新たに創設される建築基準法第87条の3(一時的な用途変更)の概要[2019年施行]

令和元年6月25日から施行される改正建築基準法において、新たに『法第87条の3』が創設されるのはご存知ですか? 内容としては、『既存建築物の用途を変更して一時的に他の用途の建築物として使用する場合における制限の緩和』となります。

こんにちは!!建築士のやまけんです^ ^

今回は、標記タイトルでお送りします。

この記事で分かること
○新たに創設される建築基準法第87条の3の規定の概要
○特に、建築物を一時的に店舗等に用途変更する場合の緩和規定である同法第5項について解説

新たに創設される建築基準法第87条の3とは

新たに創設される建築基準法第87条の3の概要は次のようになります。
簡単に分かるようにまとめいるので、法文全てを記載していませんのでご注意ください。

法の構成としては、第1項から第7項まで規定されます。

法第87条の3 概要 緩和法令
第1項 非常災害があった場合において、非常災害区域等内にある建築物の用途を変更して災害救助用建築物(住宅、病院等で、国、自治体、日本赤十字社が災害救助のために使用するもの)として使用する場合

*災害発生日から1年内に用途変更に着手するものに限る

建築基準法は適用除外
*防火地域内を除く
第2項 災害あった場合において、建築物の用途を変更して公益的建築物(学校、集会場等の公益上必要な用途に供する建築物)として使用する場合 次の法令は適用しない

法第12条第1項〜第4項、法第21条、法第22条、法第26条、法第30条、法第34条第2項、法第35条、法第36条(法第21条、26条、34条第2項、35条に係る部分に限る)、法第39条、法第40条、第3章、法第87条第1項・第2項

第3項・第4項 第1項及び第2項建築物について、用途変更完了後3ヶ月を超えて存続させる場合には、特定行政庁の許可が必要となる

*許可期間は2年以内

第5項 建築物の用途を変更して興行場等(興行場、博覧会建築物、店舗等)として使用する場合には、特定行政庁は、原則として1年以内の期間に限って許可することができる 次の法令は適用しない

第12条第1項〜第4項、法第21条、法第22条、法第26条、法第27条、法第34条第2項、法第35の2条、法第35の3条、第3章、法第87条第2項

第6項・第7項 建築物の用途を変更して特別興行場等(国際的な規模の会議又は競技会の用に供することその他の理由により1年を超えて使用する特別の必要がある興行場等)として使用する場合には、特定行政庁は必要な第5項の規定にかかわらず必要な期間を定めて許可することができる

*許可の前に建築審査会の同意が必要

同上

 

第1項から第7項をさらっと読んでお分かりになっているかもしれませんが、第1項と第2項は災害時において使用する場合、第5項は一時的に用途を変更する必要がある場合、第5項はズバリ、オリンピック関係ですね。

よって、一般的には、第5項以外には利用されないと想定されます。

では、第5項について詳しく解説します。

法第87条の3第5項の解説

改めて法概要をまとめてみます。

建築物の用途 許可要件 期間 緩和法令
興行場、博覧会建築物、店舗、その他これらに類する建築物 安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められる場合 原則として1年以内
ただし、建築物の用途を変更して代替建築物(建築物の工事を施工するため、工事期間中従前の建築物に代えて使用するもの)については、施工上必要と認める期間
第12条第1項〜第4項、法第21条、法第22条、法第26条、法第27条、法第34条第2項、法第35の2条、法第35の3条、第3章、法第87条第2項

改正の考え方(国資料参照)については、次のように記載されており、考え方が明瞭なので参考までに記載しておきます。

 令第147条第1項(→仮設建築物の緩和規定)は、その対象となる仮設建築物が一時的にしか存続せず、最終的には撤去されるという点に注目しているが、既存建築物の用途を変更して一時的に他の用途の建築物として使用する場合においても、当該他の用途の建築物として使用するのは一時的であり、最終的には変更前の用途に戻るため、仮設建築物を建築する場合と趣旨は共通している。
※出典:平成30年改正建築基準法に関する説明会

まぁ、簡単いえば、仮設建築物と同じように、既存建築物を一時的に別の用途として使用する場合には、緩和してあげましょうとするものですね。

☑️では、緩和される具体的な法令の一覧です。

○法第12条第1項〜第4項
・建築物の定期報告や検査関係に関する規定

○法第21条
・階数4以上等の建築物に係る主要構造部等の制限に関する規定

○法第22条
・屋根の不燃化に関する規定

○法第24条
・建築物が法第22条区域の内外にわたる場合に関する規定

○法第26条
・延べ面積が1,000㎡を超える建築物について防火壁等を設けなければならないとする規定

○法第27条
・耐火建築物等としなければならないとする建築物に関する規定

○法第34条第2項
・高さ31mを超える建築物への非常用昇降機を設けなければならないとする規定

○法第35条の2
・特殊建築物等の内装制限に関する規定

○法第35条の3
・無窓居室を有する建築物の主要構造部の制限に関する規定

○第3章
・接道規定や用途制限に関する規定

○法第87条第2項
・建築物の用途の変更に係る準用規定

補足:実際に利用さえるケースはあるのか

新たに法第87条の3が規定されるため、全国の特定行政庁で手数料条例の改正を進めているようですね。
許可手数料として概ね10万程度かかるようですが、費用の問題は別として、実際に利用されるかどうかは不明ですね。

都内や首都圏であれば、オリンピックに合わせて利用される可能性は高そうですが、それ以外は、あえて緩和を受けなければならない建築物を一時的に利用するケースってあまり想定できないし、、、
おそらく緩和する必要がない既存建築物(物件)を探した方が手続き上、楽ですね。

とはいえ、可能性としてはなくはないので、こうやって利用できる環境を整えてもらえるのは良いことですよね。自分もいずれ使うときがあるかもしれません。

最後に

ということで、今回は、新たに創設される建築基準法第87条の3について、特に同法第5項の概要をまとめました。

ご覧頂いている皆様の参考になれば幸いです。

 

*タイトル写真
David MarkによるPixabayからの画像