外付けブラインドは冬に開けた計算ができる?2026年10月の住宅省エネ評価

夏は日射遮蔽部材を閉じ、冬は開けて評価できる2026年10月の住宅省エネ計算変更図
開閉できる付属部材は、冷房期を「あり」、暖房期を設計者判断で「あり又はなし」として評価できます。

夏は外付けブラインドを下ろし、冬は上げて日射を取り込む。住まい方としては自然なのに、住宅の省エネ計算では冷房期と暖房期を分けて評価できませんでした。

2026年10月1日予定の計算プログラム更新から、上下または左右に開閉し、付属部材の有無を切り替えられるものに限り、冷房期は「あり」、暖房期は設計者判断で「あり」または「なし」として評価できます。

ただし、ロールスクリーンや防犯シャッターなら何でも対象になるわけではありません。仕様基準・誘導仕様基準の扱いも変わりません。今回認められたのは「季節ごとの操作を計算へ反映する方法」であって、製品の範囲を自由に広げる変更ではない。この境界を先に押さえておきます。


9月までと10月からの違い

住宅性能評価・表示協会の2025年4月Q&Aでは、外付けブラインドを冷房期は閉じ、暖房期は開けた状態としてよいかという質問に対し、「冷房期と暖房期で分けることはできません」と回答していました。

これが、建築研究所の技術情報Ver.21と住宅版計算プログラムVer.3.11.0で変わります。国土交通省が2026年8月19日に公表したQ&Aでは、暖房期を「あり」「なし」のどちらにするかは設計者判断でよいと明確にしました。

付属部材の状態冷房期暖房期2026年10月からの扱い
上下・左右に開閉して有無を切り替えられるありあり又はなし冬に開ける設計なら「なし」を選択可能
スラット角度調整だけ、または固定ありあり季節で「なし」にはできない
和障子ありあり季節で「なし」にはできない
評価しないなしなし付属部材の効果を計算へ入れない

ポイントは、スラットの角度を変えられるかではなく、上下または左右への開閉で、開口部から付属部材がある状態・ない状態を切り替えられるかです。固定ルーバーや、スラット角度だけを調整するブラインドは、冬も「あり」のままです。

10月1日は法律の施行日というより、技術情報と計算プログラムの版が変わる予定日です。
更新前後で評価結果が変わる場合があるため、申請図書には使用したプログラム版と計算条件を残しておく必要があります。

「外付け」なら何でも評価できるわけではない

ここは製品名だけで判断しない方がよいところです。国交省Q&Aは、2026年10月以前に住宅の評価方法で外付けブラインドとして評価できたものは、10月以降も外付けの日射遮蔽部材として評価できるとしています。つまり、定義そのものは広げていません。

Q&Aでは、外付けロールスクリーンや日射制御を目的とした防犯シャッターを一律に対象とはしていません。住宅で従来対象だった外付けブラインド・和障子と、非住宅の評価方法で対象だった内付けブラインドが基本です。個別製品は、仕様書と設置方法を示して審査機関等へ確認する扱いです。

計算へ入れやすい資料製品の用途、スラット・幕の構造、上下・左右の開閉方法、開口部との位置関係が分かる仕様書と図面。
名称だけでは足りない例「ブラインドシャッター」「外付けスクリーン」「日よけ」といった商品名。防犯、遮光、日射制御のどれを目的とするかも確認。
複数部材がある開口部外付けブラインドと和障子などを併設しても、評価するのはいずれか一つ。都合よく効果を重ねない。
内付け部材のレール開口部の直近内側にレール等を設ける場合は、技術情報の脚注に沿って「あり」「なし」の値を使える余地がある。

確認検査機関は提出された計算と図書の整合を審査しますが、個別製品を一般的に「すべて適用可」と認定する立場ではありません。メーカー資料が曖昧な場合は、製品の性能根拠をメーカーへ確認し、申請案件の取り扱いを審査側と事前に共有する方が安全です。

数字が良くなる仕組みと、数字だけでは言えないこと

技術情報の付録Cでは、ガラスの垂直面日射熱取得率を、付属部材なし、和障子、内付けの日射遮蔽部材、外付けの日射遮蔽部材に分けています。例えばLow-E二層複層ガラスの日射取得型では、ガラス部分の値は次のようになります。

付属部材ガラスの垂直面日射熱取得率季節別評価での使い方の例
なし0.64冬に部材を開ける場合
内付けの日射遮蔽部材0.47夏に内付け部材を閉じる場合
外付けの日射遮蔽部材0.15夏に外付け部材を閉じる場合

外付けはガラスへ日射が入る前に遮るため、表の値でも差が大きく出ます。ただし、0.64から0.15になるから建物全体の冷房エネルギーが76%減る、という意味ではありません。窓枠、方位、庇、窓面積、地域、暖冷房条件などを含む計算の一要素です。

また、同じ開口部について、暖房期は付録C、冷房期は都合のよい別の試験値というように、季節ごとに評価方法を切り替えることはできません。部材の有無は季節で分けられても、値の求め方まで季節ごとに選び直せるわけではありません。

仕様基準と実際の住まい方は別に考える

今回の季節別評価は、仕様基準・誘導仕様基準には適用されません。国交省Q&Aも「これまで同様」と回答しています。標準計算で使える考え方を、仕様基準の判定へそのまま持ち込まないでください。

もう一つ、計算上「冬は開ける」としたことと、入居後に必ず開けてもらえることは別です。設計者判断で「なし」を選べるのは、計算方法が季節操作を認めたからであって、居住者の操作を保証したからではありません。

私は、ここを単なる入力テクニックにしない方がよいと考えます。冬の日射取得まで期待して外皮・設備を組み立てるなら、操作しやすい位置、日射がある時間帯、プライバシー、防犯、眩しさも含めて、実際に開けられる設計かを確認する。自動制御なら制御条件と停電・故障時、手動なら引渡し時の説明まで設計の一部です。

10月をまたぐ案件で残したい情報

  • 住宅版計算プログラムと技術情報の版
  • 各開口部で評価した付属部材の種類と設置位置
  • 上下・左右への開閉で「有無」を切り替えられることが分かる仕様
  • 冷房期・暖房期で選んだ「あり」「なし」
  • 日射熱取得率の根拠をJIS値・付録Cのどちらで求めたか
  • 複数部材がある場合に、どれを評価し、どれを評価しなかったか
  • 仕様基準を使う案件では季節別評価を持ち込んでいないこと

2026年10月の変更は、夏と冬で住まい方が変わる現実へ計算を一歩近づけるものです。一方で、自由に良い方の数字を選べる変更ではありません。まず「製品が評価対象か」、次に「有無を切り替えられるか」、最後に「同じ評価方法で季節別の状態を説明できるか」。この順番で確認すると、申請時の手戻りを減らせます。

一次資料:国土交通省・季節別の日射遮蔽評価に関するQ&A(2026年8月19日)建築研究所・住宅版Ver.3.10.0からVer.3.11.0への変更内容建築研究所・技術情報第三章第四節Ver.21住宅性能評価・表示協会・省エネ適判部会Q&A住宅(2025年4月版)


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それでは以上となります。最後までご覧いただきありがとうございました。


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cat_yamaken
YamaKen都市と建築が好きな人
【資格】一級建築士、建築主事、宅建士、省エネ適合性判定員など /【実績・現在】元役人:土木行政・建築行政・都市計画行政・公共交通行政・まちづくりなどを10年以上経験 / 都市づくりコンサル、建築設計、執筆、エンジニア/