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【令和4年宅地造成等規制法改正】宅建士向けに改正概要をまとめてみました。

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この記事では、令和4年3月1日閣議決定がなされた「宅地造成等規制法」の改正について、改正概要をまとめました。

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建築基準法や都市計画法といった都市づくりに欠かせない法律は、複雑かつ難解なので理解に苦しみますよね。そのような方のために、法律を上手に活用してビジネスや生活に活用してもらいたいと思いつくったブログです。

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改正の概要

*出典:盛土による災害の防止に関する検討会(内閣府)

今回の改正により、「スキマのない規制」・「盛土等の安全性の確保」・「責任の所在の明確化」・「罰則強化」に伴い、国内の国土における盛土等を行う場合には原則として工事許可(一部は届出)が必要となるほか、中間検査・完了検査・完了(施工)時の定期報告が必要となります。

従来の法律よりも規制が大きく強化されているので、土地取引(盛土や土砂堆積・宅地造成)の場合には、新法に基づく規制内容を説明する必要性が生じることが考えられます(宅建業法施行令・宅建業法省令の改正が必ず実施されます。)。

現在の宅建業法では「宅地造成工事規制区域」と「造成宅地防災区域」のみが重要事項説明の対象となっていますが、今回の法改正により新たに加えられる「宅地造成等工事規制区域(旧:宅地造成工事規制区域)」と「特定盛土等規制区域」についても重要事項説明の対象になることが考えられます(おそらく宅建業法施行令の改正により規定が追加)ので、施行日に関しては留意が必要になると思います。

法律の名称が変更

はじめに最も大切な改正ポイントの話としては、法律名が変更となります。

これまでは、タイトルにあるように「宅地造成等規制法」と呼ばれていました。それが、次のように改正されます。「宅地造成及び特定盛土等規制法」となります。

新しい法律の名称

宅地造成及び特定盛土等規制法

ポイントは”特定盛土等”という文言が入ったところ。特定盛土等については後ほど解説しますが、宅地造成のみならず、盛土関係全般を規制する法令に変わることとなります。

では、改正法から私なりの改正のポイントをまとめてみましたのでご覧ください。

ポイント1:法律の目的が変更

従来の法律の目的は次のように書かれていました。

第一条 この法律は、宅地造成に伴うがけ崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことにより、国民の生命及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉に寄与することを目的とする。

宅地造成地等規制法第1条(目的)

読んで頂くと「宅地造成」に伴う崖崩れや土砂の流出とあるように、法律の前提として「宅地造成」が重要な視点になっていることが分かりますよね〜。この第1条の目的が次のように内容が変更となります。

改正後の法律の目的(第1条)

この法律は、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことによ り、国民の生命及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉に寄与することを目的とする

「特定盛土等」と「土砂の堆積」という文言が加えられていいます。この両文言については、宅地造成を目的としてない行為についても、この法律の目的となっていることが分かると思います。

「特定盛土等」と「土砂の堆積」の定義は次のとおりです。

特定盛土等

宅地又は農地等において行う盛土その他の土地の形質の変更で、当該宅地又は農地等に隣接し、又は近接する宅地において災害を発生させるおそれが大きいものとして政令で定めるものをいう。
※「農地等」:農地、採草放牧地及び森林
※「政令」:政令の詳細不明(記事執筆時点)

土砂の堆積

宅地又は農地等において行う土石の堆積で政令で定めるもの(一定期間の経過後に当該土石を除却するものに限る。) をいう。
※「農地等」:農地、採草放牧地及び森林
※「政令」:政令の詳細不明(記事執筆時点)

現時点では、閣議決定が行われたばかりで、これから国会に法案が提出されるので、政令の詳細が分かってくるのは法律の公布後(おそらく令和4年6月頃以降)となるので、もうちょい待てば、特定盛土等と土砂の堆積の要件が分かるはず。このブログでも詳細が分かれば記事にしたいと思います。

ということで、法改正ではこの「特定盛土等」と「土砂の堆積」が加えられたのが重要となります。この両者を規制するための条項がいくつか加えられています。

ポイント2:宅地造成等工事規制区域が追加

従来は、宅地造成に関する工事規制を行う「宅地造成工事規制区域(ブログ内リンク)」が規定されたのですが、先ほど説明した「特定盛土等」と「土砂の堆積」が法律に加えられたことにより、「宅地造成等工事規制区域」に変更となります。

「等」が加えられてます。「等」に「特定盛土等」と「土砂の堆積」が含まれている感じですね。

宅地造成等工事規制区域 新第10条

都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積(以下この章及び次章おいて「宅地造成等」という。)に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地若しくは市街地となろうとする土地の区域又は集落の区域(これらの区域に隣接し、又は近接する土地の区域を含む。第5項及び第26条第1項において「市街地等区域」という。)であつて、宅地造成等に関する工事について規制を行う必要があるものを、宅地造成等工事規制区域として指定することができる

新しい第10条によると、「市街地等区域:災害の生ずる恐れが大きい市街地、市街地となろうとする土地の区域、集落の区域」において、宅地造成・特定盛土等・土砂の堆積に関する工事について規制を行う必要がある場合に「宅地造成等工事規制区域」として指定することができます。

指定することができるのは、従来どおり都道府県知事(政令指定都市及び中核市の区域内のは当該市長)となります。また、政令指定都市・中核市以外であっても都道府県が別途権限移譲する場合には中核市・政令指定都市以外の市が指定権限を有するケースもあります。

そして、当然の規定とはなりますが「宅地造成等工事規制区域」内においては宅地造成・特定盛土等・土砂の堆積を行う前に都道府県知事の許可を受けなければなりません。

許可基準は、次のとおり定められています。

宅地造成等工事規制区域内の許可基準(新法第12条第2項)
  • 当該申請に係る宅地造成等に関する工事の計画が次条の規定に適合するものであること。
    ※具体的な技術基準は、新法第13条に規定
  • 工事主に当該宅地造成等に関する工事を行うために必要な資力及び信用があること。
  • 工事施行者に当該宅地造成等に関する工事を完成するために必要な能力があること。
  • 当該宅地造成等に関する工事(土地区画整理法第2条第1項に規定する土地区画整理事業その他の 公共施設の整備又は土地利用の増進を図るための事業として政令で定めるものの施行に伴うものを除く。)をしようとする土地の区域内の土地について所有権、地上権、質権、賃借権、使用貸借による 権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者の全ての同意を得ていること。

この宅地造成等工事規制区域内においては、「中間検査」を受ける必要があります。

ポイント3:宅地造成等工事の中間検査・定期報告

前項で説明した「宅地造成等工事規制区域」内での工事については中間検査が必要となるほか、完了後は定期的に施行状況報告が必要となります。まるで、建築基準法の中間検査と定期報告制度と同じです(笑)。

中間検査(新法第18条第1項)

第12条第1項の許可を受けた者は、当該許可に係る宅地造成又は特定盛土等(政令で定める規模のものに限る。)に関する工事が政令で定める工程(以下この条において「特定工程」という。)を含む場合において、当該特定工程に係る工事を終えたときは、その都度主務省令で定める期間内に、主務省令で定めるところにより、都道府県知事の検査を申請しなければならない。
※「政令で定める規模」:政令の詳細不明(記事執筆時点)
※「政令で定める工程」:政令の詳細不明(記事執筆時点)

現時点では、政令の詳細が分からないため、宅地造成及び特定盛土等の「規模(おそらく盛土高さや面積で規定される)」が分かりません。また、どの工程で検査を受けるのかも政令の詳細が分からないため現時点では不明となります。※このブログでも詳細が分かり次第、記事にする予定です。

ちなみ条例で制限を強化することができる規定(第4項)が加えられていますので、自治体(都道府県、政令指定都市、中核市の範囲)によって規模が異なることが想定されます(←自治体ごとに制限を変えることができる条例って、個人的には迷惑だと思っている人です。自治体の裁量によって地域毎に災害リスクが異なると言っているようなもの。法制度として有?なのって思います・・・)

次に完了後の定期報告制度です。

定期報告制度(新法第19条第1項)

第12条第1項の許可(政令で定める規模の宅地造成等に関する工事に係るものに限る。)を受けた者は、主務省令で定めるところにより、主務省令で定める期間ごとに、当該許可に係る宅地造成等に関する工事の実施の状況その他主務省令で定める事項を都道府県知事に報告しなければならない。
※「政令」:政令の詳細不明(記事執筆時点)

政令の詳細がわかっていないので、どの規模の宅地造成等が制限されるかは不明となっています。また、第2項の規定により条例により制限の強化を行うことができるようになっているので、自治体毎に定期報告対象が異なることが想定されます。

ポイント4:特定盛土等規制区域が追加

この「特定盛土等規制区域」は、新法第26条に規定される制度で、前項で説明した「宅地造成等工事規制区域」以外の土地について都道府県知事が指定することができる区域となっています。

この特定盛土等規制区域については、「宅地造成等工事規制区域」同様に一定規模以上の盛土等(政令で規定)については、工事許可制度、中間検査、完了検査、定期報告制度などが規定されています。

特定盛土等規制区域(新法第26条)

都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、宅地造成等工事規制区域以外の土地の区域であつて、土地の傾斜度、渓流の位置その他の自然的条件及び周辺地域における土地利用の状況その他の社会的条件からみて、当該区域内の土地において特定盛土等又は土石の堆積が行われた場合には、これに伴う災害により市街地等区域その他の区域の居住者その他の者(第5項及び第45条第1項において「居住者等」という。)の生命又は身体に危害を生ずるおそれが特に大きいと認められる区域を、特定盛土等規制区域として指定することができる。

重要な文言としては、「生命又は身体に危害を生ずる恐れが特に大きいと認められる区域」という箇所です。

具体的な区域指定の考え方については、技術的助言や指針等が示されることが考えられます。詳細は待つしかないですね。※今後、詳細が分かれば当ブログでも解説したいと思います。

施行日は?

最後に、この改正法の施行日ですが、法律の公布の日から1年以内と定められていますので、公布の日は令和4年5〜6月頃が想定されますから、遅くても令和5年4月1日施行になるのではと思います。

その他、国の情報はこちらから参照ください。
・国土交通省:https://www.mlit.go.jp/report/press/toshi06_hh_000077.html
・内閣府:http://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/moridosaigai/


それでは以上となります。参考になりましたら幸いです。