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「構造方法に関する補則」に関する告示一覧(枠組み壁工法や丸太組工法など)

いきなりですけど、木造、CB造、S造、RC造、SRC造、無筋コンクリート造以外にも別の特殊な構造方法があり、ちゃんと構造方法に関して国土交通大臣において告示が定められているの知っていますか。

例えば木造といっても、単純な軸組工法以外にも枠組み壁工法や丸太組工法などのいくつかの構造方法があります。

こんにちは!!建築士のやまけんです。

どのような構造方法がどの告示に定められているか予め知っておくと、設計するときに便利ですし、知識の幅が広がります。

また、もしかしたら、普段から分かっている構造以外で建築してみはどうか?!といったアイデアが浮かぶ可能性もあるかもです。

ということで、この記事では特殊な構造方法に関する告示について説明していきます。




はじめに

特殊な構造方法は、構造基準を定めている建築基準法第20条、施行令第80条の2に規定されています。

建築基準法第20条 → 建築基準法施行令第80条の2(構造方法に関する補則)

[建築基準法施行令第80条の2]
第三節から前節までに定めるもののほか、国土交通大臣が、次の各号に掲げる建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関し、安全上必要な技術的基準を定めた場合においては、それらの建築物又は建築物の構造部分は、その技術的基準に従つた構造としなければならない
一 木造、組積造、補強コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は無筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分で、特殊の構造方法によるもの
二 木造、組積造、補強コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造及び無筋コンクリート造以外の建築物又は建築物の構造部分

つまり、次の構造以外は、国土交通大臣が技術的基準を定めているので、その基準を定めてねというもの。

  • 木造
  • 組積造
  • 補強コンクリートブロック造
  • 鉄骨造
  • 鉄筋コンクリート造
  • 鉄骨鉄筋コンクリート
  • 無筋コンクリート造

では、次の項から、その告示について紹介します。

今回は、告示一覧をお伝えすることで、検索する手間を省けるよう概要だけ記載します。
黄色本(構造解説書)を持っている方はいいですけど・・・告示を一つ一つ探すのって手間ですしね。

ちなみ汎用性が高いものについては参考書籍も合わせてお伝えします。

プレストコンクリート造

昭和58年7月25日建設省告示第1320号
プレストコンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準

☑️あらかじめ応力を加えた鉄筋コンクリート造による建築物です。

免震建築物

平成12年10月17日建設省告示第2009号
免震建築物の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件

☑️鉛直荷重を支持し、建築物の水平方向の変形性能を確保する支承材には、弾性係、すべり系、転がり系があり、振動エネルギーを窮する減衰材には、弾塑性系、流体系があります。

壁式ラーメン鉄筋コンクリート造

平成13年6月12日国土交通省告示第1025号
壁式ラーメン鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全必要な技術的基準を定める等の件

☑️建築士は分かっていることですが、ラーメン構造の鉄筋コンクリート造と壁式ラーメン鉄筋コンクリート造は別物です。
ちなみに、壁式ラーメン構造は、階数は15階以下、軒高さ45m以下などの基準が定められています。

壁式鉄筋コンクリート造

平成13年6月12日国土交通省告示第1026号
壁式鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件

☑️工場でつくった壁や床などの材料を現地で組み立てて建築する方法が一般的です。
私の勝手なイメージでは、公営住宅などで使用されていることが多いように感じます。

☑️階数は5以下、軒高さ20m以下、階高は3.5m以下、耐力壁に囲まれた部分の面積は60㎡以下などの基準が定められています。

枠組壁工法・木質プレハブ工法

平成13年10月15日国土交通省告示第1540号
枠組壁工法又は木質プレハブ工法を用いた建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件

☑️枠組壁工法とは、その名の通り「壁」や「床」を合板でつくっていくものです。
☑️木質プレハブ工法とは、枠組壁工法の枠組への釘打ちつけと違い、枠組に合板を接着(あらかじめ工場)します。
☑️階数は3階以下にするなどの基準が定められています。

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薄板軽量形鋼造(スチールハウス工法)

平成13年11月15日国土交通省告示第1641号
薄板軽量形鋼造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件

☑️軽量鉄骨よりもさらに軽い、木造合板等との併用建築物です。階数は3階以下にするなどの基準が定められています。

デッキプレート版

平成14年4月16日国土交通省告示第326号
構造耐力上主要な部分である床版又は屋根版にデッキプレート版を用いる場合における当該床版又は屋根版の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件

☑️デッキプレート版とは、「平板状若しくは波板状の鋼板その他これに類する成形を行ったもの又は当該鋼板にコンクリートを打込んで鋼板とコンクリートが一体化した板状のもの」のことです。

アルミニウム合金造

平成14年5月14日国土交通省告示第410号
アルミニウム合金造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件

☑️鉄(Fe)とアルミニウム(AI)は全く違います。
アルミニウム造の代表例ですと、カーポートですかね。
実は、鉄骨造ではないので、建築確認の特例が使用できないので、本来は、この告示に定められた基準に適合していることを図面に表示して確認を受けなければなりません。

丸太組構法

平成14年5月15日国土交通省告示第411号
丸太組構法を用いた建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件

☑️いわゆるログハウスです。木ですけど、在来軸組工法とは別物です。
階数は2階以下にするなどの基準が定められています。

システムトラス

平成14年5月27日国土交通省告示第463号
構造耐力上主要な部分にシステムトラスを用いる場合における当該構造耐力上主要な部分の構造方法に関する安全上主要な技術的基準を定める件

☑️大空間を構成させる場合に使用します。

コンクリート充填鋼管造

平成14年5月27日国土交通省告示第464号
コンクリート充填鋼管造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件

☑️CFT(Concrete Filled Steel Tube)といわれるものです。
SRC造に近いですが、柱内部に鋼管を用いているところが違います。

特定畜舎等建築物

平成14年5月29日国土交通省告示第474号
特定畜舎等建築物の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件

☑️畜舎または堆肥舎の用途に供する建築物の構造方法に関する安全上必要な技術的基準が定められており、施行令第43条第1項(柱の小径)などの緩和が定められていますが、市街化区域外に建設することなどの基準が定められています。

膜構造

平成14年7月23日国土交通省告示第666号
膜構造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件

☑️膜構造とは、テント膜のことで、東京ドームなどの競技場などで使用されており、比較的汎用性の高い構造で、「骨組膜構造」と「サスペンション膜構造」の2種類があります。

テント倉庫

平成14年7月23日国土交通省告示第667号
テント倉庫建築物の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件

☑️膜構造の小規模版です。比較的規模の小さいテント倉庫(工場内に多くある)に使用可能な技術基準です。

鉄筋コンクリート組積造

平成15年4月28日国土交通省告示第463号
鉄筋コンクリート組積造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件

☑️RM造といわれるものです。RMとは、組積ユニット(コンクリートブロック又はセラミックメーソンユニットで型枠状のもの)を組積し、空洞部に縦横の鉄筋を配置して、コンクリートを充填し一体化した構造のものをいいます。

☑️階数は3階以下、軒高さ12m以下にするなどの技術的基準が定められています。

軽量気泡コンクリートパネル(床版・屋根版)

平成19年5月18日国土交通省告示第599号
構造耐力上主要な部分である床版又は屋根版に軽量気泡コンクリートパネルを用いる場合における当該床版又は屋根版の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件

☑️ALCパネルを床又は屋根に使用する場合の安全上必要な技術的な基準です。厚さは、支点間の距離(L)により、床で25分のL、屋根で30分のLと定められています。

CLTパネル工法

平成28年4月1日国土交通省告示第611号
CLTパネル工法を用いた建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件

☑️CLTパネル工法法とは、Cross Laminated Timberといい、直交集成板を用いたパネルを水平力及び鉛直力を負担する壁として設ける工法のことを言います。告示では、高さ60m超え、31m超え、31m以下、13m以下ごとに適用される基準が定めれています。
最近では、国の庁舎だったり、公営住宅などに使用されています。

補足

建築基準法の構造全般を知るには、次の書籍が重要です。
建築士であれば、一冊持っていても損はないと思います。というか設計者は必須です。

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なお、2018年追補版が公表されていますので、一般社団法人建築行政情報センターのページを参照してください。
▶️https://www.icba.or.jp/kenchikuhorei/

title写真

*title写真:Johannes PlenioによるPixabayからの画像

 

 

 






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など