地域公共交通計画(旧地域公共交通網形成計画)が努力義務化

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令和2年6月3日に公布(施行日は公布日から6カ月以内を予定)された「改正地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律」について、改正法のポイントを解説

こんにちは!やまけん(@yama_architect)です。
建築士や宅建士、不動産業界で働く方向けに役立つ情報を発信しています。

今回の記事、『地域公共交通』に関しての参考記事です。近年改正された内容にわたしの独断と偏見の考えを盛り込んでますww 行政の方や地域の公共交通をどうにかしたいと考えている方の業務に役立つかなーと魂込めて書いてますので是非♪




地域公共交通計画の枠組みと立地適正化計画との関係性


※出典:地域公共交通の活性化及び再生に関する 法律等の一部を改正する法律について@国土交通省

「公共交通」といっても東京や大阪などの三大都市圏に住んでいると、高頻度輸送の鉄道やバスがありますから、あまり不便さを感じることはないと思いますが、人口が10万人未満の中小都市に住むと悩みはかなーり深刻です。

市街地でも路線バスや鉄道は1時間に1本。少し郊外に行こうものなら日帰りは困難なんてごく普通にありえる話です。

そこで、平成26年の制度改正により登場したのが、従前の「地域公共交通網形成計画」です。基本的には市町村が作成していますが、県が作成しているケースもあります(法的には都道府県も作成することができます)

まちづくりと連携(多極ネットワーク型コンパクトシティの形成を図る立地適正化計画)し、面的な公共交通ネットワークの再構築を図るため地域公共交通活性化再生法に法定計画として規定されたものです。

また、この計画の具現化として、地域公共交通再編事業(路線バスの再編等を国や自治体が支援する仕組み)が創設されたことで、いくつかの地方都市ではネットワークの再編(最適化)を推進できたという認識でいます。

地域公共交通計画の要旨

今回の改正においては、計画の名称が変更されたものの、従前どおり国や自治体による交通事業者への支援若しくは自治体が主体的となった公共交通の確保に関する取り組みに対しての支援が盛り込まれています。

この地域公共交通計画の枠組みとしては、当該計画の中に、従来の路線バス等の再編などを進める「地域公共交通利便増進実施計画」と、

新たに加えられたと言っていいと思いますが、路線バスの維持が困難な場合に、地方公共団体が関係者と協議の上、公募により代替する輸送サービス(コミュニティバス、デマンド交通、タクシー、自家用有償旅客運送、福祉輸送等)を導入する「地域旅客運送サービス継続実施計画」が位置付けられています。(法律では、この他に貨客効率化運送実施計画(貨客混載)が新たに規定されています)

どちらも国土交通大臣の認定を受けることで、国から予算上の支援や法的な特例を受けることができるようになります。

立地適正化計画との関係性

立地適正化計画とは、都市再生特別措置法に規定されている市町村計画(計画対象区域:都市計画区域)でして、簡単に言うと、居住や都市機能の誘導を図る区域を拠点ごとに複数定めるとともに、それら区域を公共交通で繋ごうとするものです。

いわゆる多極ネットワーク型コンパクトシティの形成です。(市町村内に複数の拠点を設けて、それらをネットワーク化する感じ)

立地適正化計画においては、この“ネットワーク”の形成を図る事業については関連施策として位置付けることがはできるものの、根本的なネットワークの構築を図る部分については、この地域公共交通計画と連携を図ることとされており、両計画があってはじめてコンパクトシティを進めていると言えるかなってところ。

ですから、両計画は必須です。


▽ 以下、不動産事業者向け

この記事とは、直接関係はないですが、地方都市でも一定の生活利便性を求めるなら居住誘導区域の居住が推奨されるところですが、洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域などのいわゆるイエローゾーンを居住誘導区域に含めている都市があります

これまでの都市形成の成り立ちを考慮すれば河川流域沿いに都市が発展してきましたから致し方ないかなとは思いますが、今回の交通の改正同様に都市再生特別措置法も改正され、新たに居住誘導区域内の防災・減災対策を盛り込む防災指針を立地適正化計画に記載することになったので、今後、居住誘導区域の見直しを行う必要が生じ、洪水被害の大きい区域は除外される可能性があるかもしれません。

その場合、居住誘導区域ではなくなることから、計画と連携する地域公共交通計画における基幹的な交通の軸から外れる可能性もあるかもしれません。

地域公共交通活性化再生法の改正について

国土交通省の資料に基本的な考え方が示されていたので参考なるかなと思いますので掲載します。前提として、地方都市における移動手段確保の考え方となります。

  • バス・タクシー労働力確保とサービス維持を図りながら、サービスが不足する地域では、その他の移動手段(鉄道やバス以外のもの)を総動員して移動ニーズに対応する。
  • MaaS、AIによる配車、自動車運転などの最新技術を活用し、高齢者や外国人旅行者を含む幅広い利用者に使いやすいサービスの提供を促進する。
  • 上記2つについて、地方公共団体が中心となって取り組める制度を充実・強化

 

というかわたしが気になったのは、総動員というフレーズを使わないといけいない状況にあるという点が非常に問題なのかなと思うところです。

総動員ですよ!? 歴史の授業で覚えた国家総動員法を思い出してしまいました・・・w

じゃ話は戻り、国では、次の3つが地方都市の交通事情の大きな課題があるとしています。

  1. 運転免許を返納又は運転できない高齢者が増加し公共交通がないと生活ができない方が増加
  2. 地方では路線バス事業は輸送人員が年々減少しかつ収支が赤字、廃止路線が増加
  3. 運転手不足が深刻(労働時間が長い、年間所得が相対的に低いことから若年者就業を敬遠)

 

ですので、どうしようもない状況です。

だから、活用ではなく騒動員です。

…ちなみに鉄道や路線バス、コミュバス以外の輸送資源としては、自家用有償旅客運送、病院・介護等の福祉輸送、スクールバスを考えられているようです。

余程、地方都市の交通事業は深刻であり、国としても、もういい加減、メリハリつけて曖昧な態度は取らずにちゃんとやれ!ということなのかなーと勝手にイメージしています。

わたしとしてはこれまでも伝えていますが、AIやIoTなどのテクノロジーが発展を遂げる中では、人の一日あたりの移動量は減少し、人の替わりにモノやサービスが移動する時代が必ず到来すると思います。

現にコロナの影響もあって在宅勤務に切り替えた方はこの世の中の動きを実感しているのではないでしょうか。

とはいえ、地方都市ではこの動きよりも公共交通の衰退の方が早いため、交通弱者でインターネットに接続することが困難な世代は危機的な状況にあると思います。

もう地方では利便性を享受するものではなくて、セーフティーネットの役割の方が高いと言っていいと思います。

ですから採算性を議論することに意味はなく、人が移動しなくても医療や福祉、商業といった必要なサービスを受けることが可能な新たなテクノロジーが地方にも普及はじまるまでの間は、税金を投入して最低限の移動サービスを守っていくことが求められていると考えられます。

改正の基本スキーム

※出典:地域公共交通の活性化及び再生に関する 法律等の一部を改正する法律について@国土交通省

でもって次は改正されたところのポイントの部分です。

一番のポイントは名称が変更されて地域公共交通網形成計画から地域公共交通計画となったこと、短期間で計画の名称が変更されたというのは珍しいかなと思います。

なぜ変わったかというと第5条の条文中で計画の目的として、「持続可能な地域公共交通網の形成」であったところが、「地域旅客運送サービスの持続可能な提供の確保」に変更されたものです。

「地域旅客運送サービス」とは、地域住民の自立した日常生活及び社会生活の確保、活力ある都市活動の実現、観光その他地域間の交流の促進並びに交通に係る環境への負荷の低減を図るための基盤となる地域における旅客の運送に関するサービスのことをいいます。

つまるところ、地域の日常生活や生産活動における交通の確保等に必要な人を移動させるためのサービスのことです。

また、この法律の第5条が変更されたことが大きなポイントと思われます。

というのもこれまでは地域公共交通網形成計画は「作成することができる」とされていましたが、これが「作成するよう努めなければならない」となった点(努力義務)かなと思います。

これにより努力義務となったことから策定することが原則ですので、全国の市町村で作成が進められることとなります。

しかしながら、この計画は路線バス事業者やタクシー事業者といった交通事業者の関わりなしに作成することはできない計画となっていますので、コロナの影響もある中では市町村と協力していける体力が事業者に残っているのか心配になります。

かなり経営状態は厳しいものと想定されます。

この状況下においても交通が処理できているという点で既に役割を終えたのでは?という疑問も出てきそうですが、今後、地方では高齢者が急速に増加するはずですから、これからも一定の役割はあるかなーと思うところです。

【地域公共交通活性化再生法第5条】
地方公共団体は、基本方針に基づき、国土交通省省令で定めるところにより、市町村にあたっては単独で又は共同して、都道府県にあっては当該都道府県の区域内の市町村と共同して、当該市町村の区域内について、地域旅客運送サービスの持続可能な提供の確保に資する地域公共交通の活性化及び再生を推進するための計画(以下「地域公共交通計画」という。)を作成するよう努めなければならない

参考:新モビリティサービス事業とは?


※出典:地域公共交通の活性化及び再生に関する 法律等の一部を改正する法律について@国土交通省

法第2条の定義において、新モビリティサービス事業について記載されていますが、いわゆるMaaSというものです。

MaaSとはMobility as a Serviceの略で、複数の交通機関の移動サービスを最適に組み合わせて検索⇒予約⇒決済等を一括して行うサービスのことなのです。

欧州の一部地域ではMaaSの普及が進んでとり日本でもMaaSの実装に向けた取り組みが2、3年前あたりから本格的に進んできた感じかなーと思っています(←あくまでもわたしの感覚です)

【地域公共交通活性化再生法第2条第16号(抜粋)】
新モビリティサービス事業 情報通信技術その他の先端的な技術を活用して2以上の交通機関の利用に係る予約、料金の支払その他の行為を一括して行うことができるようにするサービスその他の当該技術の活用により交通機関の利用者の利便を増進するサービスを提供する事業をいう。

また、新モビリティサービス事業を行おうとする事業者は、計画を策定して認定を国から受けることができるようになっており、次の事項について記載することとなっています。

  • 事業実施区域
  • 事業の目標
  • 事業の内容
  • 事業の実施時期
  • 事業の実施に必要な資金の額,その調達方法
  • その他国土交通省令で定める事項(現時点では未定)

認定基準

  • 基本方針に照らして適切であること。
  • 計画は、事業を確実に遂行するために適切なものであること。
  • 詳細は国土交通省令(現時点では未定)で定められる予定。

その他

地方公共団体は、新モビリティサービス事業の実施に関して必要な協議を行うための協議会を組織することができるとされている他、計画の認定を受けた事業者は、地方公共団体に対し協議会を組織するよう要請することもできるようです。

また、事業の実施にあたり、法第37条に基づき国や地方公共団体は必要な資金の確保に努めるものとされております。

地域公共交通計画に記載する内容

次にポイントとしては、作成する地域公共交通計画に記載する事項です。

  • 第37条の規定による資金の確保に関する事項
    第37条とは、国や地方公共団体による資金の確保に関する規定です。この地域公共交通計画に定められた目標を達成するために行う事業等の推進を図るために国や地方公共団地は必要な資金の確保に努めるものとされます。
  • 都市機能の増進に必要な施設の立地の適正化に関する施策との連携に関する事項
    これについては、立地適正化計画の都市機能誘導区域に誘導を図る誘導施設との地域旅客運送サービスの持続可能な提供の確保に際し配慮すべき事項
  • 目標値については地域旅客運送サービスについての利用者の数及び収支その他の国土交通省令で定める定量的な目標を定めるよう努める。
    現時点においては省令が明らかになっていませんので、施行前(12月前まで)には明らかになるかなと思われます。

 

それから、地域公共交通計画の評価は重要です。

というのも新たに加えられてものでして、計画で位置付けた施策の実施状況等に関する調査や分析、評価を行うことが必要となり、毎年度評価の上、主務大臣への報告が必須となります。

補足:国の目標(KPI)

※出典:地域公共交通の活性化及び再生に関する 法律等の一部を改正する法律について@国土交通省

これは自治体関係者にとっては重要なポイントとなります。

国では2024年(令和6年)の目標として、「地域公共交通計画」の策定件数と「地域公共交通計画&立地適正化計画」の策定件数をそれぞれ、1,200件と400市町村、さらに国による実施計画の認定件数を200件としております。

昨年12月時点でそれぞれ539件、181市町村、50件となっていますから、これから4年間で倍以上にしていこうとする動きがあるわけですから、路線バスが危機的な状況にある市町村については、策定に向けた動きを早めていかないと関連する事業の補助等に影響するかなと思われます。

その他、国情報はこちらのページをご覧jください。https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000055.html

 

ということで以上となります。参考となれば幸いです、。