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実家が空き家となった場合の対処方法(選択肢)を検討する方法

こんにちは!やまけん(@yama_architect)です。

過去の行政経験をもとに建築や都市計画に関して生活に役立つ記事を書いているブロガーです。

ということで早速。

この記事では、近年、地方を中心に急速に増加している『空き家問題』について、実家が空き家になってしまった。その対処方法をどうすればいいの?と悩んでいる方向けに、ケースごとの選択肢を書いています。




そもそも空き家には4つの種類がある

空き家といっても、4つに分類されています。

国が行っている「住宅・土地統計調査」の定義となりますが、空き家については基本的に4つの括りとなっています。

おそらくこの記事を読んでいる方は、実家が空き家になってしまい、その後の対処方法について悩んでいる方だと思います。どれに該当するかというと、4つ目の「その他の住宅」です。

※それぞれの用語の隣に記載の( )書きは平成30年住宅・土地統計調査での数です。

空き家の種類
  • 二次的住宅(38万戸)
    別荘
    :週末や休暇時に避暑・遊寒・保養などの目的で使用される住宅で、ふだんは人が住んでいない住宅その他:ふだん住んでいる住宅とは別に、残業で遅くなったときに寝泊まりするなどたまに寝泊まりしている人がいる住宅
  • 賃貸用の住宅(431万戸)
    新築・中古を問わず、賃貸のために空き家になっている住宅
  • 売却用の住宅(29万戸)
    新築・中古を問わず、売却のために空き家になっている住宅
  • その他の住宅(347万戸)
    上記のいずれにも該当しない人が住んでいない住宅
    で、例えば、転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など(空き家の区分の判断が困難な住宅を含む)

なお、こちらの「その他の住宅」の空き家ですが、5年毎の調査の度に増加しており、5年前に比べて29万戸増えています

これが国の統計調査に基づく空き家の定義です。

二次的住宅も空き家…? 違うんじゃないかなと思っちゃうかもしれませんが、現在のところはこのような定義となっています。

空き家は、単純に全国に347万戸あるんですよ。これじゃあ社会問題になりますよね。

ちなみに都内の世田谷区でもその他の住宅が1万2千戸もあるそうです。


市街地の場合ですと、防犯や防災上の課題が生じますし、景観も阻害する要因となることがあるので、都市全体の魅力を低下させる原因になっちゃってます。

だって、自分の家の隣が空き家で何も手入れされていなかったから怖くないですか・・・私だったら絶対嫌だし、空き家で放置するならさっさと解体して欲しいと思ってしまいます。

もしかしたら自分自身はその土地に住んでいないからひょっとしたら気付いていないかもしれませんが、もし自分が廃屋となった土地の隣で暮らしているイメージを持ってみてください( ´△`)

ちょっと脱線しましたが、次に法律上の定義です。法律は、国土交通省が所管しています。

法律上の空家の定義

正式な法律名称は、空家等対策の推進に関する特別措置法といい平成26年11月に公布されています。この法律の中において、「空家」が定義されており、次のように規定されてます。

この法律において、空家等とは建築物又はこれに附属する工作物であって、居住その他の使用されていないことが常態であるもの及び敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。

さらに注目した方が良いポイントとして、特定空家等というものでして、放置し続けると倒壊したりして保安上危険性が高いものが法律で決められています。ちなみに特定空家等に指定されると、固定資産税の軽減措置(住宅用地の場合の特例)が適用されるなくので、放置している方は注意してください。

そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

ではでは、ここからこの記事の本題です。

実家が空き家となってしまったらどうすればいいのか 。

これについて答えていきたいと思います。

空き家となった場合の対処方法はどうすればいいの?

先祖代々の土地、建築物は解体するにも費用がかかるし、かといって残していても、建物の維持や庭枝などを維持管理するにもコストがかかる。

そんな感じで悩んでいるのではないでしょうか。これって実は『価値と価格』に分けると、自分がどのような選択肢をとればいいのか判断の基準となります。自分にとってその空き家は価値あるものなのか、そうではないのかを考えてみてください。

わたしの場合ですが、

先祖から受け継いでいる土地:価値
先祖から受け継いでいる日本家屋:価値

先祖から代々受け継いだ土地や家屋は、一般的には子孫にとっての価値があるとなりますが、歴史が浅く、しかも住宅市場において汎用性が高い建売住宅などは自分にとっての大きな価値はなく、換金性の高い不動産くらいにしか思えません。多少、両親と暮らした記憶が残っていたとしても、記憶は写真や自分の心の中で想っていればいいという考えです、人によっては考え方は様々あると思うので、時間が出来たときにでもゆっくり考えてみるのがおすすめです。

正直、わたし自身も地方出身なので空き家の問題についてはとても理解できます。

親が亡くなり自分だけ残されて、でも本拠地は都内や首都圏に移っているし、今更、閉鎖的なコミュニティが残る地方に戻る気はないから、早めに処分したいけど、先祖から続く土地だと言われてきたし、どうすればいいの・・・?(ちなみに、私は早めに処分する方です)

放置はOUT

悩むからと言って、放置しては絶対にダメ!

先ほども言いましたが、都市の防犯・防災上非常に悪いです。仮にその空き家を犯罪者に使用されたり、何かの腹いせに放火されたりしたら大変ですよね。それに、手入れされていない住宅があるだけで周囲の環境を悪化させます。なので、不動産所有者は社会的責任を負っていることを自覚する必要があります。

ちなみに悩んだら相談しましょうね。

空き家の問題は全国的な課題となっているため、市場も大きくなりつつあります。そのため、空き家の関連でどのようなサービスを受けるにしても、業者選びはとても大切です。

こちらのサイトは東証一部の上場企業である株式会社LIFULLさんのグループ企業が運営しています。『主にみんなの遺品整理』を「遺品整理」、「生前整理」、「空き家片付け」などのサービスを提供している業者を紹介してくれます。




じゃあどうするのか。

空き家の対処方法

はじめに、なぜ空き家で悩むかといったら、”処分するかどうか”が大半だと思います。

正直言いますと、売りたいのに、その他の外部要因があるから売れないが正しいのかなと思ってます。わたしが勝手にこれがおすすめですとは言えないですが、その選択を行った後、自分や家族が楽になるのであれば、迷わず選んだ方がいいのかなと思います。

市街地(都市計画法に基づく用途地域が工業専用地域に指定されている地域を除く)の空き家で接道が確保されているのであれば、売却するのはさほど難しくはないと思います。(接道が確保されていない土地であれば、再建築はできませんのでご注意ください。詳しくはこちらのページをご覧ください。
▶️【無接道敷地の価値とは】再建築のための方法などのまとめ)

しかしながら、市街化調整区域であったり公共交通もないような不便な地域であれば、圧倒的に買い手が少ないことから売るにも売れないケースが多いと考えられます。
(*だからと言って市街化調整区域が悪いから市街化区域にすべきだとは思わないでください。これから地方は人口減少を迎えるなか、無秩序な市街地拡大はインフラ維持費用を増大させる無駄な行為です。)市街化調整区域でもその区域に見合った行為(農林漁業等)に供する建築物であれば建築可能です。

市街化区域内 市街化調整区域 都市計画区域外
土地需要 大きい
(工業専用地域を除く)
著しく小さい 小さい

空き家所有は使っていない車と同じ

これは私の自論です。

空き家は使用していない車と同じで、所有するだけ維持管理コスト(固定資産税・都市計画税、建築物の保全など)が発生し、自分自身にとっての効果が得られなければ所有する意味はないです。

固定資産税や都市計画税がどの程度かかっているかは、親の固定資産税台帳を確認すれば簡単に調べることが可能です。

効果がないものを所有し続ける行為は、洋服を断捨離できないのと同じですよね。

〔参考〕
東京都さんでは、空き家の解決事例と、空き家の解決の手掛かりとなる基礎知識をまとめた東京空き家ガイドブックがホームページで公表されていますので、都内住みの方や大都市に住んでいる方で実家が空き家になってしまったという方の参考になるかなと思います。

記事を取得できませんでした。記事IDをご確認ください。

東京空き家ガイドブック

それでは、空き家処分の選択肢を説明していきます。

空き家処分の選択肢

では、はじめに実家の空き家は、どうしたいのか?

まず自分自身でメリットとデメリットを考えてみましょう。これを考えずに目先のことだけを考えてしまうと失敗する可能性があります。売っておけば良かった・・・売らなければ良かったの両方があります。
▶️空き家を保有することのメリットとデメリット

なお、どれだけアドバイザーがこうした方がいいですよ!と言っても最終的には自分で判断するのでこればっかりは私も何が正解かをお伝えすることはできないので、選択肢をお伝えする程度となります。

ただし、注意して欲しいことがありまして、「この方法が絶対いいですよ!」という価値観を押し付ける言葉には気を付けましょうね。全員とは言いませんけど、その裏には何か理由があるはずから、その言葉が聞いたときは要注意です!!!

その上で選択は3つです。

  1. 売却
  2. 賃貸
  3. 更地

では上記の3つについて簡単に考え方をお伝えします。

売却

売却相手は、第三者、親戚、隣接地権者が想定されます。

売却することで、固定資産税などの税金や維持管理コストの低減を図ることができますし、実家まで足を運ぶ回数が減るので自身の負担も減ります。さらに売却益を得られるというのもメリットとして高いです。最近では、売却益に関する所得税控除制度もあるので、この選択肢を選ぶ場合には、税理士さんや相続アドバイザーなどに相談してみましょう。

その場合、解体工事をした後に更地として処分するのか、現物のまま処分するのかは所有者の判断によりますが、老朽化している場合には、解体した上で処分するのが無難です。

リフォームして居住するなら別ですが、購入したい方は、新しく建築することが多いので、埋設物等の確認より新たな追加解体費用が発生する恐れがある解体工事が買主負担となるのは避けたいところです。

不動産業者に頼めば解体工事業者も紹介してもらえると思いますが、解体工事の見積書が妥当かどうかはチェックした方が良いと思いますので、解体工事業者からの見積を一括して取得できるサイトもあるので参考にしてみてください。

賃貸

建物を修繕して、賃貸物件として貸し出すか、建築物の建築を想定して土地を貸す、又は駐車場として貸すという方法があると思いますが、先祖代々の土地を売りたくはないという方の選択肢かと思います。

なお、当然に固定資産税や都市計画税がかかりますので、税金を含めてもある程度収益化できるように事業を検討することがポイントです。

市街地の場合ですと、以前は趣のある木造建築物が建築されていたけど、気づいたときには賃貸住宅や駐車場になっていたなんてことはよくある話です。このケースが多いと思いますが、居住地から実家が遠い場合は管理が大変ですので、管理まで一括して行うことができるメーカーさんを見つましょう。

そうではない場合は、売却と言う選択肢が無難です。

よく地方の中心市街地のど真ん中に木造の賃貸住宅が駐車場ひとり1台付きで建築されることがあります。この建築物をみる度にこの地方都市は魅力が半減しきそうだなと思っています。

というのも居住人口を増やすことはいいのですが、容積率が400%に対して100%も満たなかったり、パブリック空間もなく、ただただ節税対策で建築されたことにしか見えません。強制力はないですが、中心市街地に賃貸住宅を建築するならば、外観、外構など工夫して欲しいな思うところです。

最近ではシェアリングが普及しているので、駐車場として時間貸しする方法も普及しています。



更地

買い手や借主が少ない空き家(市街化調整区域や中山間地域など)の場合は、建物の維持管理に係る手間やコストを考慮しても税金を払い続ける方が良い場合の選択肢です。

将来、もしかしたら使うかもしれない?という場合の選択肢です。

ただし、住宅用地に係る特例が利用できないので、固定資産税・都市計画税がこれまでよりも高くなります。(敷地面積200㎡までの部分に対し、固定資産税が1/6、都市計画税が1/3、200㎡を超える部分に対して固定資産税が1/3、都市計画税が2/3にまで減額)

敷地内の建築物(空き家)については建物の維持管理コストや維持管理しないことによる周辺環境への影響を考慮して解体します。

更地の場合には、自分で解体業者を見つけて解体することになるので、知り合いの解体工事業者を探す必要があります。知り合いがいない場合は、次のような紹介サイトも参考にしてみてください。

番外編:保有を続ける

空き家が明治から昭和初期に建築されたものであれば、築年数も古く、現代の住宅とは異なる仕様で建築されているので、文化財級の価値を有する場合もあります。本当に稀ですが・・・

ですので、もともとの建築物の構造や仕様が良ければ丁寧にメンテナンスすれば使い続けることが可能です。

なぜ現代まで木造お城があんなに綺麗に残っているか分かりますか〜メンテナンスのおかげです。古い建築物であればあるほど、磨けば味が出るので他との差別化も簡単です。

よくある古民家はその一例かと思いますので、一部リフォームして、宿や飲食店として使うのもありなのかなと思います。リフォームするにもそれなりに知識がある建築士に頼まないと良質なものはできませんので、実家周辺でリフォームを専門としている工務店さんなどを探してみましょう。

参考までにリフォーム一括見積もりサイトを置いておきます。


補足:空き家問題になる前に資産整理を!

問題が起きるのは、いつも両親や祖父母が亡くなってからです。特に資産が多い場合は、それぞれの資産価値を適正に把握した上で、予め相続について協議しておくことが望ましいと思います。

家が1件だけならいいですが、資産が複数ある場合は、後々のトラブル防止のため、弁護士さんなどに相談しておきましょう。

名古屋ですと、次のようなにファイナンシャルプランナーや行政書士さんなどの複数社が運営する相談窓口があるので、自分の地域にも相続を専門としている企業がないか確認してみるといいかなと思います。
▶️損をしない!賢い相続のお手伝いをします 【相続の窓口】

また、こちらのサイトも参考になると思います。
▶️生前整理業者の料金を見てみる

まとめ:都市計画区域・市街化調整区域・市街化区域別の選択肢

最後に、売却、賃貸、更地をお伝えしてきましたが、その土地の位置がどこにあるのかも重要です。参考に地域ごとの売却等のおすすめ度をつくってみました。

市町村の都市計画情報で探すことができます。『〇〇市町村 都市計画情報』で検索を行い、自分の土地が都市計画区域、市街化調整区域、市街化区域、都市計画区域外のどのエリアになっているかを確認してみましょう。

結論から言うと市街化区域内(工業専用地域を除く)であれば売却も賃貸も何も問題はありません。しかしながら、市街化調整区域内ですと売却等が困難なケースが多いと考えられます。また、都市計画区域外は市場的に需要が低い地域が多いので簡単に売却に至とは考えない方がいいです。

地域名 概要 売却等のし易さ
市街化区域内 原則として「工業専用地域」を除いて住宅建築が可能。都市計画税も徴収される他、比較的地価が高いため、更地としておくのは不向き。 売却:◎
賃貸:◎
更地:△
市街化調整区域内 原則として住宅建築不可。ただし、農林漁業従事者のための住宅建築などであれば建築が可能。都市計画税は徴収されない。 売却:△
賃貸:△
更地:◎
都市計画区域外 都市計画法上の制限なしだが、住宅需要が著しく低い地域が多い。都市計画税は徴収されない。 売却:○
賃貸:○
更地:◎
都市計画区域内(市街化区域と市街化調整区域の区分けなし) 人口規模が小規模の市町村に多く建築用途を制限する用途地域を指定しているエリアと指定していないエリアに分かれる。 売却:○
賃貸:○
更地:○

ということで以上となります。どのような選択肢を選ぶかは自分自身が最終的に決断することになると思いますが、もっとも自分や家族が楽になる選択を選ぶのがコツだと思います。また、空き家が市街地の場合には、自分のことだけの問題ではないと思ってもらえれば幸いです。

空き家に対する対処方法の参考となれば幸いです。






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など