この記事では、現在パブコメ中(2022年10月11日〜2022年11月9日まで)の建築基準法施行令の改正案から、建築業界に大きな大きな影響がある、定期報告制度の改正について分かりやすく解説しています。
改正施行令が2023年2月7日に閣議決定(施行令の公布は2月10日)され、予定どおり2023年4月1日施行で決定しました。
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定期報告制度が改正
定期報告制度のうち、特定行政庁が指定することができる事務所用途については、現在は「事務所その他これに類する用途に供する建築物(建築基準法第6条第1項第一号に掲げる建築物を除く。)うち階数が5以上で延べ面積が1,000㎡を超えるもの」とされています。
つまり、法律では、5階以上で延べ面積1,000㎡超を定期報告の対象とするとされています。
例えば、大阪市では、「5階以上に事務所用途があり、延べ面積が3,000m²以上あるもの」と指定います。
今回、この定期報告制度を変更して、「事務所用途で階数が5以上で延べ面積が1,000 m²を超えるもの」とされているところを「事務所用途で階数が3以上で延べ面積が200m²を超えるもの」に対象を拡大できるようにする改正となります。
理由としては、令和3年12月に発生した大阪市北区ビル火災です。死傷者28名(うち死者25名)を出す、大惨事となりました。
これを受けて、国が設置した検討会(消防庁・国交省共同設置)において、次のように示されました。
「今般実施された緊急点検結果では、火災建物のような比較的小規模な雑居ビル等においても一定の建築基準法令違反等が確認されていることから、定期調査報告制度の指定可能対象範囲を拡大するとともに、特定行政庁による指定を促し、継続的に違反等の確認及び是正指導に取り組むことが望ましい」
これを受けての、「事務所用途で階数が3以上で延べ面積が200m²を超えるもの」への改正となるようですね。
おそらくですが、”特定行政庁による指定を促し”と書いてありますので、特定行政庁に対して技術的助言が発出されると思われます。
対象拡大によって、定期報告の対象となる建築物が増えますね。
3階建て以上の事務所であれば地方圏の市街地で多く建築されていますから、どの程度増加するかについては、最終的に特定行政庁が判断することとなるので、この記事では何とも言えませんが、建築士の業務が増大するのが明白かな〜と思われます。
てか、令和4年改正法にあわせて、様々な政令改正案を出してくるのはいいのですが・・・結構、大きな改正のように思いますね〜。いろんな意見をお持ちの方がいるでしょうから、この機会にパブリックコメントをしてはどうでしょうか。
この改正案はパブコメ後、年末に政令が公布され、令和5年4月1日に施行(予定)されます。
年末に政令公布とされていましたが、2023年1月末時点で政令が公布されておりません(=閣議決定されていない)。もしかしたら令和5年4月1日施行予定の案件は流れる可能性もあるかもです。最新情報が分かり次第、記事を更新します。
この他にも次のような改正案が考えられているようです。
今回の改正は、令和4年建築基準法改正(脱炭素推進のための改正)とは別の理由(大阪北区火災や近年の技術研究の結果)によるものとなります。私も最近まで間違っており、脱炭素改正にあわせて同時に進めているものと勘違いしておりました。
脱炭素の改正に関する全体概要はこちらの記事にまとめているので、参考にしていただけると幸いです。
それでは以上となります。参考となりましたら幸いです。
2023年2月7日追記
2023年2月7日に改正施行令が閣議決定されました!
施行予定日は2023年4月1日となります。
今後、各特定行政庁が、定期報告対象建築物の変更手続きを行う予定ですので、各特定行政庁のの動向に注視することをおすすめします。
仮に3階以上かつ200㎡超まで下げると地方都市を含めて相当数のオフィスビルが対象となることが考えられますので不動産オーナーさんも特定行政庁がどのような規模を対象とするのか注視しておく必要があると考えられます。
定期報告関連の改正のポイントは2つです。
- 事務所等で3階以上かつ200㎡超で特定行政庁が指定する規模の建築物は維持保全計画の作成及び定期報告が義務付け(建築基準法第8条第2項第二号)
*施行令第13条の3第2項・施行令第16条第2項、施行令第14条の2 - 保安上危険な建築物として勧告及び命令の対象となる建築物に、事務所等で3階以上かつ200㎡超で特定行政庁が指定する規模が追加
*施行令第14条の2
↓↓↓パブコメへのリンク
建築基準法施行令の一部を改正する政令案等に関する意見募集について