国土交通省から、令和3年に施行された改正道路法第44条(沿道民地からの工作物等れの倒壊による道路閉塞を防止するための区域→沿道区域)に関して、まずは国道2号等から沿道区域の指定に向けた手続きを進めるというプレスがありました。
この沿道区域ですが、国道のみならず都道府県道や市区町村道でも指定することが可能で、沿道区域が指定されると、幹線道路沿いの民地で崖地や電柱、竹木等(道路管理者が指定)に対して、災害時に道路を閉塞することがないよう、道路管理者が指導(届出→必要に応じて勧告)することができるものです。
大地震や津波、土砂災害といった事態に陥ると、道路交通が不可能となりますから、人命救助や早期復旧の支障となるため、あらかじめ道路管理者が指導できるようになったという制度ですね。
現在のところ、不動産取引における重要事項説明や建築基準関係規定などの関連法との関係性が無いですが、建築設計や土地取引には結構影響がある制度なので、ぜひ、このブログでこうした制度の触りの部分だけでも知っておくと、幹線道路沿いの建築設計や土地取引時において手戻りが少なくなると思います。
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災害時の道路閉塞防止に向けた制度概要
理由は、地震や津波、水害等においての緊急輸送道路の確保です。
というのも、東日本大震災や西日本豪雨、令和元年度東日本台風といった近年発生した災害での「幹線道路:緊急輸送道路」を確保するのが困難となったケースが多く散見されたからのようです。
閉塞した道を開く作業というのがとっても大変で時間のかかる作業となります。
というのも、大地震等を経験された方であれば記憶にあると思いますが、一般車による生活物資や燃料確保、復旧車両による混雑、被災地を見学する車両等で大渋滞が発生して、命の危険性がある方の輸送等に大きな支障があったからです。
ですので、あらかじめ、災害が生じても道路交通が確保できる幹線道路(緊急輸送道路:自治体等が指定)をつくろうとするものの一環して、例えば、民地内電柱の位置や耐震性の低い塀や建築物、がけ地等にして指導していこうとするものです。
法律上は、届出制度となっていますが、どのような工作物等が届出対象となるかは国道の種類や都道府県道・市区町村道によって異なります。
今回指定される予定の沿道
国土交通省によると、現在、指定に向けた手続きを進めているのは国道の一部となっています。
法律上は、自治体でも指定することができますし、都道府県道や市区町村道も重要な幹線道路を有していますので、今後、都市の防災力向上の観点から指定区域は増加していくものと考えられます。
道路管理者は、道路の沿道の土地、竹木又は工作物が道路の構造に及ぼすべき損害を予防し、又は道路の交通に及ぼすべき危険を防止するため、道路に接続する区域を、条例(指定区間内の国道にあつては、政令)で定める基準に従い、沿道区域として指定することができる。ただし、道路の各一側について幅20mを超える区域を沿道区域として指定することはできない。
道路法第44条第1項
指定されることになれば、道路法に基づき指定されることとなるため、国道事務所では公式ホームページで公表するでしょうし、親切な自治体でもホームページやGIS等で公表するのかなと考えられるところです。
許可ではなく届出
あくまでも届出制度となっています。
工作物等に対する許可制ではありませんから、法的拘束力は低いですが、勧告も予定されていますし、自分一人の身勝手で道路閉塞が生じて、輸送に支障が生じて、仮に誰かが亡くなった・・・となれば自分が苦しむことになるだけですから普通に協力してあげるのがベストですね。
届出としては、対象行為の着手30日前までに道路管理者に届出を行う必要があります。
この対象行為については、「沿道区域の区域内にある土地、竹木又は工作物(道路法第44条第2項の規定により公示されたものに限る。)」とされているので、沿道区域の状況によって指定されるものは異なります。
届出対象区域の区域内において、工作物(前条第2項の規定により公示されたものに限る。)の設置に関する行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、条例で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他の条例で定める事項を道路管理者に届け出なければならない。
道路法第44条の2第3項
まとめ
ということで以上です。
まとめると、次のとおりです。
- 道路法第44条第1項の規定に基づき道路管理者は「沿道区域」を指定することができる。
- 沿道区域は道路境界線から民地側に20m以内に指定
- 届出対象は土地、工作物、竹木など(具体的な道路管理者が沿道区域ごとに指定)
- 行為着手の30日前までに道路管理者に対して届出を行う。
- 道路の構造に損害を及ぼし、又は交通に危険を及ぼすおそれがあると認められる場合には、道路管理者から勧告を受ける。
それでは最後までご覧いただきましてありがとうございました。