「コンパクトシティ」を批判だけしても都市は変わらない。どこに住むのも自由です。

今回は、「コンパクトシティ 」について、個人的な見解を語ります。
よく批判の的にされがちなコンパクトシティ。失敗するに決まっているとか、やる意味がないとか言われてたりしています・・・私自身も都市を学んだことがある一建築士として、思うところがあるので、記事にしてみました。
暇つぶしに読んでみてください。٩( ‘ω’ )و

はじめに

まず、はじめに言いたいのは、「コンパクトシティ」を批判しても何にもならないということ。

だって、批判しても、都市の構造は変わらないですからね。

「コンパクトシティ」は、一般的な考えにはなりますが、経済学的に、一定程度以上の人口密度がある市街地で、なおかつ、職住近接が成り立っているので、効率的に日常生活や産業活動が展開しやすいんですよね。

当たり前ですよね。「コンパクトシティ」という考え方は、都市をつくる上で、理論的には正しいということは、普段気づいていないだけで、多くの人達が求める都市部の生活スタイルなんですよね。
仕事や給料水準、住まいなど・・・一部の例外を除き、多くの人が豊かな暮らしを求めて魅力的な都市に住みたいと思う。こういう意思が働くから、人は地方から都市部へ移動することになります。

この図は、立地適正化計画制度を説明した資料ですが、国では、地方の都市に対して「コンパクトシティ」を進めるよう求めています。

※出典:国土交通省HP、立地適正化計画の制度

計画策定を進める理由としては、これから人口減少時代に突入するからです。

市街地において、一定の人口密度に支えられてきた医療、商業、福祉等の施設の撤退を防ぐためですね。

この計画は、マクロ的に日本全国をみるものじゃなくて、ミクロ的に各々の都市の課題解決を図ろうとするものです。

そのため、これから人口減少に伴い人口密度が低下する地方都市では、効率的な都市活動を継続するために、人口密度を維持しようとする「コンパクトシティ」を進めるのは正論だと思うんです。

これが一番重要なポイントです。

それは、都市計画区域外の住民が地方の中心都市に少しでも豊かな暮らしを求めて移住するのと一緒で、日本全体で起きている都市部への移動が地方都市でも縮図として起きているということです。市場原理といえばそのとおりです。

批判の矛先

それが、批判の矛先が、都市部以外(郊外)の方々を都市部(市街地)に強制的に集めるように思われているから問題があるんです。

ここに「コンパクトシティ」の大きな誤解があるように思います。

コンパクトシティで示される居住の誘導を図るエリアは、そのエリアに強制的に集めようとしているのではなくて、将来、必然的に集まるざるを得ないエリアを効率的に維持するため、少ない公共投資で最大の効用を得るために、予め住みやすいエリアを示しているにすぎないということ。

人は、これまでも将来も変わらず、まずはじめに”仕事”で居住地を選択します。
ですので、良い給料をもらって生活が豊かになる可能性が高いエリアに必然的に集まるようになっているんです。

読者の皆さんで地方出身の人は分かるのではないでしょうか。
自分自身の事だったり、友達の事だったり、大半に人が都市部を目指したのではないでしょうか。

何もしなくても、多くの方は、自然に都市に集まるようになっています。

「コンパクトシティ」は強制移住を求めていないですよね。

だから逆に効果が無いと言われているのかもしれませんが・・・

郊外の方は、コンパクトシティ施策によって郊外の人口はもっと減少してしまい、見捨てられてしまうと考える前に、自分たちの住む地域はいつから人口減少に突入しているのか確認した方が良いです。おそらく、殆どの地域は、都市部へ労働力を供給してきただけで、人口自体は減少しているのではないでしょうか。

そして、地方へは戻ってこない。

批判してもしなくても、この人口移動の傾向は変わらないと考えられます。

つまり、「コンパクトシティ」は、都市計画区域外などの農村部等は除いて、広がってしまった市街地内で論理を展開していくことが大切であると私は考えます。

都市計画運用指針でも同じよう記載されています。

(立地適正化計画制度の活用)
〜(略)〜また、 例えば農業等の従事者が旧来の集落に居住し続けることも当然であり、全ての者を居住誘導区域に誘導することを目指すべきではない

自動運転で「コンパクトシティ」は不要になる?

自動運転が一般社会にも普及する技術レベルまでに達し、例えば速達性や経済性の面で公共交通に勝利するようになったら・・・順次、公共交通は無くなっていくことが考えられますが、都市部での自動車交通量が爆発的に増えて、都市経済は麻痺します・・・総量規制かけないと、パンクするのでは無いでしょうか。

地方では、ますます中心部の魅力が低下して、郊外立地が進みそうです。

車と施設の行き来しかしないって、とっても不自然ですし、まちの賑わいというものが全く無くなってしまうので、不思議な感じがします。(もしかしたら、これが当たり前の時代が来るのかもしれませんが)

さらに、速達性は自動運転になったところで変わらないので、経済的な距離は縮まらず、非効率な経済活動が維持されるどころか、さらに生活に必要な施設や職場が分散配置されてしまう恐れがありそうです。

一方で、公共交通が無い郊外に住む方々にとっては、便利になるかもしれません。

自動運転によって、運転のできない高齢者にとっては、郊外の人達の生活利便性は向上しますが、もとから市街地に住む人達にはあまり恩恵のないように思えます。

結局、「コンパクトシティ」はどうなるの?

社人研の予測によると、2023頃から世帯数の減少がはじまります。
ということは、現在の都市計画法等で上手くコントロールすれば、これ以上、都市が拡大することは基本的にはないと考えていいんですよね。

ですので、地方では、スカスカの市街地で非効率な経済活動になってしまう前に、「コンパクトシティ 」により、行政が住みやすい地域を示した方が民間にとっては経済活動を効率的に展開しやすいので。理屈は正しいと思います。

しかしながら、一方で郊外部に人が全くいなくなった後がどうなるかが心配です。
特に河川上流の山間部を守っている方が少なくなってしまうことで、水害の危険性が増す恐れがあることが下流域となる都市部にとっては心配ですよね。
ですので、農村部への移住ということもやっていかないといけないと思います。

いずれにせよ、批判したところで、自然的に地方都市は縮小します。
その縮小の際に、計画的かつ効率的な撤退をしていくことが重要です。
だからコンパクトシティが必要だと考えになっているんだと思われます。

今のうちから対策をしておくのは良いことかもしれません。

けれど、間違っていけないのは、農村部(都市計画区域外)の人たちの移住を促進するものではないということです。郊外は郊外の生活があって良くて、都市部とは切り離して考えるべきものです。

(補足)
人口減少については、全くの外的要因である移民施策によっては、人口が増える可能性もあるため、20年後の都市の課題がこのままとは言えないところです。

まとめ

都市を上手にコントロールできたところが魅力的な都市として維持等が可能になるのかもしれませんが、「コンパクトシティ」を批判したところで、結果は人口減少が進むので、効率的な生産活動を支える都市を維持していくためには計画的な撤退・誘導が必要になることは間違いないです。

まずは5年後に地方都市がどうなっているのか検証してみましょう٩( ‘ω’ )و
ここまで読んで頂きありがとうございました!!