【約8%が継続使用出来ない程度の被害】大規模地震における鉄骨造の被害状況

この記事では、2016年に益城町を中心に発生した熊本地震において、鉄骨造(調査対象建築物96棟)がどのような被害状況だったのか、国が調査した報告書をもとに解説しています。

これから住宅建築を予定されている方の参考になればと思って書いていますので、これから建築を予定されている方は読んでみてください。

前回の記事では熊本地震の地震特性と木造建築物の被害状況について書いてますので、こちらも参考にしてみてください。
>>【15%が危険な訳】熊本地震のような大規模地震から生命と財産を守るための住宅建築の基礎知識。




鉄骨造の被害状況

2016年熊本地震の鉄骨造の被害状況*出典:熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会報告書(https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000633.html

被害の大きかった益城町における鉄骨造のうち調査対象棟数276棟です。

このうち新耐震基準(1981年6月)以降219棟のうち、倒壊・崩壊が6棟、大破が12棟と全体の8.2%が使用し続けることが出来ない程度の被害を受けています。

このような状況でも、1981年以前の旧耐震建築物のうち無被害であったのは約45%ですから、鉄骨造については木造建築物と異なり大きな被害が少なかったと考えられます。
また、鉄骨造建築物全体でみると、無被害は木造建築物が21%であったのに対して鉄骨造は57%と無被害の割合が高いです。

被害レベル建築時期
~1981.5
建築時期
1981.6~2000.5
建築時期
2000.6~
無被害268349158
軽微・少破・中破22551491
大破510217
倒壊・崩壊45110
5715366276
2016年熊本地震の鉄骨造の被害状況*出典:熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会報告書(https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000633.html)*単位:棟数

では、倒壊・崩壊及び大破した建築物の原因です。

倒壊・崩壊等の原因

はじめに新耐震基準以降の建築物において倒壊・崩壊した6棟についてです。
全体の半数以上を占める被害が地盤関係や隣接建築物・擁壁との関係により生じているので、鉄骨造そのものが被害を受けているわけではないです。

新耐震以降では、2棟のみ主要構造部分に関しての被害を受けています。

  • 柱梁接合部の不十分な溶接方法による溶接部での切断が破断(1棟)*1997年版「建築物の構造規定」以前の新耐震建築物
  • 不適切な柱降伏による層崩壊(1棟)*1996年版「冷間成形角形鋼管設計・施工マニュアル」以前の新耐震建築物
  • 隣接建築物や周囲擁壁の衝突・倒壊(3棟)
  • 基礎下の地盤の崩落による倒壊・崩壊(1棟)

次に、大破した建築物(12棟)の概要です。

  • 旧耐震基準またはその当時用いられてきた古いタイプの部材(日の字柱)の使用
  • 隣接建築物や周囲擁壁の衝突・倒壊
  • 溶接部等での破断

上記から読み解くと、現行基準の建築物であれば基本的に被害を受ける可能性は極端に低いですが、建築物に関連する地盤関係での被害により倒壊等の被害を受けていることが分かっています。

個人的には、地盤の問題については、鉄骨造建築物は木造建築物よりも重量があることも原因の一つなのかなと考えられます。また、隣接建築物や塀との距離なども関係しているものと考えられます。

なお補足として、熊本市や西原村では、益城町で見られたような柱の溶接部での破断被害はなく、そのかわりに①柱や梁部材の塑性化や局部座屈、破断 ②ブレースの座屈、接合部の変形、破断 ③柱脚コンクリートの側方破壊、アンカーボルトの伸び、破断 が見られたようです。

詳細な報告資料についてはこちらに書かれているようなので興味がある方は手に取ってもいいかもしれないです。

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ということで以上となります。参考になれば幸いです。






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