建築着工統計を毎月追っていると、前年同月比だけでは判断しにくい場面があります。今の増減が一時的なものなのか、数か月先まで続きそうなのか。この疑問を確かめるため、日本と米国の公式統計だけを使って予測モデルを組みました。後から判明した数字を過去の予測へ混ぜないことも、最初の条件にしています。
検証結果の要点
全国の住宅着工は、1〜6か月先であれば、単純に「前年同月と同じ戸数」と置くより誤差を抑えられました。日本の1か月先はRMSE※1が38.4%改善しています。米国の1か月先では、建築許可を加えたモデルが61.9%改善しました。
木造住宅だけを取り出した「YHS-Wood」も、1か月先は前年同月モデルよりRMSEが5.1%小さくなりました。47都道府県をまとめて学習した地域モデルは、1・3・6・12か月先のすべてで前年同月を上回っています。全国値だけを見ていた段階より、地域に分けた方が手応えのある結果でした。
5年程度の中期予測は、世帯数と住宅ストックを加えると大きく改善しました。ただ、独立した5年間の検証はまだ1回しかありません。数字は良くても、私はまだ「実用モデル」とは呼ばず、研究候補にとどめます。
公式見通しとは異なる役割
YHSは、国の公式統計や建設経済研究所の年度見通しを置き換えるものではありません。月次データだけでどこまで先を見られるのか。金融・不動産市場を考えるときの、独立した定量的なセカンドオピニオンという位置付けです。
そのため、当たった月だけを拾うことはしません。外れた予測も後から直さず、「何月時点の統計で、何戸と予測し、実績とどれだけ離れたか」を残します。私が重視しているのは、予測値だけでなく、この履歴を積み上げる運用です。
| 層 | 主な役割 | YHSとの関係 |
|---|---|---|
| 政府の公式統計 | 過去に実際に着工した戸数を示す一次資料 | YHSの入力と正解データ |
| 建設経済研究所 | 金利・政策・需要を含む年度のマクロ見通し | 独立した比較対象。説明変数には入れない |
| YHS-FE/YHS-Wood | 公表済みの月次データによる1〜12か月先の定量予測 | 市場観測のセカンドオピニオン |
| 日本の中長期シナリオ | 人口・世帯・住宅ストックの条件による市場規模 | 月次予測と分け、条件付きで表示 |
係数は予測のために推定しており、金利や人口の因果効果を証明する構造推定モデルではありません。
住宅着工を予測する意味
住宅着工は、住宅会社だけが見る数字ではありません。金融機関なら住宅ローンと不動産融資、不動産会社なら用地と販売在庫、建設会社や建材メーカーなら受注と生産の先行きを読む材料になります。
全国の合計が横ばいでも、県別に見ると増減の向きが違うことがあります。人口や世帯が減る地域でも、建替え、賃貸、分譲が同じ割合で減るわけではありません。全国と地域、総戸数と木造住宅を分けたのは、この平均の内側を見たかったからです。
YHS-FEの組み立て
全国予測には「Yamaken Housing Starts Forecast Ensemble」、略してYHS-FEという名前を付けました。一つの複雑な式に任せるのではなく、性格の異なる予測を並べ、過去の誤差を見ながら組み合わせます。
基本モデルの比較
- 直近値据え置き
- 将来も直近月と同じ水準とする、最も単純な比較対象です。
- 前年同月
- 季節性が強い住宅着工では意外と強い基準モデルです。
- AR(12か月)
- 過去12か月の着工履歴から、目的月の戸数を予測します。
- 先行指標モデル
- 日本は持家・貸家・分譲の構成、米国は建築許可を主な追加情報とします。
- 誤差連動型合成
- 予測時点までに結果が判明している過去誤差だけを使い、各モデルの重みを変えます。
現行版の数値解析モデル
ここから少し数式が続きます。見た目を難しくするためではなく、画面に出る予測値が、どの計算から出ているのかを確認できるようにするためです。現行コードで使っている式だけを載せました。
1.比較基準:直近値と前年同月
直近値据え置きŷt+hRW = yt
前年同月ŷt+hSN = yt+h−12
ytは時点tの実績、hは1・3・6・12か月先を表します。複雑なモデルは、必ずこの基準と比べます。
2.目的月ごとのリッジ回帰
β̂h = arg minβ ∑t [yt+h − β0 − xt′β]2 + λ‖β‖22
xtは過去12か月の着工や用途別構成、米国では許可件数です。説明変数を標準化し、係数が過大にならないよう罰則項を加えます。全国・短期のλは1、都道府県の5年中期は10に固定しました。中期は戸数の対数 log(1+y)を目的変数にしています。
3.過去誤差による動的アンサンブル
wm,t = 0.8 × MSEm,t−1∑jMSEj,t−1 + 0.2 × 1M
ŷt+hYHS-FE = ∑m=1M wm,tŷm,t+h
各モデルの直近60回の二乗誤差を使い、誤差が小さいモデルの重みを大きくします。ただし過去の偶然な勝ちに偏らないよう、20%は等ウェイトへ戻します。結果が判明した誤差が24回未満の場合は、等ウェイトとします。
4.都道府県予測と全国値の整合
ỹi,t+h = ŷi,t+h∑i=147ŷi,t+h × Ŷt+hnational
各県の予測は共通パネルモデルで出し、47都道府県の合計が全国YHS-Woodと一致するよう比例調整します。
記号:ŷは調整前の予測値、ỹは全国値と整合させた都道府県予測、yは実績値、xは説明変数、βは回帰係数、λは正則化強度、wはモデルの合成ウェイト、iは都道府県を表します。
未来情報を混ぜない検証
モデルづくりで一番注意したのは、「後から分かった数字」を過去の予測へ入れないことです。これを許すと、過去の成績だけは簡単に良く見せられます。米国は可能な範囲で統計ビンテージ※3を使い、日本は予測した月で時系列を打ち切りました。
過去から順番に学習期間を広げるこの方法を「拡大窓バックテスト※4」といいます。結果を見た後で条件を直した場合、その数字は予測精度の実績には数えません。
使用データ
| 対象 | 主な公式統計 | 整備期間 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 日本・全国 | 国土交通省・e-Stat「建築着工統計調査」 | 1965年1月〜2026年6月 | 総戸数、持家、貸家、分譲 |
| 米国・全国 | U.S. Census Bureau/FRED | 1959年1月〜2026年7月 | 着工(SAAR※5)、許可、工事中、完成 |
| 日本・木造 | 国土交通省「構造別着工戸数」 | 2004年8月〜2026年6月 | 全国の木造住宅 |
| 都道府県 | 国土交通省表18、総務省「住宅・土地統計調査」 | 2013年2月〜2026年6月ほか | 地域別木造着工、世帯、住宅ストック |
| 日本・金利候補 | 財務省、住宅金融支援機構、日本銀行 | 1986年7月〜2026年8月(系列により異なる) | 10年国債、フラット35、銀行の新規長期貸出 |
日本と米国のバックテスト
まず、前年同月と同じ戸数を置くモデルを基準にしました。次の図は、各期間で最もRMSEが小さかったモデルが、その基準からどれだけ誤差を縮めたかを示しています。棒が長いほど改善幅が大きいという見方です。
日本
米国
| 国 | 予測期間 | 最小RMSEモデル | RMSE | sMAPE※6 | 前年同月比 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 1か月 | 誤差連動型合成 | 6,356戸 | 5.40% | 38.4%改善 |
| 日本 | 3か月 | 誤差連動型合成 | 8,250戸 | 7.01% | 20.0%改善 |
| 日本 | 6か月 | 誤差連動型合成 | 9,104戸 | 7.53% | 11.7%改善 |
| 日本 | 12か月 | 直近値据え置き | 10,312戸 | 8.50% | 0.0% |
| 米国 | 1か月 | 許可件数モデル | 86.6千戸 | 5.50% | 61.9%改善 |
| 米国 | 3か月 | 許可件数モデル | 115.1千戸 | 7.26% | 49.5%改善 |
| 米国 | 6か月 | 直近値据え置き | 160.0千戸 | 9.96% | 30.3%改善 |
| 米国 | 12か月 | 誤差連動型合成 | 232.3千戸 | 14.48% | 0.2%改善 |
日本では、直近の着工水準と持家・貸家・分譲の構成を組み合わせたモデルが短期で強く出ました。米国では、建築許可が1・3か月先の手掛かりになっています。反対に12か月先は、日米とも単純なモデルが残りました。変数を増やせば精度も上がる、という素直な結果にはなっていません。
木造住宅と47都道府県の予測
全国の総戸数だけでは、地域の住宅市場はつかみきれません。日本では木造の比重も大きいため、木造住宅を別枠の「YHS-Wood」とし、47都道府県の月次データも組みました。
| 対象 | 1か月 | 3か月 | 6か月 | 12か月 |
|---|---|---|---|---|
| 全国YHS-Wood・最小RMSE | 3,256戸 | 3,427戸 | 3,369戸 | 3,532戸 |
| 都道府県パネルRMSE | 169.2戸 | 181.7戸 | 194.8戸 | 235.8戸 |
| 都道府県・前年同月比 | 11.2%改善 | 9.0%改善 | 7.2%改善 | 5.6%改善 |
県ごとに別々のモデルをつくるより、47都道府県の履歴を一緒に学習した方が安定しました。着工数の少ない県でも、他県の季節性や変化から情報を借りられるためだと考えられます。最後に各県の予測合計を全国YHS-Woodへ合わせています。
短期では悪化した人口・世帯予測
人口や世帯数は、住宅需要を考えるうえで外せない数字です。ところが、5年間隔の将来人口・世帯予測を1〜12か月先へ入れると、RMSEは0.2〜0.9%悪化しました。人口が効かないのではなく、来月や半年後の「着工時期」を当てるには、時間の刻みが合わないのでしょう。
人口・世帯は短期予測から外し、日本の中長期だけで使うことにしました。現在は2023年の住宅ストックと組み合わせ、2024〜2028年の年間平均となる木造着工規模を試算しています。需要・ストックモデルのWAPE※7は7.26%で、直近戸数据え置きよりRMSEが37.9%小さくなりました。
日本の住宅金利による追加検定
日本のモデルに金利を入れれば、着工戸数が動く前の変化を拾えるかもしれません。これは試す価値があると考え、10年国債利回り、フラット35、日銀の新規・長期貸出金利を順に検定しました。結果を見てから都合のよい用途へ付け替えないよう、使う用途と公表ラグは先に決めています。学習期間の広げ方とリッジ係数は既存モデルと同じです。
| 候補 | 想定した用途 | 主な結果 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 10年国債利回り | 総戸数・持家・貸家・分譲 | 総戸数は1か月先2.6%、3か月先2.7%改善。6か月先は2.4%、12か月先は1.7%悪化 | 候補継続・不採用 |
| フラット35最低金利 | 持家・分譲 | 分譲は1・3・6・12か月先で3.7%、7.6%、2.6%、4.6%改善。持家は全期間で悪化 | 分譲向け候補として蓄積 |
| 日銀・新規長期貸出金利 | 貸家 | 改善は3か月先の0.1%だけで、1・6・12か月先は悪化 | 不採用 |
一番気になったのはフラット35です。分譲では1・3・6・12か月先がそろって改善しました。ところが持家では全期間が悪化し、総戸数も6・12か月先は悪化しています。分譲だけを見れば有望でも、ここで採用するのは早いと判断しました。
用途と予測期間をいくつも比べているため、偶然の改善を拾わないようHolm補正も行っています。改善した組合せにも補正後5%水準で有意なものはありません。原資料は今月から毎月保存し、将来月が増えたところで同じ条件のまま再検定します。
不採用モデルの記録
良かった結果だけを並べれば、モデルは実力以上に見えます。今回は試したものの、精度が上がらなかった変数もそのまま残します。
- 農林水産省の木材生産・出荷・在庫:16比較中、改善は持家12か月先の1件だけで、統計的に有意ではありませんでした。
- 米国の非線形残差補正:供給パイプラインモデルへの追加補正は、1か月先RMSEを7.0%悪化させました。
- 都道府県の短期人口・世帯要因:1・3・6・12か月先のすべてで0.2〜0.9%悪化しました。
- 中期のその他空き家:事前に本命とした変数でしたが、RMSEを15.2%悪化させたため不採用です。
- 日本の金利3候補:10年国債は総戸数の短期、フラット35は分譲で改善しましたが、用途・期間を通じた安定性と補正後の有意性を満たさず、現行モデルへの採用を見送りました。
効きそうだと思った変数ほど、外れたときの記録が重要です。結果を見た後で、良かった期間や県だけを拾うこともしません。
建設経済研究所との時点比較
日本の住宅市場には、建設経済研究所が公表する年度見通しがあります。YHS-FEにはその予測値を入れていません。互いに独立した予測として、同じ年度実績からどれだけ離れたかを比べました。
現在の年度見通し
年度合計だけでは増減の強さが分かりにくいため、建設経済研究所とYHS-FEの両方に同じ「前年度比」を付けました。
| 年度 | 建設経済研究所 | 前年度比 | YHS-FE | 前年度比 | YHS−研究所 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026年度 | 760,000戸 | +6.9% | 747,928戸 | +5.2% | -12,072戸 |
| 2027年度 | 756,000戸 | -0.5% | 758,930戸 | +1.5% | +2,930戸 |
比較時点:建設経済研究所 2026年07月27日公表、YHS-FE 2026年05月起点。2026年度の前年度比は2025年度実績、2027年度は各系列の2026年度予測を分母としています。
| 比較時点 | 年度数 | 研究所の平均絶対誤差 | YHS-FEの平均絶対誤差 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 年度開始直前 | 4年度 | 40,261戸 | 58,906戸 | 建設経済研究所が優位 |
| 年度終盤 | 5年度 | 16,946戸 | 12,532戸 | YHS-FEが優位 |
| 実績公表直前 | 5年度 | 9,546戸 | 9,582戸 | ほぼ互角 |
各時点における年度着工戸数の平均絶対誤差です。縦軸の数値が小さいほど、最終実績に近いことを示します。
単位:千戸。年度開始直前は4年度、年度終盤と実績公表直前は各5年度の平均です。比較時点ごとの対象年度数は上表と同じです。
各月末に、その時点で対象となる年度着工戸数が最終実績から何千戸離れていたかを示します。YHS-FEは毎月更新し、建設経済研究所は次の公表まで直近値を維持した階段線です。
月次更新の効果
60か月中41か月でYHS-FEの絶対誤差が小さく、平均絶対誤差は研究所27.9千戸に対してYHS-FE 23.2千戸でした。月次全体では17.0%小さく、年度別では5年度中4年度でYHS-FEが上回りました。
実績が0〜3か月分しか判明していない序盤の改善は0.8%で、ほぼ互角です。4〜7か月分が判明した中盤は44.0%、8〜10か月分が判明した終盤は26.7%、YHS-FEの誤差が小さくなりました。YHS-FEの強みは、年度開始前のマクロ判断ではなく、月次実績を取り込みながら着地点を更新する速さにあります。
比較条件:YHS-FEは各表示月の2か月前を情報起点とし、研究所は各月末までに公表された最新予測を使用。最終実績は誤差検証だけに使い、予測入力には使用していません。
年度が始まる前は、需要、金利、政策まで見る研究所のマクロモデルが優位でした。年度が進み、月次着工が積み上がるとYHS-FEの誤差が小さくなります。どちらか一方が常に優れているのではなく、年度のどの時点で見るかによって役割が変わる、という結果です。
表示できる範囲と残る課題
現在表示できる範囲
- 日本・米国の1・3・6・12か月先
- 日本の全国木造住宅
- 47都道府県の木造住宅短期予測
- 日本の次の5年間の平均市場規模(研究候補)
- 過去バックテストに基づく予測幅※8
現在の制約
- 日本の金利候補は検定済みだが、安定性を満たさず現行モデルへ未採用
- 日本の公表時点ビンテージが未完成
- 都道府県の中期は完全な時間ホールドアウトが1回
- 2030・2035・2040年は条件付き感度として数値化し、検定済みの長期点予測とは区別
- 米国の長期予測は現在の対象外
金利の変化が着工戸数へ表れた後なら、現行モデルも着工履歴を通じて間接的に拾います。弱いのは、金利が動いた直後の転換です。10年国債、フラット35、日銀貸出金利の初回検定は採用条件に届きませんでした。しばらく同じ条件で将来月を積み、良かった期間だけを選び直さずに再検定します。
日本だけの長期シナリオ
日本は、2030・2035・2040年の全国・都道府県別の木造住宅市場を、「基本」「金利上昇」「世帯減少加速」の条件付きで数値化しました。検定済みの2024〜2028年平均を基準に、社人研の2024年都道府県別世帯推計を接続しています。
| 年 | 基本 | 金利上昇 | 世帯減少加速 |
|---|---|---|---|
| 2030年 | 446,460戸 (+0.8%) | 424,138戸 (-4.3%) | 440,217戸 (-0.6%) |
| 2035年 | 442,413戸 (-0.1%) | 420,292戸 (-5.1%) | 430,788戸 (-2.8%) |
| 2040年 | 432,733戸 (-2.3%) | 411,097戸 (-7.2%) | 413,400戸 (-6.7%) |
単位:全国の木造住宅着工戸数/年。括弧内は2024〜2028年平均 443,054戸比。世帯数の出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(都道府県別推計)令和6年推計」
基本は都道府県ごとの2025年比世帯数を単位感度で反映した値、金利上昇は基本から5%下振れする固定ストレス、世帯減少加速は2025年比の減少幅を2倍とする感度です。金利の5%下振れは因果効果の推定値ではありません。
長期まで月次予測と同じ精度で「2040年は何戸」と言い切ることはできません。ここで見るのは、前提を固定したときの市場規模の振れ幅です。米国は現行の検証範囲を超えるため、長期値を表示しません。
毎月の更新と検証
住宅着工統計は毎月公表されます。新しい数字が出るたびに原資料を残し、前月までの予測が実績とどれだけ離れたのかを確かめます。外れた月の予測も消しません。その外れ方まで含めて、このモデルの成績だと考えています。
金利や人口、空き家率など、効きそうな指標が見つかったときは、まず別のモデルで試します。数回当たっただけでは採用せず、公表時点をそろえた過去データでも確かめ、従来モデルより安定して良いと判断できたものだけを次の更新へ加えます。最後は、数字の背景も読みながら私自身で判断します。
用語・注記
- ※1 RMSE(Root Mean Squared Error)
RMSE = √[(1/n) ∑(ŷt − yt)2 。予測誤差を二乗して平均し、平方根を取った指標です。大きな外れを重く評価し、小さいほど高精度です。
- ※2 正則化回帰(リッジ回帰)
普通の線形回帰に、係数が大きくなりすぎるのを抑える罰則を加えた方法です。相関の強い過去着工値を複数入れる際の不安定化を抑えます。
- ※3 統計ビンテージ
統計がその時点で公表されていた状態です。統計は後日訂正・改定されるため、現在の最新値を過去の予測に使うと未来情報の混入になります。
- ※4 拡大窓バックテスト
過去のある時点までのデータで学習・予測し、次の時点で学習期間を広げて同じ計算を繰り返す方法です。時系列の順序を崩しません。
- ※5 SAAR(Seasonally Adjusted Annual Rate)
季節要因を調整し、その月のペースが1年続いた場合の年率に換算した値です。米国の「1,300千戸」はその月に130万戸を着工したという意味ではありません。
- ※6 sMAPE(Symmetric Mean Absolute Percentage Error)
sMAPE = (100/n) ∑ [2|ŷt − yt| / (|yt| + |ŷt|)] 。実績と予測の大きさを基準に、誤差を率で示します。
- ※7 WAPE(Weighted Absolute Percentage Error)
WAPE = 100 × ∑|ŷt − yt| / ∑|yt| 。絶対誤差の合計を実績の合計で割り、規模の異なる都道府県をまとめて評価します。
- ※8 80%予測幅
現行版は、点予測にバックテスト残差の10%点と90%点を加えた経験的な範囲です。過去と同じ誤差分布が続くことを暗黙に前提としており、実績が必ず80%の確率で入ると保証するものではありません。
その他の基本用語
- 住宅着工
- 新たに工事を始めた住宅の戸数です。完成戸数や販売戸数ではありません。
- ARモデル
- AutoRegressive modelの略で、自分自身の過去値から将来値を予測する方法です。
- 直接予測
- 1か月先を繰り返して12か月先まで伸ばすのではなく、1・3・6・12か月先をそれぞれ別の目的変数として学習する方法です。
参考資料
- 国土交通省・e-Stat「建築着工統計調査」
- 総務省統計局「住宅・土地統計調査」
- 財務省「国債金利情報」
- 住宅金融支援機構「フラット35 借入金利の推移」
- 日本銀行「貸出約定平均金利」
- U.S. Census Bureau, New Residential Construction
- Kurt G. Lunsford (2015), Forecasting residential investment in the United States
- Philippe Goulet Coulombe (2024), The macroeconomy as a random forest
- Prestemon et al. (2018), Projecting housing starts and softwood lumber consumption in the United States
- 建設経済研究所「建設経済モデルによる建設投資の見通し」











