建築確認申請時の設計図書(配置図)に、道路(路面)中心線の高さを記載して、その高さの位置から道路斜線制限線を記載している人もいるのではないでしょうか。
しかしながら「めんどくさくない」と感じたことないですか?
結論として、作図簡略化のため道路斜線制限がギリギリではない限りは不利側で検討してOKです。
この取り扱いは、建築主事によって判断が異なる可能性が高いです。私の場合、図面上、明らかに道路斜線に適合していることが確認できる場合には道路中心線の高さの位置から斜線制限を適用していなくてもOKにしていました。
ということで早速解説です。
YamakenBlogでは、過去の建築・都市計画行政職員&コンサルの経験を生かして、難解な建築法規や都市計画法規などに関して解説を行っています。気に入って頂けたらブックマーク登録していただけますと嬉しいです。
通常の道路斜線制限の記載例
道路斜線制限を検討する場合、原則として高さの算定は「前面道路の路面の中心の高さ」によります。これは、施行令第2条第1項第六号イ号に次のように規定されているためです。
*路面の中心の高さであって道路中心線の高さではないことに留意が必要。
六 建築物の高さ 地盤面からの高さによる。ただし、次のイ、ロ又はハのいずれかに該当する場合においては、それぞれイ、ロ又はハに定めるところによる。
イ 法第56条第1項第1号(→道路斜線制限のこと)の規定並びに第130条の12及び第135条の19の規定による高さの算定については、前面道路の路面の中心からの高さによる。
※建築基準法施行令第2条第1項第六号イ号
以上から、通常、道路斜線制限を検討すると次のように斜線制限を記載します。
【緩和を適用せずに適合するなら緩和規定は記載しない】
民間主事ブログによっては、道路後退距離や2Aかつ35m以内に該当する場合には必然的に適用しなければならない法文となっているという風に記載している例がありますが気にしなくて大丈夫です。
普段から忙しい特定行政庁で「本来、緩和規定は適用できるできないの規定ではなく、法文上適用されるのです。だから後退緩和しているなら緩和した斜線を記載してください」なんて言っている人はいません(設計者・審査側両方で負担増です)。
明らかに適合しているのは緩和は使用せずに素直に記載してOKです。
簡略化した道路斜線制限の記載例
こちらが簡略化した場合の記載例です。道路の横断勾配は道路法上の区分や幅員、道路設計時の考えによって若干異なります。
横断勾配はおよそ1〜2%ですが、道路の一時的な使用許可を得るなどの煩雑な手続きを行った上で、道路中心線の高さを測量するのは非常に手間です。
尚且つ、勾配や高さは場所によって異なるため、それを断面ごとに作っていたら作図時間がもったいないです。
ですので、最も不利側(建物がかかる位置でかつ最も道路面が低い位置)で検討すればOKです。次にようなイメージです。
上記のように、道路面が最も低い地点(-500)で、かつ道路中心線の高さを考慮せずに道路斜線制限線を記載します。道路(路面)中心線の位置から算定することもできますが、道路中心線の高さよりも低い位置からの算定となるため不利側の検討となります。
不利側で道路斜線制限に明らかに適合しているのであれば道路斜線制限上何ら問題なしです。
ということで以上となります。こちらの記事が参考になれば幸いです。