この記事では、「無鉄筋基礎コンクリート」が2025年4月から廃止される最新情報についてまとめています。
2025年4月から無筋基礎廃止
建築物の基礎構造にルールは、建築基準法第20条→施行令第38条第3項→H12告示1347号にて定められています。
H12年告示第1347号は、基礎構造の仕様方法を定めた告示として設計者であれば幾度もチェックした経験があるはず。
現告示において「無筋コンクリート」という文言が出てくるのが「べた基礎と布基礎」の仕様に関する部分です。
要約すると、基礎は鉄筋コンクリート造が原則ですが、かなり安定した地盤(長期の地耐力70KN/平米以上)であれば「無筋コンクリート」構造でもいいですよ〜という規定です。
3 建築物の基礎をべた基礎とする場合にあっては、次に定めるところによらなければならない。
一 一体の鉄筋コンクリート造とすること。ただし、地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度が1m2につき70KN以上であって、かつ、密実な砂質地盤その他著しい不同沈下等の生ずるおそれのない地盤にあり、基礎に損傷を生ずるおそれのない場合にあっては、無筋コンクリート造とすることができる。
※上記の規定は布基礎も準用されます。
出典:建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件(平成12年5月23日 建設省告示第1347号)
(注)延べ面積が10㎡以下の物置や倉庫等には適用しなくても良い規定ですが、施行令第38条第1項の原則があるため、実態としては小規模建物で構造計算を行うとコスパが悪いことからこの告示に基づく仕様の基礎とするのが一般的です。
ちなみに現代の住宅は、瑕疵担保保険への加入(構造基準への適用)があたり前なので、よほどのことがない限りは「無筋コンクリート造」とすることはないと思います。
私が建物審査で実際にあった例は、ごく小規模な物置や看板(工作物)の基礎で無筋コンクリート(構造検討有)だったくらいの記憶なので、現代ではまず見ない仕様です。
無筋コンクリート廃止に関する参考資料
令和4年建築基準法等の改正に伴う令和7年4月施行分のうち、柱の小径及び壁量計算の規定が新基準となることに関しての告示が公布されました。
実はその際の国の補足説明資料の中に、「無筋コンクリート」を廃止する旨の記載がありました。正式に決まったようです。
それがこちらです。
2023年12月に実施されたパブリックコメントでも「無筋コンクリート」を廃止していることが明らかになっていたので知っている人はいるかもしれません。※下図参照
建築物への影響
現在でも無筋コンクリートを使用している例としては、ごく小規模な物置、看板等の工作物かと思います。
そうした建物や工作物はメーカーや看板業者がH12年告示1347号第2に基づき構造計算を行っているので特に影響はないかなと考えております。
また、どうしても無筋コンクリートとしたい場合には、構造計算を行って安全上問題がないことを確認すれば引き続き使用可能です。(今時、無筋でつくる家や建物は違法DIYの倉庫や小屋、車庫くらいなのかなと思います)。
まとめ
ということで「無筋コンクリート基礎」が廃止される情報について簡単にまとめました。なお、建築基準法施行令第38条第4項→H12告示1347号第2の構造検討により問題がなければ引き続き無筋基礎も可能です。
それではこちらの情報が参考となりましたら幸いです。それではまた〜