道路斜線制限を理解するための基礎知識(宅建士向け)

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  • 建築基準法第56条の規定される道路斜線制限について、基本的な内容を解説しています

こんにちは!はじめて訪問された方はじめまして!!
やまけん(@yama_architect)といいます。建築や都市計画に関する業務経験を活かして建築士や宅建士の業務に役立つ情報を日々発信しています。

この記事を読むことで、道路斜線制限についてある程度の理解(基本)ができるようになると思いますので、それでは簡単に説明していきます。




道路斜線制限の目的は?

はじめに『道路斜線制限は何故規定されているのか?』、それは簡単に言うと良好な都市空間の確保が目的です。道路斜線制限といっても隣地斜線や北側斜線などの高さ制限の一つとなります。

東京都内や大阪などの大都市の場合ですと、道路境界線ギリギリに高層の建築物が建築されている幅員の狭い道路を誰もが通ったことがあるはずです。

そのとき、とても圧迫感を感じたことがあるはずです。(というか上からモノが落下してこないか心配になりません?ww)

一方で地方のロードサイド型の店舗などは、道路側は駐車場となっているケースが多いので建築物は道路側に近いづいていませんし、容積率も半分以上残っている。その場合、圧迫感は感じないんですよね。(道路沿いを車で走行したり歩いても空を見上げることが可能)

道路斜線制限を設けることで、この圧迫感を軽減し、適切な都市空間(空)を確保するものでして、道路の幅員や用途地域に応じて道路沿いに建築できる建築物の高さが異なります。

なんとなく理解頂けたかなと思いますが、この規定がないと建築物の密度が高い地域は日照や通風といった面で不衛生な市街地空間が形成される可能性がたかります。

道路斜線制限は法別表第3

 

では、法律の規定から説明すると、道路斜線制限は建築基準法第56条に規定されており、基本的事項については同条第56条第1項第一号に規定されており、次のように記載されています。

[建築基準法第56条第1項第一号(建築物の各部分の高さ)]
建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの以下としなければならない。
一 別表第3(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域、地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表(は)欄に掲げる距離以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得たもの

ここで重要なのは『法別表第3』です。

ここに道路斜線制限の基本が次のようにまとめられています(下表は分かりやすいよう一部加工しています)


図 道路斜線制限の基本

上図のうちA B C Dとあるのは、表の値等とリンクしています。例えば、第一種中高層住居専用地域で容積率が200%であれば、適用距離は20m、(D)の数値は1.25となります。

ここで容積率の記載がある(B)について少し説明します。

建築基準法第52条第1項

建築基準法第52条第1項とは、用途地域内において都市計画に定められた容積率のことをいいます。

同項第1号が第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域、第2号が第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域及び近隣商業地域、第3号が商業地域、第4号が工業地域及び工業専用地域、第5号が高層住居誘導地区、第6号が特定用途誘導地区、第7号が用途地域の指定のない区域について規定されています。

建築基準法第52条第2項

次に第2項の規定ですが、第2項については、12m未満の前面道路に対する容積率の算定の規定です。

前面道路に掛ける数値は原則として住居系で0.4、住居系以外では0.6or0.8となっており、例えば、住居系用途地域で前面道路が4mであれば、容積率は4m×0.4=160%となります。

なお、当然ながら第1項の規定による指定容積率を超えることはできませんので、例えば住居系で前面道路の幅員が6mの場合、240%となりますが指定容積率が200%の場合は200%が適用されます。

土地購入時の重要事項:指定容積率?違います!前面道路の幅員が重要

2019-06-04

建築基準法第52条第7項

次に第7項の規定ですが、第7項は容積率が2以上にわたる場合の容積率算定方法の規定です。

都市計画で定められた容積率が異なる用途地域が複数またがる場合は、加重平均により容積率を計算するため、建築する敷地のそれぞれの用途地域の割合によって算定されます。

建築基準法第52条第9項

次に第9項の規定ですが、よく建築士では試験として出題されるのでご存じの方も多いかもしれません。

幅員15m以上の道路(いわゆる特定道路)に接続する幅員6m以上12m未満の前面道路に接続する場合には容積率の緩和を受けることができるとされる規定です。

先ほど説明した第2項及び第7項の幅員に次の数値(Wa)を加えることができます。

Wa=(12-Wr)*(70-L)/70

Wa:建築基準法第52条第9項の政令で定める数値
Wr:前面道路の幅員(単位:m)
L  :法第52条第9項の特定道路からその建築物の敷地が接する前面道路の部分の直近の端までの距離(単位:m)

その他補足①

不動産取引においては、建築物は建築されておらず更地での取引のケースが多いことから、道路斜線制限については前面道路の幅員、用途地域、特定行政庁や条例による制限の有無などの説明にとどまると思います。

また、具体的な建築計画がない場合は、セットバックによる緩和の適用なども検討することはできないため、斜線制限については一般的な内容の説明となるとは思いますが、だからと言って説明が疎かにならないように気をつけましょ。特に前面道路が4mなどの場合、指定容積率通りとなるケースは少ないので、後々トラブルとならないよう注意したいところです。

その他補足②

第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域及び田園住居地域の場合には、絶対高さ制限(建築基準法第55条)が都市計画により定められていますので、道路斜線制限とあわせて高さ制限が設けられることとなるため注意が必要となります。

各市町村が発信している都市計画情報により確認することができますので、この3つの用途地域(第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域及び田園住居地域)の土地取引の場合には注意しておく必要があります。

その他補足③

道路斜線制限については、いくつかの緩和(建築物がセットバックした場合、2以上の前面道路がある場合、前面道路の反対側に公園、広場、水路などがある場合、前面道路が地盤面よりも1m以上低い場合)細かく規定されています。

そのため、実務上は、整形された土地というのは稀ですので、土地の周囲の状況等や前面道路との接し方などにより道路斜線制限は異なります。

ですので、建築確認申請メモなどの斜線制限の規定が図表等で簡単にわかるものを一冊持っておくと土地取引時のクライアントへの説明を円滑に進めることができると思いますので、宅建士の方でも購入されることをお勧めします。

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