こんにちは!
この記事では、建築確認手数料の推移(H 6-R1)と今後の建築市場について書いています。
やまけん(@yama_architect)といいます。
YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産に関して業務に役立つ豆知識を発信しています♪
建築確認手数料の推移(H6ーR1)
項目 | H6年度 | H10年度 | H15年度 | H20年度 | H25年度 | H30年度 | R1年度 |
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[参考] 建築確認件数 *計画変更を除く | 1,025,263 | 832,918 | 745,770 | 590,817 | 665,366 | 589,006 | 569,269 |
建築確認手数料 (単位:億円) | 211 | 165 | 68 | 46 | 28 | 14 | 11 |
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000077.html
平成6年度には約211億円あった確認手数料が令和元年度には約11億円まで落ち込んでいるのが分かると思います。
建築確認件数は平成6年に比べて約5割であるものの、確認手数料が約5割の減少とはなっていないことから、平成6年度当時は床面積が大きい建築物(オフィスビルや共同住宅、工場など)が多く建築されていたことが分かると思います。
現在は、戸建て住宅が建築確認のメインとなっているため手数料も減少傾向にある状況です。
建築確認手数料は平成6年度と比べて約200億円も違うことを考えると、この背後には一件あたり何千万〜何億円という建築に掛かるお金が動いているはずなので、ものすごい市場縮小であることが容易に想像できると思います。
今後も増加することが考えにくいですし、令和2年からのコロナによる住宅市場への影響も大きいので、10億円を切ってしまうことが考えられます。
この10億円の大半は指定確認検査機関ですが、全国に指定確認検査機関数は130社程度ありますから、とても建築確認手数料だけではやっていけないですよね。もちろんこれに完了検査や中間検査、さらには省エネや性能評価認定などが入ってなんとかやっていける状態なのかなと勝手想定しています。
では次に今後の建築市場についてです。
今後、建築市場は大きく縮小
当然ながら今後、ますます建築市場は縮小していくことが考えられます。
理由は大きく2つです。
- 人口及び世帯数の減少が急速に進む
- 建築物の長寿命化が進み建て替えが進まない
人口減少が急速に進むのはもう周知の事実ですよね。
これに合わせて住宅の戸数に関係してくる世帯数も減少することが想定されています。そのため、人と箱物の必要量が減少するため、着工件数の減少もすることが想定されます。
また、近年では長期優良住宅(30年以上の維持保全義務のほか、長期固定の50年ローンもあり)の取得や空き家のリノベーションを行う方が増加、さらには公共施設を中心に耐震改修に合わせた長寿命化工事が進んでいるため、建て替え自体もあまり進まないことが考えられます。
そのため、今後はますます建築市場が縮小していくことが考えられます。
人と世帯数の状況に大きく左右されるため、例えば移民を受けいれたり海外からの長期滞在者の積極的な受け入れ以外に建築市場を盛り返す方法はなく、今後、限りあるパイの奪い合いかリノベーションに転換を図る、一般的な住宅メーカーと差別化を図らないと生き残るは非常に難しい状況にあると思います。
とはいえ、わたしが都市政策に長年担当してきた身としては、昭和の急激な経済成長期に無秩序に建築された都市の効率性や美観などに悪い影響がある低質な建築物が多く建築されており、なおかつ、特に地方都市では今後も人口増加が進むと予測し郊外に人口が流れてしまった影響により非効率な都市が出来上がってしまっているのが実状です。
そのため、効率的な都市運営を行うため積極的にコンパクトシティ化を進めていくことが重要だと考えられます。つまり、郊外から市街地への移転に対して税財政上の支援を行い、建築市場を下支えするということです。
今後、20〜50年先を考えれば急速に増加した人口が急速に萎むため、現段階において移住とセットに積極的に良質な建築を促すことがとても大切かな〜と考えています。
>>これまでの人口増加と今後の人口減少を知るための参考記事
ということで以上となります。
GW中に書いているのでゆる〜く書いていますのでご了承ください。また〜〜♪
【参考記事】
2020と2019年の住宅着工戸数の比較。住宅建築の動向のまとめ。