「特定天井」の対象となる建築物と基準の解説

こんにちは。建築士のやまけんです!!

いきなりですが、
「特定天井」という用語が出現したのは、平成26年4月1日の改正令の施行からなのは知っていました?
大規模な地震によって、吊り天井が脱落する事故が相次いだために新たに設けられた規制です。

今回は、この特定天井について、特に初心者建築士向けに記事にしましたので、業務の参考にしてみてください。

では、まずは、用語の定義から確認していきましょう。

特定天井とは(用語の定義)

分かっている人は読み飛ばしても大丈夫です。

法令は建築基準法施行令第39条第3項の規定になります。
どのように規定されているかというと、次の通りです。

[建築基準法施行令第39条第3項]
 特定天井(脱落によつて重大な危害を生ずるおそれがあるものとして国土交通大臣が定める天井をいう。以下同じ。)の構造は、構造耐力上安全なものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。

用語的には、「脱落によつて重大な危害を生ずるおそれがあるものとして国土交通大臣が定める天井」を言います。

つまり、脱落することによって重大な危害が発生するものをいいます。

特定天井というより、法律だけ読めば、大臣天井でもいいと思いますけどね。笑

大臣が定めるとは、告示に規定される規模のことを指すのですが、要は告示を確認しないと不明です。

では、次に告示を確認して特定天井の定義をみてみましょう!!

大臣が定める天井の規模等は?

告示:平成25年8月5日国土交通省告示771号
「特定天井及び特定天井の構造耐力上安全な構造方法を定める件」に記載されています。

特定天井とは? は告示第2に規定されていて、次のように記載されています。

吊り天井※1で、次に全てに該当するもの
○居室、廊下その他の人が日常立ち入る場所に設けられるもの
○高さが6mを超える天井の部分で、その水平投影面積が200㎡を超えるものを含むもの
○天井面構成部材等※2の単位面積質量(天井の面積の1㎡当たりの質量をいう。)が2kgを超えるもの

※1:天井のうち、構造耐力上主要な部分又は支持構造部から天井構成部材を吊り材により吊り下げる構造の天井をいう
※2:天井面構成部材並びに照明設備その他の建築物の部分又は建築物に取り付けるもの(天井材以外の部分のみで自重を支えるものを除く)であって、天井面構成部材に地震その他の振動及び衝撃により生じる力を負担させるものをいう。

 

要は、「6m超の高さにある200m²超の吊り天井」をいいます。

想像してみてください。
仮に6mの位置から20kg /㎡の天井材が落下し、人に当たれば重大な事故につながりますよね。

それから、水平力を受けた場合に横振れにより力が増幅しやすい、面積の大きい天井が対象となっています。

とはいえ、一般的な住宅ではまず設けることは無いですね。

ありえるとすれば、集会場やホテルの食堂やロビーなどの比較的人が多く集まる場所に設けられる規模と考えていいと思います。

また、最近の店舗では、間仕切り壁が無く、商品陳列棚が間仕切り壁の代わりになっている場合などは、特定天井に該当する可能性が高いですので、設計時では注意が必要ですね。

 

改正前までは設計者の判断による部分が大きかったので、利用者の安全性を確保する上では良い改正だったのかなと個人的には考えています。

ちなみに2kg /㎡以下であれば特定天井ではありませんので、この特定天井に該当しない例でいえば、防火性の高い膜天井で仕上げるという方法もありますね。

では次に構造の基準の解説です。

特定天井の構造方法は?

はじめにこちらをご覧ください。
これは、国土交通省が公表している天井脱落対策の対象となる天井と検証ルートを示した資料です。


※出典:国土交通省ホームページ掲載資料

構造方法は、次の3つに規定されています。

○仕様ルート
耐震性等を考慮した天井の仕様に適合することで検証(天井の質量2kg /㎡超20kg /㎡以下)

○計算ルート
天井の耐震性等を告示で定める計算で検証

○大臣認定ルート
構造躯体の特性を 時刻歴応答解析で検証する建築物について天井の耐震性等を検証

要は、この3つのルートから選択して設計すればよいのですが、当然設計しやすいのは仕様ルートでしょうね。
国においても、仕様ルートの例を示しています。


※出典:国土交通省ホームページ掲載資料

設計時の注意点としては、天井面構成部材等の単位面積質量は20kg以下とすることが求められます。

注)天井面構成部材等とは・・・
「天井板、天井下地材(附属する金物を含む)、照明設備(天井材以外で自重を支えるものを除く)などで天井面構成部材に地震等の力を負担させるもの」をいいます。
なお、詳しくは告示第2第2項をご覧ください。

この20kg /㎡以下とするリミッターを外すには、大臣認定ルートしかありません。

 

では話を戻りまして、告示仕様ルートですが、国土交通省が示している資料はあくまでも例に過ぎないので、実際の設計には、告示に基づく計算が必要となってきますので、詳しくは告示を確認するようにしてください。

 

また、一般社団法人 建築性能基準推進協会では、設計例などをサイト上で公開していますので、とても参考になると思われます。
▶︎一般社団法人 建築性能基準推進協会ホームページ(外部リンク)

 

特定天井の設計において、その他注意すべき事項

その他、建築基準法施行令第39条第4項では次のように規定しています。

[建築基準法施行令第39条第4項]
特定天井で特に腐食、腐朽その他の劣化のおそれのあるものには、腐食、腐朽その他の劣化しにくい材料又は有効なさび止め、防腐その他の劣化防止のための措置をした材料を使用しなければならない。

一般的といえば一般的ですが、当然にまもるべき内容が規定されています。
特記仕様書に記載し、施工業者と打ち合わせをして、腐食等がしにくい材料を選択するようにします。

おわりに

特定天井に該当する建築物については、告示に示されていますが、特定天井に該当しない建築物についても、不特定多数の人が常時利用する居室については、告示を準用して設計することが望ましいと考えます。
だって、自分が設計した建築物で人が不幸な目にあったら悲しいですよね。

天井の設計については、今後も技術的に向上されていくでしょうから、設計者は今後もこの告示について注視していく必要があると思います。

それでは、今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

(タイトル写真)
David MarkによるPixabayからの画像