今回の台風19号によって浸水した居住誘導区域の取り扱い

今回の記事
浸水エリアと居住エリアの関係性(居住誘導区域に浸水エリアを含んでいる都市がある事が問題になっているらしい)

これからの住宅選びの参考になると思いますので是非お読みください。

こんにちは!やまけんです。

わたしが何者か知りたい方はプロフィールをご覧くださいませ。

早速、お伝えして行きたいと思います。




浸水エリアについて

この記事でいう浸水エリアとは、河川堤防の決壊や溢水・越水の恐れがある地域や津波による甚大な被害を受ける可能性が高い地域をいいます。

その上で、居住誘導区域とはコンパクトシティの形成を目指す立地適正化計画において位置付けられる居住を誘導する区域をいいます。現在、どこの地方都市でも立地適正化計画を作成しているか若しくは作成中であるはずです。

その中で、ホントたまーになんですが、ニュース等で話題になるのが、居住誘導区域に浸水エリアを含めるかどうかの話です。

浸水エリアについて居住誘導区域に含めるかどうかは、このブログでも過去に何度か取り上げています

なんでもう一度取り上げようと思ったのかは、先月の台風19号による被害を目の当たりにしたのが大きいです。
建築士として災害対応のお手伝いをしたのですが、浸水被害を目の前にすると思う事があります。

それは、汚泥、悪臭、粉塵や、床や壁の破損・汚損により建築物の大半が利用できない住宅や事業所の無残な姿は二度と見たくないなと改めて思いました。

東日本大震災の時には津波被害や地震被害も経験し、当時は国の職員としても従事していたので災害の恐ろしさを今回の台風被害で改めて認識させられたところです。

根拠法における浸水エリアの取り扱い

まずは立地適正化計画の根拠法である都市再生特別措置法を見ていきましょう。

法律では次のように規定されています。

[法第81条第13項]
立地適正化計画は、都市の防災に関する機能の確保が図られるように配慮されたものでなければならない。

法第81条第14項

第2項第2号の居住誘導区域は、立地適正化計画の区域における人口、土地利用及び交通の現状及び将来の見通しを勘案して、良好な居住環境が確保され、公共投資その他の行政運営が効率的に行われるように定めるものとし、都市計画法第7条第1項に規定する市街化調整区域、建築基準法第39条第1項に規定する災害危険区域(同条第2項の規定に基づく条例により住居の用に供する建築物の建築が禁止されているものに限る。)その他政令で定める区域については定めないものとする。

ポイントは13項の『都市の防災に関する機能の確保』と14項の『災害危険区域』の部分です。

同項に基づき、国が作成している都市計画運用指針において、居住誘導区域に含めるべきかどうかの指針が示されていますが、ここの記事で指針の話をしてもあまり意味がないので、詳しく知りたい方は、過去記事をご覧ください。

今回の論点は、主に居住者側の視点から考え方を整理していきたいと思います。

居住側にとって不利益となるのはアパートの居住者

先に結論を言いますが、浸水エリアを居住誘導区域に指定することで結果的に不利益を被るのは賃貸居住者です。

言い切れる理由は次のとおりです。

アパートを借りる人はアパートの立地場所を選択できても、浸水エリア外の市街地に立地している供給戸数が賃貸居住者の総量に対して少なければ結果的に浸水エリアを選択せざるを得ないですよね。

『いやいや浸水エリア内の住宅には住みたくないよ!』

と言っても、働く場所や家族関係等でそうせざるを得ない弱者が多くいるのが日本ですから、こうした方々を救うには、浸水エリアを無くすか、居住誘導区域に指定しないことが望ましいと言えますよね。

もちろん、市場経済の中で資本がある方は市街地の浸水しないエリアに居住できますから、資本を持っていない人が悪いでしょという意見もあります。しかしながら、経済は資本がある人だけで支えらているわけではなく、様々な経済事情を抱えた方々の経済活動があって支えられています。

ですので、セーフティーネットの関係からもこうした弱者を社会全体として救うためにも、そもそも居住が望ましくない区域として居住誘導区域外から除外する事もこれからの都市づくりにおける一つの選択だと考えられます。

この場合、問題が発生してくるのが土地の所有者です。

土地所有者の理解が必要

日本は土地を経済活動に組み入れてきた経緯があるため土地の売買等は経済を支える事業となっています。

そのような中で、市街化区域のうち浸水するエリアだからという理由で『居住誘導区域』から外したらどうでしょう。

居住誘導区域は、”居住を誘導する区域”ですよ。その区域に指定されないわけです。

いずれ、土地の評価が下がることは必至です。

その前に、これから急速な人口減少が進み世帯数も減少するので、結果的には都市全体の土地の評価が下がりますから、そのスピードが早いか遅いかの違いとなってしまいますけどね。

今を生きている人にとっては、資産価値が下がるそんな行為は『絶対にやめてくれ!』と言うのが容易に想定できると思います。誰も資産価値が下がっていいです!なんて人はいないですからね。笑

この街のためになるなら喜んで指定を受け入れてくれる聖人はほんの一部で、残りの人は『欲』がありますから、受けいれる事なんてのは、ほぼ100%無理なんです。

これを解決するには、補償金を出すか、居住誘導区域に指定できるよう河川改修等の治水事業を行う必要がありますよね。

補償金を出す事自体、どうなんだと言う声もありそうですが、残念ながら人情だけ人は動かないので『金』を使うのが最も効率的です。それでも地方であればあるほど土着意識が強いので、都市内での移住とはいえ、独居老人や高齢者世帯も多いですから、コミュニティー単位で移住しないとなかなか難しいかもですが・・・。

とは言え、なるべく早めに進めていかないと、年々水害は発生していますから、緩やかに30〜50年先の居住誘導区域外の人口が減るとは言え、その間は水害リスクと常に向き合うことになるので、長期的に見れば早急に対応した方が費用的にペイできる可能性もありますね。

本記事のまとめ

居住誘導区域に浸水エリアが含められているかどうかが問題ではなくて、災害が発生した場合に浸水エリア内に居住する方の安全や日常生活をどのように確保するかがポイントだと思います。

そうなると、やはり、はじめから災害リスクが発生しやすい場所には人は住まわせない事が重要です。
(ちなみ、浸水エリアで安全に居住する方法として、例えば、1階をピロティ構造にすればOKと言う考えもありますが、街並みとしてどうかと思いますし、車は水没です。)

まとめ
  1. 浸水する恐れがある区域の賃貸住宅は建築を抑制するのが望ましい。
  2. 誘導区域から除外し住宅利用をさせないためには、土地所有者には補償等の対応が必要となる。
  3. それでも誘導区域の解除が難しい場合には河川改修が必要となる。

いずれにせよ、何を選択するかは行政と住民が考える事です。

昭和より前の時代は、住民ではなくて行政が都市づくりを進めてきた経過があるので、これからは住民が都市づくりを考える時代に到来していますから一人一人の意見がとても重要ですし、行政も金がないので必然的に民間の力を借りる時代に来てますから住民というよりは民間の意見が尊重される時代になるんじゃないでしょうか。

さらに、今生きている人のためだけの都市づくりではなくて、将来50年や100年先を見据えないといけません。

それこそ、そんな人はいないと言われそうですが、都市は今を生きるあなたのモノではない。そう一人一人が理解する時代に来ていると思います・・・。

それでは、今回の記事は以上です。

最後までご覧いただきありがとうございました。