在宅ワーク(リモートワーク)の建物用途と、これからのこと[建築基準法の解説]

新型コロナウイルス感染症(COVIDー19)による感染拡大が日本中で進んでいるなか、だんだんと在宅ワーク(リモートワーク)が増えはじめていますね。当然のように在宅ワークは推奨されるべきことですし、それに感染拡大防止に効果があるでしょうから、そういった方が増えて欲しいですね。

ただ、建築や都市計画を専門とする私の視点は異なります。

「住宅の中で仕事をすると、場合によっては違法建築物となる恐れがあるのでは」

今回は、在宅ワークと建築基準法の関係をちょっとだけ真剣に考えてみました。

どうも、建築士で都市コンサルのやまけん(@yama_architect)です

ということで早速、熱く語っていきたいと思います。




在宅ワーク(リモートワーク)の用途は?

はじめに、在宅ワークにおいて使用する道具は「パソコン」ですよね。

多くの方がパソコンによる作業が大半だとすれば「事務所」でオフィスワークするのと何ら変わらないです。だとすれば建物用途については「事務所」と考えるのが妥当かなと思います。事務所ですから特殊建築物ではないですね。

人によっては、裁縫やデータ入力といった内職といわれる作業をされる方もいるかもですが、基本的には一人で事務的にこなすのがほとんどですから「事務所」が適当なところだと思います。

ただし、内職でも袋詰めなど、作業を伴うものについては、「作業場」とみなされる可能性もあります。作業場を有する施設であれば、工場となるため建築することが出来る用途が限られ、低層住居専用地域などでは建築することができません。

作業場と事務所の違いは、生産、集荷、処理といった行為や騒音、振動が継続的に発生しているかどうかです。さらに、一般的に誰がどうみても事務所でのオフィスワークと言えないよう作業行為は作業場となることに十分な注意が必要です。

集団規定の適用事例における判断事例

なお、「建築確認のための基準総則集団規定の適用事例(2017年度版) 編集:日本建築行政会議」においては、SOHO(Small Office Home Office)について、3点(トイレ、キッチン、浴室)セットが揃っている場合には、「共同住宅」、一点でも欠ける場合は「事務所」と判断すると書かれています。

※ITを活用して事業活動を行っている事務所やテレワークためのサテライトオフィス、自宅を利用した事務所兼用住宅など

違法建築物となる可能性は?

通常、住宅の中の一部(リビングや書斎)などで「パソコン」を利用して作業する分については、「事務所」としても住宅の割合の1割も満たないケースがほとんどでしょうし、会議室があるわけではないですから、住宅の一部として捉えておけば良いと考えられます。

そのため、違法となることはほぼないと考えられます

違法となる可能性があるとすれば、不特定多数を集めて、集会を開いたりするケースでは、集会場の用途(特殊建築物)と判断されることが考えられるため、住居系用途地域では、第一種低層住居専用地域などでは建築することはできません。

なお、レンタルスペースでも、集会場用途に使用しないケース(会議室以外の使用を禁止)であれば事務所として判断することも可能ですが、将来的に集会として利用される可能性を否定できない場合には集会用途として考えておくべきです。

まとめ

住宅内でパソコン利用をしたテレワーク程度であれば「住宅」または「住宅兼事務所(兼用部分については面積等の制限あり)」でOKです。このことから、工業専用地域を除く用途地域で建築することが可能となります。

👉兼用における面積制限についてはこちらの記事をご覧ください。

第一種低層住居専用地域内で事務所や店舗の建築は可能?

2020-02-07

ただし、共同住宅に在宅ワーク用以外のスペース(レンタルスペースで集会用途に使用するケース)では、集会場用途判断される可能性もあるため、建築基準法別表第2において「建築することができる建築物」として制限が定めらている地域(第一種低層住居専用地域など)では建築することはできません。

ということで、今回の記事は以上となります。参考となれば幸いです。

最後に 今後都市のあり方が変わる

これまでの都市政策における土地利用のコントロールについては、大きく住居・商業・工業の3つに大きく分類して建物を制限・誘導していきたのが都市計画法と建築基準法です。

これによって、一定程度の住環境を確保してきたわけですが・・・

しかしながら、新型コロナウイルス(COVIDー19)と働き方改革をあって、1時間や場合によっては2時間以上もかけて住宅地から商業地にあるオフィスまで通勤する人数が大きく減っています。

企業としては、生産性を維持したいため、リモートワークに必要な技術向上を図っていくでしょう。

だとすれば、今後、オフィスで働く必要性が低くなっていくのは必然です。当然、全ての業種には適用されませんが、それでも、これから1から2年以内には十分に生産性を上げることが可能であると証明されていることでしょう。

そうなると、わざわざ商業地にオフィスを構えて規模の大きい床を確保する必要がなくなります。そうなれば、商業地の床は少なくなっていくことが考えられるので、そうなれば、ますます都市のコンパクト化を進めやすくなるのは必至ですし、用途地域の制限の考え方もそうした時代に馴染まなくなっていくのではないかと思います。

現時点では未知数な部分が多いですが、都市計画も柔軟に変更していくことが求められる時代となりそうです。これから、これに関した記事も書いていきたいと思いますので、たまに覗いてみてください。