専用地域内の共同住宅準住居地域内の自動車修理工場近隣商業地域内の映画館第一種低層住居専用地域内の高等学校
23防火地域・準防火地域内防火地域内の3階建て住宅防火地域内の看板の材料防火地域内の外壁(隣地境界線)第二種住居地域内の倉庫業を営む倉庫法第42条第2項道路12m未満の道路における容積率防火地域内おける建築率の緩和
24既存不適格建築物用途変更
(事務所→飲食店)
住宅の居室における換気上有効な窓建築確認の審査内容角地の建蔽率緩和第一種・第二種低層住居地域内の絶対高さ制限敷地面積の最低限度建築協定
25天井高さ(天井高が一定でない場合)安全対策
(バルコニー等)
石綿以外の物質制限非常用昇降機建築基準法第43条の条例付加防火地域内における建蔽率緩和北側斜線第一種低層住居・準住居地域内の自動車修理工場
26住宅の採光移転避雷設備準防火地域内の看板の材料工業地域内の1万㎡を超える店舗都市計画による敷地の位置の制限特別用途地域内の緩和防火地域内の建蔽率の緩和
27建築確認(10㎡以内の改築)建築確認
(大規模木造)
用途変更
(事務所→ホテル)
建築確認
(映画館の改築)
容積率算定から除く部分建蔽率の算定地盤面下の建築物建築協定
28防火地域内の外壁(隣地境界線)非常用昇降機準防火地域内の共同住宅の建築防火壁第一種低層住居専用地域内の飲食店12m未満の道路における容積率建蔽率の緩和外壁後退
29完了検査前の建物使用界壁水洗便所用途変更
(ホテル→共同住宅)
建蔽率第二種中高層住居専用地域内のホテル法第42条第1項第3号道路12m未満の道路における容積率
30非常用進入口完了検査安全対策
(バルコニー等
既存不適格建築物田園住居地域内の絶対高さ制限第二種低層・第一種中高層の大学法第42条第1項第3号道路壁面線
R1違反建築物に対する使用制限等災害危険区域の条例制定防火地域内の看板の構造共同住宅の住戸に係る非常用照明第一種低層住居専用地域内の兼用住宅の制限工業地域内の用途制限建蔽率の緩和路地状敷地に対する制限の付加に関する条例化
R2大規模修繕天井高防火壁非常用の昇降機道路内工作物近隣商業地域内の用途制限床面積算定日影制限
R3シックハウス敷地内通路防火地域内の隣地境界線仮使用建蔽率緩和集落地区計画居住環境向上誘導地区51条迷惑施設
R4第一種低層住居専用地域内の宗教建築総合設計制度2・3項道路絶対高さ制限既存不適格建築物大規模の修繕40条条例による自治体制限災害危険区域
宅建士試験における出題分野

*スマホの方で見づらい方は横にしてみてください。

この表を見て分かると思いますが、毎年類似している問題が出題されていることがわかります。

とはいえ、近年(平成29年、平成30年)では、これまでにない出題があったりと、必ずしも過去問を勉強しただけでは解けないようになっていますし、平成30年には、非常用進入口と壁面線が出題。

令和元年度試験では災害危険区域についての問題が出題されるなど、昨今の非常災害を踏まえていることがわかります。だからと言って、これじゃあ専門知識を有している人だけが解ける問題じゃない?とは思わずに次のポイントを意識してみてください。

宅建士試験における建築建築基準法のポイント
  • 建築確認が必要かどうか(都市計画区域外の場合は必要かどうかなど)
  • 用途変更が必要かどうか(特に類似の用途の場合に必要かどうか)
  • 用途地域毎に建築できる用途の把握(特に建築することができるとされている第一種低層住居・第二種低層住居・第一種中高層住居・田園住居の用途制限は必須)

過去12年分の出題傾向から重要な問題を解説

ここから過去10年間における頻出問題のポイントを解説します。

用途変更に関する問題

平成22年度の問題ですが、建築物スペックが次の場合において、事務所から共同住宅に用途変更する場合には、建築確認が必要かどうか。
・3階建て、述べ面積600㎡、高さ10m
答えは、「建築確認は必要」となります。

この問題で覚えなければならないポイント
○用途変更確認申請が必要となるのは、類似の用途を除いて特殊建築物に用途を変更する場合です。

○事務所については、特殊建築物に該当しません。
そのため、特殊建築物である共同住宅に用途変更する場合には、確認申請が必要となります。厳密には床面積の要件あり。
その他、長屋や一戸建て住宅も特殊建築物となりません。

○補足として、床面積の要件は、令和元年度6月の法施行により床面積の規模が100㎡から200㎡に変更となっています。
なお、令和元年度の宅建士試験は”平成31年4月1日施行”が対象となるため、100㎡を超えるものが対象となります。

○次に類似の用途ですが、次のポイントを覚えてください。
各号に掲げる用途の行き来であれば確認申請は原則として不要となりますが、厳密には、用途地域によって異なります。
過去10年分の問題を見る限りでは、用途地域ごとに異なる部分については出題されていないので、ここまで細かい内容が出題される可能性は低いかなと考えられます。

ちなみに、そういった部分を勉強したい場合はこちらの記事をご覧ください。
▶️用途変更確認申請が不要となる類似用途は?

各号用途名備考(ポイント)
1号劇場、映画館、演芸場
2号公会堂、集会場
3号診療所(病床があるもの)、児童福祉施設等病院が含まれていないことに留意しておきましょう。例えば、診療所から病院に用途変更する場合には、確認申請が必要です。
4号ホテル、旅館
5号下宿、寄宿舎5号並びに表を見て分かりますが、共同住宅は特殊建築物でありながら、各号のいづれにも該当しません。そのため、どんな用途でも、その用途から共同住宅に変更場合には確認申請が必要です。
なお、繰り返しですが、「長屋」は特殊建築物ではありません。
6号博物館、美術館、図書館
は7号体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場
8号百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗
9号キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー風営法系の施設であり、カフェーであって、飲食店のカフェではありません。
10号待合、料理店
11号映画スタジオ、テレビスタジオ

避雷設備に関する問題

避雷設備については、高さ20mを超える建築物に設置する必要があります。

非常用昇降機に関する問題

非常用昇降機については、高さ31mを超える建築物に設置する必要があります。

ただし、政令で除かれる部分があり、次の場合には設置不要となります。
○高さ31mを超える部分を、階段室、昇降機等の機械室、装飾塔、物見塔、屋窓等
○高さ31mを超える部分の各階の床面積の合計が500㎡以下
○高さ31mを超える部分が4階以下、主要構造部を耐火構造とし、かつ床面積100㎡以内ごとに防火区画
○高さ31mを超える部分を機械製作工場、不燃性物品保管倉庫等で主要構造部を不燃材料

外壁を隣地境界線に接して設けることができるか

防火地域および準防火地域にある建築物のうち、外壁が耐火構造であれば隣地境界線に接して設けることが可能です。

幅員が12m未満の場合の容積率

幅員が12m未満における容積率の算定は「前面道路*法第52条第2項各号に定められた数値」となります。

なお、前面道路が2つ以上ある場合は、幅員が最大のものが対象となります。
*法第52条第2項各号に定められた数値とは、住居系地域は0.4、住居以外は0.6となります。

容積率の計算方法は簡単で、第一種低層住居専用地域で前面道路の幅員が4mであれば、
4m*0.4=160%が容積率となります。

建築協定

建築協定とは、地域(街区単位やより大きな地域など)において住民同士が、建築物の構造や用途、形態、意匠などについて定めることができるものです。
なお、試験問題においては、ポイントなる部分があります。

○認可者は、市町村ではなくて特定行政庁
○協定書の広告は市町村の長
○協定の締結・変更は土地所有者等の全員合意
○協定の廃止は過半数の合意

バルコニーの安全対策

屋上広場または2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設ける規定です。
ただし、対象となる建築物には条件があります。

○特殊建築物
○階数が3以上の建築物
○採光を確保できていない居室を有する建築物
○延べ面積が1,000㎡を超える建築物

特別用途地区

特別用途地区とは、建築基準法で定める用途地域ごとに制限される建築物以外の用途のものを”制限”もしくは”緩和”するために用意された制度です。

制限も緩和も建築基準法に基づく条例化が必要となり、なおかつ、緩和する場合には国土交通大臣の承認が必要であることが重要です。

用途制限

用途制限については、必ず出題される分野であり、実務上においても大変重要な部分です。
では、どうやって覚えるか・・・

建築士試験でも法令集を持参して解くのに、法令集を持ち込まないで解くこととなる宅建士試験は比較的難易度が高いと言ってもいいかもしれません。

ということでポイントだけ覚えておきましょう。
なお、建築物の敷地に複数の用途地域がまたがる場合には、過半を占める用途地域が適用されます。

これだけは覚えておいた方が良いポイント

用途地域用途地域ごとのチェックポイント
第一種低層住居専用地域・学校でも大学、高等専門学校、専修学校、各種学校は建築不可
(住居系では第一種中高層住居専用地域内から建築可能)
・店舗などとの併用住宅で店舗部分が50㎡を超えるもの
第二種低層住居専用地域・店舗や飲食店の用途部分が3階以上
第一種中高層住居専用地域・店舗や飲食店の用途部分が3階以上
・事務所は建築不可
第二種中高層住居専用地域
工業地域
・ホテル、旅館は建築不可
田園住居地域・店舗や飲食店の用途部分が3階以上

用途地域内の制限については覚えようと思って覚えられるものではないので、こちらの記事におすすみください。

2023年に出題されそうな近年の建築基準法の規定

平成30年9月25日に施行された建築基準法改正を抑えて必要があります。
詳細は、こちらをご覧ください。

○建築基準法第43条関係(建築審査会の同意が不要となった規定)
・接道が取れていない敷地(建築基準法上の道路に接していない敷地)で、建築審査会の同意がなくても特定行政庁の許可のみ建築することが可能です。
*幅員が4m以上の道(建築基準法上の道路ではない道)で2m以上接する建築物(延べ面積200㎡以内の一戸建て住宅)

○建築基準法第43条(制限付加関係)
・袋路状道路にのみ接する大規模な長屋等の建築物について、自治体の条例により、共同住宅と同様に接道規制を付加することを可能とするもの

○容積率の規制の合理化
・老人ホーム等について、共同住宅と同様に、共用の廊下・階段の床面積を容積率の算定対象外とするもの
・宅配ボックスについて、容積率算定の床面積から除外するもの(1/100)

○その他
・平成30年4月1日に施行された田園住居地域も重要です。
田園住居地域については、第一種低層住居専用地域内同様に絶対高さ制限(10mまたは12m)、外壁後退(1.0mまたは1.5m)、北側斜線制限などが適用されます。
また、田園住居地域内の用途制限についてもチェックしておく必要があります。

○令和5年4月1日改正
・令和5年4月1日施行で住宅等の居室の採光が緩和されます。
>>>【No.1 採光】2022年建築基準法・建築物省エネ法改正の内容を分かりやすく解説






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など