この記事では、改正建築基準法・改正建築物省エネ法の2025年4月1日施行に伴う、確認申請時期と着工日の注意点について解説を行っています。
2024年5月に国が発出した技術的助言を読んだ方はすでに知っているかもしれませんが、下図のように2025年4月1日を境にして、その前に確認申請と確認済証の交付、4月1日以降に着工するようなスケジュールでの申請は不可となります。
どういうことかというと、、、
改正法の施行日は、2025年4月1日と決まっているため、改正に伴う新たな構造審査(木造新2号建築物)や省エネ適合性判定(従来は適合性判定不要であった建築物)は、法律が改正されていないために、新しい基準に基づく法定上の受付や審査を行うことができないのです。
とはいえ、4月1日よりも前に確認申請を提出し、4月1日以降に着工する予定というケースはごく普通に想定されます。いざ、確認申請しようと窓口に伺っても受付が出来ないケースも生じます。
このため、原則論からの対応方法は以下の2つのみです。
- 確認申請・確認済証の交付(省エネ適合性判定の交付)及び工事着手日を2025年3月31日より前に設定する(建築確認申請書第三面の着手日は3月31日より前)
- 確認申請・確認済証の交付(省エネ適合性判定の交付)及び工事着手日を2025年4月1日以降にする。
ちなみに、❶については、審査期間側の対応や延長通知への対応次第です。
例えば、指摘に対する回答が遅く確認済証の交付が4月1日以降となる場合には、改めて新基準での構造審査が必要となります。省エネ適合性判定については、完了検査時に適判通知書+図書の添付が必要となります。
❶については、手続きが煩雑になること必至なので、例えば審査期間が35日となる「1号建築物+4号建築物」の場合には、事前の法チェックが甘いと4月1日までに訂正事項を直しきれない可能性を否定できないです。
なお、自治体や指定確認検査機関によっては予め事前審査を行っておくことで、4月1日に申請・済証・適判通知書の交付を受けることができるかもしれません。
このような対応はどの審査機関もというわけではなく、おそらく自治体の対応は人員の配置状況等から必ずしも事前審査対応とはならない可能性があるので、あらかじめ提出先の審査機関と十分に調整しておく必要があります。
以上から、旧基準を適用する形でのスケジューリングや構造設計を行っている場合には3月末着工を目指す。そうではなく、4月1日以降の着工になりそうであれば予め新基準や省エネ適合性判定の予定を決めておくことをお勧めします。
スケジュール的に厳しいようであれば❷を選択することがお勧めです。
特に多雪区域や、屋根瓦かつ重量物を載せる場合には柱寸105㎜での設計は難しいはずですし、従来基準よりも壁量が増加しているので留意しておく必要があります。
ということで以上となります。こちらの記事が業務の参考となりましたら幸いです。
住宅についての省エネ適合性判定
住宅については、省エネ適合性判定が不要となる仕様基準が設けられています。
この場合、省エネ適合性判定は不要となりますが、そのかわりに確認申請図書への仕様基準に適合状況が分かる記載や図書(設計内容説明書、仕様書、機器表等)の添付が必要となります。
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