「この場所に家を建てたら、庭はどこまで影になるだろう」。日影シミュレーターでは、建物を作って地図に置き、日時を変えながらその様子を確かめられます。
このガイドでは、まず10m四方の建物を1棟置き、影が出るところまで進めます。操作に慣れたら、外形や高さを変え、複数棟や渡り廊下を作ってみましょう。申請用の完成図書ではなく、配置や規模を比べる初期検討向けのツールです。
この記事は2026年9月8日時点の画面を基にしています。更新によりボタン名や対応データが変わる場合があります。
最初に知っておきたい画面の構成
画面は、大きく三つの場所に分かれています。
- 地図:調べる場所、配置した建物、日時ごとの影を表示
- 計画建物・樹木:3D形状の作成、配置、角度・高さの編集
- 時刻日影図・等時間日影図(冬至日):法規検討用の条件設定と図面表示
建物を3Dで作っただけでは、地図の日影計算には入りません。形を作った後に「このプレビューを配置」を選び、地図上へ置く必要があります。操作で迷ったときは、「作成」と「配置」が終わっているかを先に確認してください。
手順1:地図で調べる場所を表示する
地図をドラッグして調べたい場所へ移動し、+/−で縮尺を調整します。周辺の道路や建物を目印にして、敷地の位置を合わせてください。
背景地図は表示を切り替えられます。地理院地図と航空写真は、位置を確認するための背景です。背景を航空写真へ変えても、標高などの計算条件が自動的に航空写真から読み取られるわけではありません。
手順2:「建物」を選ぶ
「計画建物・樹木を配置」を開き、「建物」を押します。3D形状の編集画面に、10m四方の建物が1棟表示されます。PCでは地図の右側、狭い画面ではページをスクロールして探してください。
初回は初期形状のままで構いません。先に一度、地図へ配置して影が出るところまで進め、その後に実際の外形へ直した方が操作を覚えやすくなります。
手順3:平面形状のX・Yを直す
平面図の青い頂点をつかんで動かすと、外形が変わります。Xは東西、Yは南北の位置です。図の下にある頂点一覧では、X・Yを数値で入力できます。たとえば初期のXが−5mと5mなら、その間の幅は10m。5m側を7mへ動かせば、その方向へ2m広がります。
表示が小さい場合は倍率スライダーで拡大します。図が画面外へ移動したときは、空白部分をドラッグして表示位置を動かすか、「全体表示」で戻します。空白のドラッグは表示範囲を動かす操作で、建物の座標は変わりません。
グリッド間隔は自動、1,000mm、910mmなどから選べます。頂点を他の頂点へ近づけると吸着します。吸着させたくないときは、画面に表示された解除操作を使います。
四角形から自由形状へ変更する
「四角形から開始」を使うと初期形状へ戻せます。自由形状では、平面上の空白をクリックして頂点を追加し、頂点をドラッグして外周を作ります。頂点の順番が交差すると面が正しく作れないため、外周を一方向にたどるように入力してください。
手順4:上端Z・下端Zで高さを決める
Zは、共通の基準面から見た上下方向の位置です。通常の高さ10mの建物なら、下端Zを0m、上端Zを10mにします。
下端Zを3m、上端Zを5mにすると、基準面から3m上に、厚さ2mの形ができます。上端に「2」と入れるのではない点に注意してください。渡り廊下なら、この形を二つの建物の間へ置きます。

現在は負のZに対応していません。地下を表すために「−」を入力すると警告になります。また、上端Zは下端Zより大きい値にしてください。高さをそろえる場合は、一括入力を使うと頂点ごとの入力ミスを減らせます。
手順5:複数棟・中庭・渡り廊下を作る
「建物を追加」で建物2、建物3を追加できます。同じ形を増やす場合は「選択建物を複製」を使います。建物ごとに外形とZを編集できるので、複数棟と渡り廊下を別々の建物として作成できます。
コ字型は外周の頂点を編集します。ロ字型のように中央を抜く場合は、中庭編集を使います。複雑な形を作ったら、平面だけで判断せず、3D表示を回して上面・側面にねじれや意図しない面がないか確認します。
手順6:作った建物を地図へ配置する
形状編集を閉じ、地図上の置きたい場所をクリックします。点線の未追加プレビューがその場所へ移ったら、「このプレビューを配置」を押して確定します。初期のプレビュー位置でよければ、そのまま確定しても構いません。
青緑の点線は未確定の形、橙色は配置済みの建物です。計算に入るのは配置済みの方なので、一覧の件数が増えたことまで確かめてください。
配置後の修正方法は次のとおりです。
- 位置:地図上の配置建物をドラッグ、または「地図で移動先を指定」
- 角度:配置一覧の配置角度へ数値を入力
- 高さ・外形:配置一覧から建物編集へ戻って修正
- 削除:配置一覧右端の削除ボタン
航空写真へ合わせた位置は、測量による配置ではありません。境界からの離れや正確な建物位置が必要な場合は、確認済みの測量図・設計図を使用します。
手順7:「地図に日影を表示」を押す
建物を1棟以上配置すると、「地図に日影を表示」が使えるようになります。先に日付と時刻を選び、ボタンを押して影を更新します。
初回は次の順で試してください。
- 冬至・9時
- 冬至・南中
- 冬至・15時
影が表示されない場合は、太陽が地平線下にある時刻ではないか、建物が配置済みか、表示範囲から建物が外れていないかを確認します。
「1日の影を再生」が使えるデータでは、時刻の進行に合わせて影を確認できます。点群日影は計算負荷が大きいため、日付・時刻を選んで更新する方式です。
手順8:周辺データを選ぶ
周辺の影だけを見たいときは、ツール上部で駅を選び「この駅の影を見る」を押します。主要12駅の半径1kmではPLATEAU・公図を認証なしで試せます。公図は収録済みの筆に限り、博多駅周辺は未収録です。体験エリア外と点群は限定ベータの対象です。画面に表示された年度・対応範囲・未取得データを確かめてから使ってください。
点群データがある地域では、点群またはPLATEAUを選択します。両方を重ねて精度比較する機能ではありません。点群は地形や現況形状を細かく捉えられる一方、建物下、水面、データ端部などに欠測があります。
2026年9月8日時点の点群対応は台東区・文京区です。点群日影は9時・南中・15時などの時刻を選んで更新します。通常の日影表示の1日連続再生とは異なり、法規用の冬至計算やPDF・DXFへ自動的に取り込まれるものではありません。
手順9:冬至日の時刻日影図・等時間日影図を計算する
「時刻日影図・等時間日影図(冬至日)」を開きます。配置済みの計画建物を確認したうえで、規制時間と測定水平面を設定します。

所在地が日影規制の対象区域か、どの規制時間・測定水平面を使うかは、自治体条例で確認します。ツールが表示する候補だけで法令条件を確定しないでください。
時刻日影図は、各時刻に影となる範囲を示します。等時間日影図は、計算時間帯の累積日影時間を示します。規制時間を選ぶと、等時間線の値へ反映されます。
PDF・DXFの出力見本を見る。10m角・高さ10mの建物を使った例なので、自分の入力からどんな図面になるかをつかめます。
PDF・DXFを出力する
主要12駅の半径1kmでは、登録・認証なしで冬至日影の計算後にPDF・DXFを出力できます。体験エリア外での出力には限定ベータ認証が必要です。計算前は出力ボタンが無効です。
PDFはA3横を基本とする確認・共有用です。DXFはR12 ASCII形式で、CADへ読み込むためのデータです。DXFはJWW形式そのものではありません。
出力後は、次の項目を確認します。
- 縮尺と単位
- 真北と建物角度
- 計画建物と境界の位置
- 時刻日影線・等時間日影線の選択
- DXFのレイヤーと文字
PDFやDXFを出力できたことは、確認申請図書としての完全性や法適合を保証するものではありません。法規図面には、正確な境界・地盤・建物形状と、最新の法令・条例・提出先の取扱いが必要です。
うまくいかないときの確認順
日影が出ないときに形状を作り直す前に、次の順で確認します。
- 建物は「配置済み」になっているか
- 建物と地図の表示位置が離れていないか
- 太陽が出ている日付・時刻か
- 「地図に日影を表示」を押して更新したか
- 周辺データの選択と対応地域が合っているか
- 冬至日影図では規制時間・測定水平面を選んだか
修正する前の画面を一枚残しておくと、変化を見失わずに済みます。高さを変えた後は位置をそのままに、位置を動かすときは高さをそのままに。同じ条件で見比べるところから始めてください。














