2026年5月の既存住宅販売量指数は125.0でした。「2010年より25%多いなら、中古住宅は1.25倍売れている」と読めそうですが、少し注意が必要です。
125.0は戸数ではなく、2010年の平均的な販売量を100とした指数です。前年比25%増でもありません。前月比は3.5%減、2025年5月との比較は筆者計算で約6.4%減です。
こんにちは。やまけんです。不動産の統計には価格、取引件数、成約率、在庫などがあります。既存住宅販売量指数は、その中で「個人が購入した既存住宅の所有権移転登記」をもとに、販売量の動きを追う指標です。査定や仕入れで使う前に、指数が含むものと含まないものを分けてみます。
125.0という指数の意味
基準は2010年平均=100です。全国の合計125.0は、季節性を除いた2026年5月の販売量が、2010年の平均的な月より高い水準にあることを示します。ただし、125.0という数値そのものは12万5,000戸ではありません。
| 2026年5月・全国 | 季節調整値 | 前月比 | 何を含むか |
|---|---|---|---|
| 合計 | 125.0 | -3.5% | 戸建住宅+マンション |
| 合計・30㎡未満マンション除く | 114.3 | -2.9% | 戸建住宅+30㎡以上マンション |
| 戸建住宅 | 124.6 | -3.4% | 個人取得の既存戸建住宅 |
| マンション | 124.2 | -4.4% | 30㎡未満を含む |
| マンション・30㎡未満除く | 100.2 | -4.1% | 30㎡以上 |
もう一つ大事なのが比較相手です。前月比-3.5%は、季節調整した2026年4月との比較です。公表系列の2025年5月133.5と2026年5月125.0を比べると、前年同月比は筆者計算で約-6.4%になります。同じ125.0でも、基準年比、前月比、前年同月比は別の話です。
125.0から直接言えるのは「2010年平均=100の指数上で125.0」ということ。
実際の戸数、売出し物件に対する成約率、売却までの日数を知るには、別のデータが必要です。
30㎡未満マンションを外す理由
国交省は合計とマンションについて、30㎡未満を含む系列と除く系列を併記しています。個人による小規模なワンルームマンション取得が増え、居住用の戸建やファミリー向けマンションとは違う動きが全体を押し上げる可能性があるためです。
5月は合計125.0に対し、30㎡未満マンションを除くと114.3。マンションだけなら124.2に対し、除外後は100.2です。差があるから、30㎡未満を含む数字が間違いなのではありません。投資用を含む市場全体を見たいのか、比較的大きな住戸に近い動きを見たいのかで使い分けます。
価格指数と販売量指数の違い
販売量が減ったから価格も下がる、とは限りません。販売量指数は登記をもとにした取引量の動き、不動産価格指数は取引価格の動きです。売り物件が少ない、建築費が上がる、駅近へ取引が偏る、金利や融資条件が変わるといった要因で、量と価格が逆方向へ動くこともあります。
| 知りたいこと | 近い指標 | この指標だけでは不足する理由 |
|---|---|---|
| 中古住宅が何戸動いたか | 登記個数などの実数 | 指数は基準年からの相対的な動き |
| 価格が上がったか | 不動産価格指数、成約単価 | 販売量指数は価格を測らない |
| 売りやすいか | 成約率、在庫、掲載期間 | 売出し母数や販売期間を含まない |
| 自宅需要が強いか | 購入目的別の調査 | 投資用、別荘、セカンドハウスも含む |
実務での短い覚え方
販売量指数は「何件くらい売れたかの水準感」、価格指数は「いくらで取引されたかの水準感」。どちらも個別物件の査定額や売却期間を直接答えるものではありません。
全国平均の内側にある地域差
2026年5月の合計指数は全国125.0ですが、地域別では北陸134.3、中部137.1、近畿124.8、九州・沖縄124.5など差があります。前月比も北陸+11.0%、中部+1.8%に対し、北海道-13.0%、近畿-4.2%でした。
都府県では東京都134.0で前月比-6.9%、愛知県140.8で+3.9%、大阪府127.9で-7.6%です。ただし、単月の増減だけで「東京から愛知へ需要が移った」と原因を決めることはできません。取引件数が相対的に少ない地域ほど月次は振れやすく、季節調整にも改定があります。
地域比較では、まず同じ区分と同じ期間をそろえます。そのうえで、人口移動、世帯数、新築供給、価格、金利、在庫を重ねる。全国125.0を市区町村の査定へそのまま置かないことが重要です。
仕入れ・査定での使いどころ
- 最初に系列を選ぶ:30㎡未満を含むか、戸建かマンションかを案件に合わせる
- 比較期間を明記する:基準年比、前月比、前年同月比を混ぜない
- 量と価格を分ける:販売量指数の低下だけで値下がりを決めつけない
- 地域を下りる:全国、ブロック、都市圏、都府県の順に確認する
- 個別データへつなぐ:レインズ等の成約事例、在庫、掲載期間、物件状態を確認する
既存住宅販売量指数の良いところは、登記を基礎に、地域別・住宅種類別の動きを同じ物差しで追えることです。一方で、125.0を「中古住宅が前年比25%売れた」と言い換えた瞬間に、統計の意味が変わります。数字そのものより、基準、比較相手、除外条件の三つを一緒に読む方が、仕入れや査定の判断に役立ちます。
一次資料:国土交通省「既存住宅販売量指数 令和8年5月分」/国土交通省「既存住宅販売量指数」/国土交通省「不動産価格指数」。前年同月比は公表系列から筆者計算。
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それでは以上となります。最後までご覧いただきありがとうございました。













