この記事では、港の中で建築物を建築する際の留意点について書いています。
港湾区域内での建築については事例自体は少ない方だとは思いますが、実務で携わると手続きの流れが掴めないことが多いです。私の実務経験(許可側の立場)を踏まえて書いておりますので、こちらの記事が業務の参考となりましたら嬉しいです。
このブログ(YamakenBlog)では、難解な建築基準法や都市計画法、宅建業法等を出来る限り分かりやすく解説しています。良かったらブックマーク登録してください。
この記事では過去記事のブラッシュアップ+補足版となっています。
港湾区域内は道路法上の道路がない!?
港湾区域の一部では、港湾管理者(都道府県等)が整備した道路が存在しています。
この内、一部の道路については、道路法上の道路(都道府県道など)に指定されていることがありますが、多くは、港湾法に基づく道路施設となります。
港湾区域内の公図を取得して確認すると分かりやすいですが、道路形に分筆されていなため公図上で道路の位置を判断することは困難なケースが多いです。
形態が道路であっても建築基準法上の道路にはなりません。立派な道路であっても道路ではないとする建築基準法に問題があるのか、または法整備の段階においてあえて抜いた理由があるのか。歴史を調べてみて分かったら記事にしたいと思います。
話を戻すと、港湾道路にのみ接する敷地は無接道敷地となります。
なお、もしかしたら全国を見渡すと、都市計画区域の指定前から存する4m以上の道であれば、建築基準法第43条第1項第三号道路に指定されているケースはあるかもれません。
建築基準法上の道路でなければ建築確認申請を行う前に「建築基準法第43条第2項第二号許可」が必要となります。
こちらの手続きは、確認申請を行う前に建築許可を受けるもので、許可申請には2~4週間、事前協議を踏まえると少なくと1ヶ月以上前には役所(特定行政庁)に相談する必要があります。
その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの
※出典:建築基準法第43第2項第二号
法第43条の許可(特定行政庁案件)のうち、定型的なもの(今回のケースで言えば臨港道路)については、予め建築審査会での議を経て一括同意基準を策定しています。
このため、申請がある度に一件ごとに建築審査会に諮るようなことはないため申請から許可までの期間が短いです。
(注)建築審査会にて一括同意基準を定めていない特定行政庁の場合には、一件ごとに審査となるため、着手時期を建築審査会の開催スケジュールにあわせる必要があります。
接道に関して解説している記事はこちら
補足:43条許可申請の前に分区条例に基づく手続きを
港湾区域内(分区指定)では用途地域が適用されません。
そのかわり、港湾法に基づき各分区条例が適用され、分区によって建築物が制限(港湾法第40条)されています。
特定行政庁の対応によって若干の違いがありますが、法第43条の許可申請の際には港湾管理者と事前に協議しているか確認します。
*>>>国土交通省)港湾管理者一覧表
一定規模以上の面積がある場合には港湾管理者へ届出が必要となるためその写しの添付を求めるケースもあります。
(注)許可行為は確認申請と異なり特定行政庁に裁量権があります。都度、建築計画に応じて、必要書類が追加される可能性がありますので手戻りを無くすためにも事前協議が重要です。
臨港地区や分区についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
申請時の必要書類
許可申請時に必要な書類は、建築基準法第43条第2項第二号許可用の様式(現行規則では43号様式)を用いて、確認申請時に提出する図書(構造図や設備図を除く)を添付します。
法第43条許可時において審査は、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないことです。
しかしながら、臨港道路に接する敷地の場合には、港湾法により十分な道路が整備されていることが多く、許可に当たって支障と判断されるケースは少ないかなと思います。
*道路幅員が0mのため、幅員0mに基づいて集団規定に基づく制限内容を記載します。
*用途地域のみが指定されている場合は用途地域は適用されないため、建蔽率及び容積率は不記載でOKです。その他は各特定行政庁の指示に従うようにしてください。
ということで以上となります。こちらの記事が参考となりましたら幸いです。