防火壁(防火床)の設置が必要な建築物は?

 

今回の記事
・防火壁(防火床)が要求される建築物は?
・防火壁(防火床)の構造はどのようにすればいいの?

上記の悩みを解決する記事です。

この記事を読むことで、防火壁(防火床)がどのような規定でどのような構造となるかのか理解することができるよう記事を構成しています。

こんにちは!建築士のやまけんです。

それでは解説していきます!




防火壁(防火床)は何で必要なの?

基本的な考え方として、防火壁(防火床)は、大規模な延焼を防止することが目的です。

下図を参照してもらうと分かりやすいと思います。

防火壁を設置する建築物は基本的に非耐火の木造建築物が該当しますので、そうすると、一旦火災が発災すると大規模に延焼する可能性が高まります。そのため、耐火構造の防火壁により炎が燃え移るのを遮断します。

防火壁(防火床)の設置が要求される建築物は?

防火壁(防火床)は、建築基準法の第26条に規定されており、次のようになっています。

[建築基準法第26条(防火壁等)]
延べ面積が1,000㎡を超える建築物は、防火上有効な構造の防火壁又は防火床によつて有効に区画し、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内としなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない
一 耐火建築物又は準耐火建築物
二 卸売市場の上家、機械製作工場その他これらと同等以上に火災の発生のおそれが少ない用途に供する建築物で、次のイ又はロのいずれかに該当するもの
イ 主要構造部が不燃材料で造られたものその他これに類する構造のもの
ロ 構造方法、主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準に適合するもの
三 畜舎その他の政令で定める用途に供する建築物で、その周辺地域が農業上の利用に供され、又はこれと同様の状況にあつて、その構造及び用途並びに周囲の状況に関し避難上及び延焼防止上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するもの

防火壁や防火床の構造は後ほど説明するとして、この防火壁・防火床が必要となる建築物は、延べ面積が1,000㎡を超える建築物となります。

防火壁・防火床の設置が要求される建築物
建築物(棟ごと)の延べ面積が1,000㎡を超えるもの

ただし、例外があります。

よくある例としては、耐火建築物と準耐火建築物ですね。準耐火建築物以上とすることで防火壁(防火床)の設置要求から逃れることが可能です。

特に工場の場合ですと、大規模空間の建築物にしたい場合があるので、その場合では工場の真ん中に防火壁を設置するわけにはいきません。

工場の真ん中に防火壁があったらめっちゃ邪魔です(笑)。ですので、ロ準耐火建築物にして設置要求から逃れます。

また、例外の二つ目は、卸売市場や機械制作工場で火災の発生が少ない用途が対象となります。
ちなみに二号イでは、主要構造部が不燃材料と規定されているのでほぼ既にロ準耐火建築物ですね。

さらに、例外の三つ目は畜舎・堆肥舎・養殖場が対象となります。詳しくは、告示(平成6年7月28日建設省告示第1716号 建築基準法第26条第三号の規定に基づく国土交通大臣が定める基準)を参照してください。

では、次に、防火壁・防火床の構造について説明します。

防火壁・防火床の構造は?

防火壁(防火床)の構造は、建築基準法施行令第113条に規定されています。要約すると次のとおりです。

防火壁(防火床)の構造
  • 耐火構造
  • 国土交通大臣が定める構造(詳細は下記を参照)
  • 開口部の幅及び長さは2.5m以下かつ特定防火設備(面積区画と同等の機能)

耐火構造としなければならず、さらに、防火壁の場合には自立することが求められるなど、政令と告示においてきめ細やかに規定されています。

この法令等を読むと、これじゃあ防火壁を設置する例は少ないだろうなとわかって頂けると思います。設計の自由度が下がりますし、コストも上がります。公共建築以外ではあまり使用しないかな?という印象です。

私自身、実際の建築物で防火壁を見ることがあるのはほとんどありません。かなりイレギュラーですね。
それを踏まえて、構造については予備知識として学習しておくと良いかもしれませんね。

[建築基準法施行令第113条第1項(木造等の建築物の防火壁及び防火床)]
防火壁及び防火床は、次に定める構造としなければならない。
一 耐火構造とすること。
二 通常の火災による当該防火壁又は防火床以外の建築物の部分の倒壊によつて生ずる応力が伝えられた場合に倒壊しないものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
三 通常の火災時において、当該防火壁又は防火床で区画された部分(当該防火壁又は防火床の部分を除く。)から屋外に出た火炎による当該防火壁又は防火床で区画された他の部分(当該防火壁又は防火床の部分を除く。)への延焼を有効に防止できるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
四 防火壁に設ける開口部の幅及び高さ又は防火床に設ける開口部の幅及び長さは、それぞれ2.5m以下とし、かつ、これに特定防火設備で前条第18項第一号に規定する構造であるものを設けること。

ここからが構造の重要な部分となります。

上記に記載した構造の他に次の基準が設けられています。

国土交通大臣が定める基準(防火壁・防火床共通)
[防火壁・防火床共通]
木造の建築物においては、無筋コンクリート造又は組積造としないこと。
→つまり、ほとんどのケースで鉄筋コンクリート構造となります。

 

国土交通大臣が定める基準(防火壁)
[防火壁]
自立する構造とすること。
→防火壁の場合には、それ自体で自立する必要があります。
*自立するためにはそれなりのコストを要するので、これも防火壁が嫌われる要因です。

・壁の両端及び上端を、建築物の外壁面及び屋根面から50㎝(防火壁の中心線から水平距離1.8m以内の部分において、外壁が防火構造であり、かつ、屋根の構造が平成12年建設省告示第1367号の規定に適合するもの又は令第119条の3第一号の規定による認定を受けたものである場合において、これらの部分に開口部がないときにあっては、10㎝)以上突出させること。ただし、防火壁を設けた部分の外壁又は屋根が防火壁を含み桁行方向に 幅3.6m以上にわたって耐火構造であり、かつ、これらの部分に開口部がない場合又は開口部があって、これに建築基準法第2条第九号の二 ロに規定する防火設備が設けられている場合においては、その部分については、この限りでない。
→基本的な構造の考え方として、防火壁は屋根・外壁面から50㎝以上突き出る必要があります。
 ただし、防火壁の周囲を耐火構造とすることで緩和措置が設けられています。
*この突き出るというのが意匠的にダサくなるわけですね。

 

国土交通大臣が定める基準(防火床)
[防火床]
防火床を支持する壁(耐力壁に限る。)、及びはり耐火構造とすること。
→防火床だけではなく、床を支持する壁や柱、はりも耐火構造とすることが求められます。

・次のアからウのいずれかに該当
 防火床(屋外にある部分の裏側の部分の仕上げを不燃材料でしたものに限る。)が建築物の外壁から1.5m以上突出したものであるほか、防火床の上方で、防火床の中心線から垂直距離5m以内の部分において、外壁及び軒裏が防火構造であり、かつ、外壁及び軒裏の屋外側 の部分の仕上げが準不燃材料でされ、外壁の開口部に法第2条第九号の二ロに規定する防火設備が設けられていること。
 防火床の下方で、防火床の中心線から垂直距離5m以内の部分において、外壁が耐火構造であり、かつ、外壁の屋外側の部分の仕上げが不燃材料でされ、外壁の開口部に法第2条第九号の二ロに規定する防火設備が設けられていること。
 防火床の上方及び下方で、防火床の中心線から垂直距離5m以内の部分において、外壁及び軒裏が準耐火構造であり、かつ、外壁及び軒裏の屋外側の部分の仕上げが準不燃材料でされ、外壁の開口部に法第2条第九号の二ロに規定する防火設備が設けられていること。
→アからウのうちから選択することとなりますが、いずれも下階で発生した火災が上方に延焼しない措置(防火区画のうち、水平区画でいうところのスパンドレルです)が必要となります。

防火床を貫通する竪穴部分と当該て竪穴部分以外の部分とが耐火構造の床若しくは壁又は特定防火設備で同条第18項第一号に規定する構造であるもので区画されていること。
→竪穴区画となる部分とそれい以外は耐火構造・特定防火設備で区画しないさいとするものです。

この国土交通大臣が定める構造については、告示(外部リンク)に記載されています。

本記事のまとめ

防火壁・防火床について解説しました。

近年の改正により防火床もOKとなりましたが、これについては木造建築物を普及させていこうとする国の大きな流れの中で改正されたものです。従来は自立型の防火壁しかOKとはなりませんでしたが、この改正による床による区画も可能となったため、3・4階建てに柔軟に対応することが可能となったものです。

まぁ、木造建築物でも耐火建築物の仕様することができるようになっているので、防火壁(防火床)が汎用性高くなることはないとは思います。出会えたら奇跡に近いかもしれませんね。笑

ということで今回の記事は以上となります。参考になれば幸いです。

それでは最後までご覧いただきましてありがとうございました。