フラット35s及びフラット35維持保全型では、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内での住宅は対象外となっているの知ってました??
2021年10月から制度が改正されており、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)では住宅ローンを組むことが出来ないです。
これから建築を予定されている方や、知らなかった!という方はぜひ、こちらの記事をご覧ください。
※YouTube動画(外部リンク)のテキスト版となります。
こんにちは〜。YamakenBlogです!
YamakenBlogでは、建築や都市計画、不動産取引に関して業務に役立つ豆知識を発信しています♪
建築基準法や都市計画法、宅建業法といった都市づくりに欠かせない法律は、複雑かつ難解なので理解に苦しみますよね。そのような方のために、法律を上手に活用してビジネスや生活に活用してもらいたいと思いつくったブログです。
良かったらブックマーク登録して毎日、遊びに来てくれるとブログ運営の励みになります♪
土砂災害特別警戒区域とは?
土砂災害特別警戒区域とは、急傾斜地の崩壊が発生した場合に、建築物に損壊が生じて、生命や身体に著しい危害が生ずるおそれがある区域のことです。
住宅地を開発する際や、建物を建築する際に厳しく制限される区域です。
この土砂災害特別警戒区域ですが全国に68万ヶ所指定(令和4年12月時点)されています。
東京都のみで見ても、約1.5万箇所も指定されています。最も指定件数が多いのは広島県となり、約4.8万箇所となります。
この土砂災害特別警戒区域には3つの種類があります。
1つ目は「急傾斜地の崩壊」
2つ目は「地すべり」
3つ目は「土石流」
特に指定されている件数が多いのが、傾斜度が30度以上高さ5m以上の崖が崩壊する自然現象を指す「急傾斜地の崩壊」となります。
大雨や地震、経年変化によって、崩壊し命を落としたり住宅が大破するのは、この土砂災害特別警戒区域内や、土砂災害警戒区域内の住宅です。
この区域の他にも、地すべり防止区域や急傾斜地崩壊危険区域といった別の法律に基づく危険が区域もありますので、こちらのレッドゾーンに関して解説している記事をご覧ください。
ここがこの記事の最大のポイントとなりますが、この土砂災害特別警戒区域の建築物は、フラット35s(+フラット35維持保全型)の適用外(画像の左下に注意書き!)となっています。
厳密には、建築物が土砂災害特別警戒区域に入っているとフラット35sとフラット35維持保全型を使用することができないことになっています。
2021年10月から実施と、最近になって要件化された内容となります。
土砂災害特別警戒区域はとても危険
理由は、近年の災害が頻発と土砂災害で亡くなる方がいるからです。
危険なエリアです。
その他の災害である洪水や地震、突風などよりも遭遇する確率が高いですし、発生した場合の受けるダメージも大きいですから、そのような危険な土地に融資はできないという理由です。
現在のところ、フラット35よりも省エネ等で質の高い住宅に適用され金利が優遇されるフラット35sのみに適用されており、通常のフラット35での使用は可能(フラット35維持保全型を除く)となっています。
ただ、私の想定では、今後、融資できる住宅というのは災害の危険性の低い土地に建築されているものに限定されていく流れではと思います。
国全体の現時点での大枠の制度では、居住誘導区域(立地適正化計画で定める区域)に誘導していこうとする、”誘導+補助金(インセンティブ)”によって外部不経済となっているエリアを少なくしていこうとする傾向にありますが、大きくコンパクトシティに舵を切った2016年から5年目を迎え、思うように効果が上がっていないところを見ると、制度制定から10年目となる2026頃を目安に、郊外の危険なエリア(洪水・土砂災害)への住宅建築をより抑制していくのではと私は考えているところです。
危険な土地に建築されている住宅は、建築された時点からリスクを背負っていることになりますから国としては将来的な税負担を増加させないためにも危険なエリアでの建築は避けて欲しいと考えているはずです。
ちなみにですが、土砂災害特別警戒区域での住宅建築は、技術的にもおすすめできない理由があります。
それは、このレッドゾーン内では、土砂崩れによって生じる土石等に対しまして、建築物が耐えられる構造としなければならないからです。
▶︎詳細はこちらの記事をご覧ください。
土石の力に建築物が耐えられるために、土砂を待ち受ける擁壁をつくったり、外壁や屋根を分厚い鉄筋コンクリート構造としなければならず、また、住宅が滑動しないよう(力で滑らないよう)、強固につくらないといけないです。
※戸建て住宅では非現実的な方法です。
そのため、通常の住宅よりも別途、数百万単位以上の費用がかかるので、そこまでして建築したいと考える人も少ないのかなと思います。
また、土砂災害の危険性が高いエリアは、高さ5m以上の崖が近接していることが多いので、採光の確保にも難があることが多いです。冬季であれば、早い時間帯で薄暗くなってしまったり、夏場であれば湿気が抜けない土地であったりしもします。
土砂災害特別警戒区域かどうかの確認方法
市町村が作成するハザードマップでも確認することができます。
また、土地購入時に不動産屋を仲介にしている場合には、重要事項説明において説明する義務がありますから、購入前には必ず知ることができるようになっています。
また、住宅建築を建築士に依頼すれば、建築士が敷地の事前調査を行うので、そうした場合にも確認することができます。
74人が亡くなった2014年の広島土砂災害後から急速に指定区域が増加し、ほぼ指定が完了しているとはいえ、指定完了率は100%ではありませんので指定されているかどうかの確認は必要です。不動産売買時には指定されていなくても、購入後に指定される可能性も十分にあります。
指定される前の段階として、都道府県が必ず基礎調査を実施しますので、基礎調査が実施される可能性はあるのか、基礎調査は実施されているのか、そうした情報も確認しておく必要があります。
ちなみに、レッドゾーンに対して制限が無い土砂災害警戒区域(イエローゾーン)であれば問題ないの?と思いますよね。
現時点ではフラット35sのローン審査外です。つまり、ローンを組むことが可能です。
とはいえですが、平成30年7月の西日本豪雨で亡くなった方119名のうち、94名は土砂災害警戒区域の中であったことが国の公表資料で分かっているので、命や建築物を大事にしたいという方は、このレッドゾーンとイエローゾーンは絶対に外した方がよい地域ではあります。
なお、補足となりますが、土砂災害特別警戒区域については、倉庫や物置を建築すること自体は、建築基準法としては制限がかかりません。制限がかかるのは、人が居住したり作業したりする室(居室といいます)を有する建築物を建築する場合のみです。
補足:イエローゾーン(土砂災害警戒区域)での建築
なお、区域外となるイエローゾーンについても、崖指針・崖条例といって別途、自治体の条例によって、建築の制限を行っていますので、イエローゾーン内で建築を予定している方は、必ず建築士に相談するようにしてください。
▶︎▶︎▶︎がけに関する記事はこちら。
また、現在、土砂災害特別警戒区域内に住宅がある!という方は、住宅金融支援機構で移転融資を行っています。
加えて、自治体によっては移転補助金が活用できる可能性があるので、建築士や不動産事業者に相談にしてみることをおすすめします。
まとめ
簡単にまとめると、「土砂災害特別警戒区域」である通称レッドゾーン内ではフラット35sとフラット35維持保全型は使用できません。過去に何度も人が亡くなっているエリアなので、住宅建築は避けた方がいいです。
それでは以上となります。
それではまた次回の記事でお会いしたと思います。