鉄筋のかぶり厚さの規定についての解説となります。
※タイトル写真:sawaeng wonglakornによるPixabayからの画像
こんにちは。やまけんです!!
法令における規定の内容
規定されている条文は、建築基準法施行令第79条になります。
第1項が基本的な制限の内容、第2項の規定が第1項を適用しないケース(告示規定)について記載されています。
〔建築基準法施行令第79条〕
鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、耐力壁以外の壁又は床にあつては2㎝以上、耐力壁、柱又ははりにあつては3㎝以上、直接土に接する壁、柱、床若しくははり又は布基礎の立上り部分にあつては4㎝以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあつては捨コンクリートの部分を除いて6㎝以上としなければならない。
2 前項の規定は、水、空気、酸又は塩による鉄筋の腐食を防止し、かつ、鉄筋とコンクリートとを有効に付着させることにより、同項に規定するかぶり厚さとした場合と同等以上の耐久性及び強度を有するものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いる部材及び国土交通大臣の認定を受けた部材については、適用しない。
かぶり厚さ | 構造耐力上主要な部分 |
---|---|
2㎝以上 | 壁(耐力壁以外)、床 |
3㎝以上 | 耐力壁、柱、梁 |
4㎝以上 | 直接土に接する次の部分 壁、柱、床、梁、布基礎の立上り部分 |
6㎝以上 | 基礎(布基礎の立上り部分を除く) ※捨コンクリートの部分を含めない |
補足ですが、法第20条第1項第一号の大臣認定、保有水平耐力計算、限界耐力計算、許容応力度等計算のいずれの場合も、この令第79条は適用除外とすることはできません。
かぶり厚さを緩和するには、次の告示に基づく部材を使用する必要があります。
第2項(平成13年国交告第1372号):プレキャスト材
この告示については、簡単に要約するとプレキャスト材(工場製作製品)を使用すれば、かぶり厚さを少し緩和しますよというものです。
現場打ちに比べて工場製作品の方が製作精度も品質を良いものができることから緩和されるものです。
ただし、次のように使用できる建築物の規模等が決まっています。
・3階以下の建築物(地階を除き、基礎杭以外の部分)
・擁壁
また、コンクリートの設計基準強度等などが決まっています。
・コンクリートの設計基準強度:30N /㎜2
・セメントの品質:R5210(ポルトランドセメント)ー2003に適合し、単位セメント量が300kg /m3
・耐久性上支障のあるひび割れその他の損傷がないこと
かぶり厚さは次のようになります。
かぶり厚さ | 構造耐力上主要な部分 |
---|---|
1㎝以上 | 間仕切り壁(耐力壁以外) |
※上記の部分以外は、建築基準法施行令第79条第1項の表(鉄骨鉄筋コンクリートにおける鉄骨のかぶり厚さは、5㎝以上)の値となる。
さらに、鉄筋に対するコンクリートの付着割裂について、告示で定める構造計算を行い安全であることが確かめられた場合には次のようになります。
かぶり厚さ | 構造耐力上主要な部分 |
---|---|
2㎝以上 | 耐力壁、柱、梁 |
3㎝以上 | 直接土に接する次の部分 壁、柱、床、梁、布基礎の立上り部分 |
4㎝以上 | ・基礎(布基礎の立上り部分を除く) ※捨コンクリートの部分を含めない ・プレキャスト鉄骨鉄筋コンクリート造における鉄骨に対するかぶり厚さ |
その他、告示では構造等について詳細に規定されていますが、ここでは省略しますね。
詳細は『平成13年国交告第1372号』でGoogle検索をお願いします。
擁壁について
擁壁の記事でも同じような事を書いているのですが、かぶり厚さを誤認している方が多い印象です。
プレキャスト材の擁壁を使用する場合には、この平成13年国交告第1372号規定は重要ですので、プレキャスト材でも宅造法の認定品を使用しない場合は、この告示に基づく構造計算を行う必要がありますので注意が必要です!!
なお、構造計算を行わない場合は、かぶり厚さは6㎝となります。
まとめ
今回は、かぶり厚さについて解説しました!!
基礎に関しては、土木工事とかぶり厚さは異なっている場合が多いので、宅地擁壁を設計する場合には、かぶり厚さに注意するようにしてみてください。
それでは最後までご覧頂きありがとうございました!!ご覧頂いた方の参考となれば幸いです。