「高層住居誘導地区」とは?[都市計画法・建築基準法の解説]

「高層住宅誘導地区」とは、現時点※1で港区と江東区の2箇所しかない、非常に稀な「都市計画」です。

この都市計画も「地域地区」と同じように、宅建士の試験で出題されるようになっているので、試験対策としては概要だけでも知っておく必要があります。

※1:平成29年3月31日都市計画現況調査(国土交通省)

こんにちは。建築士のやまけんです!!

それでは「高層住居誘導地区」について解説します。

「高層住居誘導地区」の定義

「高層住居誘導地区」は都市計画法第8条に規定する「地域地区」の一つです。

それでもって、「高層住居誘導地区とは」は、都市計画法第9条第17項に規定されています。

[都市計画法第9条第17項]High-rise residential attraction districts
高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域でこれらの地域に関する都市計画において建築基準法第52条第1項第二号に規定する建築物の容積率が10分の40又は10分の50と定められたものの内において、建築物の容積率の最高限度、建築物の建蔽率の最高限度及び建築物の敷地面積の最低限度を定める地区とする。

これだけですと、高層住宅の建設を誘導することが目的あることは分かるんですが、意義が不明だと思います。

そこで、「都市計画運用指針」を確認してみます。
都市計画運用指針で重要だと思うところに下線を引いています。

[都市計画運用指針 抜粋]
高層住居誘導地区は、大都市地域の都心地域等で、居住機能の低下、人口の空洞化が進展し、職住の遠隔化による通勤時間の増大、公共公益施設の遊休化などの問題が発生していることに鑑み、住宅と非住宅の混在を前提とした用途地域において高層住宅の建設を誘導することにより、住宅と非住宅の適正な用途配分を回復し、都心における居住機能の確保職住近接の都市構造の実現良好な都市環境の形成を目的として定めるものである。
また、地方都市においても適切な都市構造の実現の視点から中心市街地における住宅供給の促進を図るべきと考えられる場合には、本制度を積極的に活用し得るものである。

○ポイント
・大都市地域の都心における居住機能の確保、職住近接の都市構造の実現等を図ることが目的
・地方都市においては、中心市街地における住宅供給の促進が目的

では、次にどういった地域で指定することができるかみてましょう。

「高層住居誘導地区」を指定することができる地域


・写真StockSnapによるPixabayからの画像

指定することができる地域は次の表の条件に該当する地域のみです。

用途地域 指定容積率
第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域 400%、500%

指定容積率で400%を超える用途地域は基本的には商業地域がメインですから、上表に該当する地域というのは、少ないと思います。
おそらく大都市のしかも都心地域に近いところで用途地域でみることができます。

また、「都市計画運用指針」にもあるとおり、大都市の都心若しくは地方都市の中心市街地とされていることに留意する必要があります。

なお、同指針では、指定が考えられる地区の例示をしています。
あくまでも例示なので、これによる必要はないとは思いますが、指定される地域は限定的ですね。

[都市計画運用指針 抜粋]
a 緑地等のオープンスペースによって囲まれていること等により独立性が高く、当該地区における高層住宅の供給が周辺に与える影響が少ないと考えられる地区

b 相当の公共施設の整備が行われている地区であるが、工場移転等により遊休化し た土地が多く、近年、都心と近接しているなどの利便性から事務所、住宅等の土地利用に転換しつつある地区

c 公共施設が整っている都心に近い市街地であるが、敷地規模の状況等の要因から、適切な土地の高度利用が図られていない地区において、敷地の統合を促進しつつ、 地域にふさわしい高層住宅の建設を誘導していく必要がある地区

「都市計画」を定めることができる者

都市計画法第15条第1項の規定により「市町村」になります。

ですので、必要とあれば市町村の裁量で「高層住居誘導地区」を指定することができるようにはなっています。

では、次に実際に指定されている地域を見てみましょう!!

指定された地域の実例

港区で指定された位置(芝浦アイランド)です。
芝浦アイランド一体が指定されています。

「港区 高層住居誘導地区」でインターネット検索すると詳細がわかります。

建築基準法との関係

ポイントとしては、2つです。

①建築物の敷地が高層住居誘導地区の内外にわたるときは、都市計画で定められた建築物の建蔽率の最高限度を、当該建築物の当該高層住居誘導地区内にある部分に係る第53条第1項の規定による建築物の建蔽率の限度とみなして、同条第2項(建蔽率算定における加重平均の考え方)の規定を適用する。

②建築基準法第56条の2第1項(日影規制)は適用されません
要は、同項中の記載文中は、「対象区域(高層住居誘導地区を除く。)内の土地」とするに読み替えられます。

終わりに

今回は、簡単ではありますが「高層住居誘導地区」の概要を解説しました!

宅建士試験対策では、この程度の概要をおさえておけば問題ないと思います。

それでは、最後までご覧いただきありがとうございました^ ^