建築設計・工事監理の報酬計算ツール|告示第8号の略算法

無料計算ツール

用途と床面積から標準業務人・時間数を求め、時間単価と経費を使って報酬の目安を計算します。

これは、単一用途の新築建築物について行う標準業務を想定した略算方法の計算ツールです。

最初に、算定方法を確認

国土交通省の業務報酬基準フローに沿って、この案件に略算方法を用いるか確認します。

チェック1チェック2STEP 1 用途STEP 2 業務量STEP 3 補正STEP 4 報酬
チェック1

業務報酬基準の対象となる、通常の設計等の業務ですか?

設計、工事監理、建築工事契約に関する事務又は建築工事の指導監督が対象です。調査・鑑定のみの業務や、個別性が極めて高く経費の算定になじまない業務は対象外です。

チェック2

新築に係る業務で、必要経費を個別に積み上げることが困難ですか?

略算表は新築の標準業務を前提とします。必要経費を積み上げられる場合は実費加算方法が標準です。

利用上の注意

  • 算定結果は契約金額を決定するものではなく、報酬検討の参考値です。
  • 報酬額は最終的に当事者間の合意で定めます。設計・工事監理契約では、業務報酬基準に準拠した委託代金で契約するよう努めることとされています。
  • 略算表の最小面積未満・最大面積超は、告示の略算方法を適用できません。
  • 増築、改築、修繕、模様替え、設計変更、複雑な複合用途には、略算表の標準業務量をそのまま適用できません。設計変更を加算する場合は、変更業務の人・時間数を個別に見積もってください。
  • 標準業務は、設計・工事監理に必要な情報が既に提示されていることを前提とします。企画、敷地選定、資金計画、土質・埋蔵文化財調査などは標準業務に含まれません。
  • 確認申請図書の作成に必要な事前協議・図書作成は標準業務ですが、建築主に代わって行う申請手続や自治体独自条例に基づく協議は追加的な業務です。
  • 技術料等経費は、技術力・創造力等の対価として契約前に協議し、個別に定めるものです。
  • 税務上の取扱いや非課税・不課税経費は、個別の契約条件に応じて確認してください。

Q&A

Q1. 告示どおりの金額で契約しなければならないのですか?

いいえ。業務報酬基準は、建築士法第25条に基づいて国土交通大臣が定める報酬の基準です。実際の報酬額は当事者間の合意で決まりますが、同法第22条の3の4により、設計受託契約又は工事監理受託契約を締結しようとする者は、この基準に準拠した委託代金で契約するよう努めなければならないとされています。

Q2. 標準業務とは何ですか?

設計又は工事監理に必要な情報が提示されている場合に、一般的な契約に基づいて行う業務です。内容は告示別添一に定められ、略算表の業務量は標準業務をすべて行う場合を前提とします。

Q3. 追加的な業務はどう扱いますか?

告示別添四の業務や、標準業務に含まれない依頼業務について必要人・時間数を見積もり、STEP 3で加算します。契約前に内容と報酬を協議し、契約書等で明確にすることが適切です。

Q4. 改修・増築・設計変更にも使えますか?

略算表は新築時の業務量を示すため、そのまま適用することはできません。必要人・時間数を直接見積もる実費加算方法など、別の合理的な方法で算定します。

Q5. 確認申請の業務は標準業務に含まれますか?

申請図書の作成に必要な事前協議と申請図書の作成は標準業務です。建築主に代わって行う申請手続や、自治体独自条例に基づく協議は追加的な業務です。

Q6. 表にない床面積はどう計算しますか?

表にある2つの床面積の間は線形補間します。告示第四のただし書きにより、表の最小値未満又は最大値を超える建築物には略算方法を使えません。調査対象外の規模で、信頼性のある標準業務人・時間数が示されていないためです。この場合は、実際に必要となる業務と人・時間数を見積もる実費加算方法などで算定します。

Q7. 複合用途の建築物にも使えますか?

用途ごとに略算表を適用した業務量を合算し、ガイドラインの複合化係数を乗じる方法があります。ただし、用途の組合せや構造によって適用方法が異なり、個別性が高い場合は実費加算方法などが適切です。本ツールは単一用途のみ自動計算します。

Q8. 時間単価は何を入力しますか?

原則として、その業務に従事する者の1人・時間当たり人件費を事務所ごとに設定します。ガイドラインでは、一級建築士の免許取得後2年相当の技術者の単価を設定することが基本です。公的な参考値として、令和8年度「設計業務委託等技術者単価」の技師(C)は42,500円/日、8時間換算で5,312.5円/時間です。ただし、これは公共業務の積算用で、民間契約や給与を拘束するものではありません。

Q9. 直接経費・間接経費は必ず1.1倍ですか?

告示の略算方法では、直接経費と間接経費の合計を直接人件費の1.1倍として算定できます。一方、技術的助言では、各建築士事務所が自らの実績に基づく比率をあらかじめ算定しておくことが望ましいとされています。その比率を用いる場合は入力値を変更してください。

Q10. 基本設計のみ・実施設計等のみの場合はどう計算しますか?

ガイドライン5-4-3の業務比率を用います。第1類は、基本設計が総合28%・構造24%・設備23%、実施設計等が総合72%・構造76%・設備77%です。第2類は、基本設計が総合29%・構造22%・設備25%、実施設計等が総合71%・構造78%・設備75%です。一部業務によって新たに生じる調整業務は別途加算します。戸建住宅にはこの比率が示されていないため、自動配分しません。

Q11. 算定結果をPDFで保存できますか?

計算結果下の「PDFを別タブで開く」で内容を確認できます。「PDFファイルで保存」からは、計算条件・業務量の計算過程・根拠式・費用内訳を日本語PDFとして直接保存できます。

Q12. 「木造建築物」の告示係数とは何ですか?

木造の材料費や構造計算の割増率ではなく、告示別添三が定める標準業務人・時間数の難易度補正です。戸建住宅以外の木造建築物では、設計の総合を1.08倍・構造を1.02倍、工事監理等の総合を1.13倍・構造を1.16倍します。設備には木造を理由とする係数はありません。戸建住宅は別表第13〜15の取扱いとなるため、この木造係数を重ねて適用しません。

Q13. 難易度の条件が複数当てはまる場合はどうしますか?

告示及び技術的助言では、該当するすべての難易度係数を乗じることが基本です。このツールも、特殊な形状・木造・特殊構造・特別な設備などが複数該当する場合は係数を掛け合わせます。ただし、戸建住宅で同じ一つの係数欄に複数の理由が当てはまる場合は、同じ係数を二重には掛けません。

Q14. 略算表に入力する床面積はどのように算定しますか?

告示別添三では、建築物の各階又はその一部について、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積によるものとされています。このツールには、対象となる一棟の床面積の合計を入力します。複数棟を単純に合算して一つの略算表へ入力するのではなく、原則として棟ごとに検討します。

Q15. 同じ設計図書を複数棟に使う場合も棟ごとに満額ですか?

複数の建築物で同一の設計図書を用いる場合は、通常の一般的な業務を前提とする算定方法が必ずしもなじまない特別な場合です。図書を再利用することで実際に削減される業務と、各棟ごとに必要となる業務を整理し、実費加算方法など別の合理的な方法で算定するのが適切です。

Q16. 技術料等経費には決まった率がありますか?

告示に一律の率はありません。建築士事務所の経験、技術力、創造力等の対価として、契約前に当事者間で協議して定めます。ガイドラインには民間契約で直接人件費の0.5倍程度とする例への言及がありますが、あくまで参考であり、このツールでは自動設定しません。

Q17. 10㎡程度の倉庫・物置や、50㎡程度の平屋住宅はどう算定しますか?

いずれも該当する略算表の最小面積100㎡を下回るため、告示第8号の略算表を外挿して算定することはできません。100㎡の標準業務人・時間数をそのまま使う方法も、告示上の略算方法にはなりません。

実務では、打合せ、現地・法令調査、設計図書、確認申請、構造・設備検討、工事監理など、受託する業務ごとに必要人・時間数を見積もり、直接人件費+直接経費+間接経費+特別経費+技術料等経費+消費税相当額で算定します。小規模でも調査・申請・打合せなどの固定的な業務は必要になるため、床面積に比例して100㎡案件の半額・10分の1になるとは限りません。

根拠資料: 国土交通省「業務報酬基準が改正されました」令和6年1月9日国住指第307号(技術的助言)業務報酬基準・ガイドライン設計業務委託等技術者単価