住宅用土地購入における注意点[土地利用編①:都市計画など]

これまでにも住宅建築に関して記事を書いてきましたが、今回はユーザーの方々の視点により落として解説していきます。

こんにちは!!建築士をしているやまけんです^ ^

今回の記事では、次の内容について理解できるように記載しています。
○住宅用の土地を購入するときに注意したいこと。(建蔽率・容積率・用途地域)

こらから住宅用地を購入する計画がある方は、ぜひご覧ください。




住宅用の土地を購入するときの注意点

なんと言っても、はじめに重要となってくるのが、自分が住みたいと考えている住宅の規模です。

「平家に住みたいなー」とか「大きい家に住みたいなー」など人それぞれ思い描いている理想の住宅があるはずです。

住宅の規模とは、3LDKや4LDKにするのか、附属する倉庫や納戸を建築するのか・・・etc
基本的には、将来の人生設計を考えて決めていくことになりますよね。

個人的な感覚ですと、おそらく住宅の延べ面積は75㎡〜130㎡以内というのが一般的だと思われます。
130㎡というのは、この数値を超えると浄化槽の人槽が5人から7人となるため、130㎡を超える住宅というのは特定の地域(一戸あたりの世帯数が多い富山など)を除けば、あまり多くないように感じます。

では、住宅の規模からどのようなことに注意すべきかです。

そこでまず一つ目としてのポイントとしては「建蔽率」です。

建蔽率とは

建蔽率とは、「建築面積÷敷地面積」となります。
建築面積とは、簡単にいうと建築物を上から見下ろしたときに見える建築物の投影面積(いわゆる建坪です)のことです。

1階と2階ともに床面積が100㎡だとすると、その建築物の建築面積は100㎡となります。
*例えば、建築面積が100㎡、敷地面積が200㎡だとすると、建蔽率は100÷200㎡*100=50%となります。

建蔽率の目的は

この建蔽率は、街区単位や、もうすこし規模の大きい地域(エリア)ごとに都市計画によって定められています。なぜ、都市計画で定められているかというと、日照や通風等を確保して、良好な都市環境を形成するためです。一般的には駅前などの商業地は建蔽率が高く、住宅地などは建蔽率が低く設定されています。

だいたいですが、商業地は80%、住宅地は60や40%程度と覚えておきましょう。
*敷地面積が200㎡で都市計画で定める建蔽率が40%だとすると、建築面積の限度は80㎡となります。

建蔽率から見える住宅用地の視点

ですから、住宅用の土地を購入するときは、自分が住みたい住宅の規模と照らし合わせてみて、適切な地域を選択することが望ましいです。

具体的には、閑静な住宅地に住みたいのあれば建蔽率が低い地域を選択するといった感じです。
なお、この建蔽率については緩和するための条項が定められており、具体的には「街区の角にある敷地(角地)」や「防火地域内の耐火建築物」などで一定の条件を満たすと指定建蔽率にプラスして10%や20%を追加することが可能です。

とはいえですので、次の項に関係してくるんですが、良好な住宅地を望むのであれば高い建蔽率の土地は避けた方がいいです。

容積率とは

容積率とは「延べ面積÷敷地面積」となります。
延べ面積とは床面積の合計(一部、車庫や防災倉庫部分などは容積率算定の面積から除外することが可能)のことで、例えば、延べ面積が100㎡の住宅で敷地面積が100㎡であれば、容積率は100%となります。

では、何に注意した方がいいかというと、用途地域と指定容積率です。

用途地域とは

用途地域とは、都市計画において定めている地域地区といわれるもので、13地域あります。

”この地域にはこの建物は建てていいけど、こっちの地域にはダメですよ”といった感じで、地域(エリア)ごとに、建築可能な用途を制限しています。
これによって、良好な住宅地や商業地、工業地というように立地できる建築物をコントロールすることで、住みやすい都市をつくっているわけですね、、、だって、住宅や工場、商業地が混在していたら住みにくくて仕方ないでしょ。

この用途地域ごとに容積率が定められていることが次のポイントとなります。

基本的に容積率が高いのは、商業系用途地域で、200%を超える地域が多いイメージです。
逆に容積率が低いのは、住居系用途地域と工業系用途地域です。
住居系は80から200%前後で指定されている感覚ですね。なお、工業系は200%が一般的ではないでしょうか。

では、その指定容積率と用途地域を見ていきます。

用途地域の選び方

ここでは、私のこれまでの経験上から得られた知見による一戸建て住宅用途地として適正な用途地域の選び方をお伝えします。

対象者 用途地域 特徴
日常生活等に便利な地域に住みたい方 商業地域 基本的には、駅前などの商業地や幹線道路沿いに設定されていることが多い地域で、容積率も200%から1300%まで指定されている。

*便利な地域であることが多いが、騒音や日照といった点で問題がある。一戸建て住宅地としては不向きであるケースが多い。
*ただし、駅前に近いなどのメリットもあり、便利さを求めるのであれば商業地域に一戸建て住宅を建築することも問題ないが、防火・準防火地域などが指定されていることにより建築コストが住宅地に比べて高い傾向にある。
*それから、地価も住宅地に比べて高い傾向にある。

多少不便でも閑静かつ良好な住宅街に住みたい方 第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
郊外の住宅団地などに設定されているケースが多く容積率も200%以下が大半、なおかつ、建築可能な用途も厳しく制限されているため、風俗営業系施設や大規模な店舗などは立地が不可であることから、良好な住宅地であるケースが多い。
日影規制や絶対高さ制限、外壁後退等により、日照や通風が適切に確保されている。*郊外と言っても、路線バスや鉄道等による公共交通が充実しているケースもあるため、一概に不便とは言い難い。
*第一種中高層住居専用地域は、高い容積率を指定できる高度利用地区を設定できる地区でもあるため、中にはマンション群であるケースもある。
上記の中間(便利過ぎなく、かつ不便でもなく比較的良好な住宅街) 第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
近隣商業地域
上記二つの中間に位置する地域(不便すぎず、便利すぎない地域)

*近隣商業地域を除いて、建築可能な用途も比較的制限されているため、良好な住宅地であるケースが比較的高い。
*近隣商業地域は、キャバレー系用途が制限されているため商業地域よりも風営面で問題がない。また、日用品等の買い物に便利だか幹線道路沿いであるケースが多いため騒音等に難がある。

※上表のほかにも、地区計画という街区単位のきめ細かな制限(建築物の用途や高さ制限、壁面の位置の制限度など)により、良好な住宅街が形成されている地域もあります。

補足:住宅用地としておすすめできない用途地域

建築士としておすすめできないと考えるのが、工業地域です。

住宅は13用途地域のうち、工業専用地域を除く地域で建築することが可能となっていますが、工業地域は工業専用地域に次に特化して工場の立地が可能な地域です。

環境の悪化の恐れの少ない工場であれば問題ないですが、この工業地域は、そのような制限はありませんので、場合によっては、大型車の通行や工業作業音などにより住宅地として難点があリます。(住工混在は極力避けるべきだと私は考えています)
さらに、学校や病院(診療所はOK)の立地が制限されていることがポイントです。

では、最後によくある疑問として、固定資産税についての見解です。

固定資産税から見えてくる敷地面積の考え方

固定資産税額の計算は、一般的には次のようになっています。※令和元年度現在

○固定資産税の計算方法
税額=課税標準*1.4%
○都市計画税の計算方法
税額=課税標準*0.3%
※課税標準:固定資産税評価額=地価公示価格*0.7(概ねの目安)

次がポイントで、住宅用敷地が200㎡以下の部分についての課税標準は固定資産税は6分の1(200㎡超えの部分は3分の1)、都市計画税は3分の1(200㎡超えの部分は3分の2)まで軽減されることになっています。

(参考)敷地面積200㎡、地価公示価格2,000万円の場合
固定資産税額=2000*0.7*1/6*1.4%÷100≒3.3万円/年
都市計画税額=2000*0.7*1/3*0.3%÷100=1.4万円/年

これに建物の固定資産税もかかる(軽減税率あり)ので、資金等に余裕がある方以外は、できる限り敷地面積は200㎡以下に抑えておくことをおすすめします。特に将来のメンテナンス費用を捻出するためにも建物固定維持費は低く抑えておくべき部分です。(※この見解は地価公示が比較的低い地域を除く)

補足:狭小敷地について

ちなみ、これは私の考えですが、狭小敷地であればあるほど、建蔽率は低く抑えて、容積率を最大限まで活用、日照を確保し、なおかつ中庭を設けることが良いと考えています。
何故なら、狭小地であるほど、建物と隣接地との距離が短くなることで相隣トラブルの原因となるからです。
さらに、狭小地である場合、足場などの関係からメンテナンスにも費用を要することが考えられるため、なるべく、隣地との距離を確保した方がいいです。
また、日照を確保するという点では、天窓がおすすめできます。
狭小地の場合、庭は確保できず駐車場とせざるを得ない状況になりますから、中庭を設けることでプライバシーを保ちつつ緑地空間を確保することがポイントです。
どうしても、狭小地ですと建蔽率をギリギリいっぱいまで使いたくなりますが、そこを抑えて建物配置を検討してみるといいかもしれません。

おわりに

今回は、建蔽率・容積率・用途地域から考える住宅用地について私個人の見解を踏まえながら解説しました。
最終的にどのような土地を選ぶかは、建築主の判断になりますが、都市計画や建築基準法に精通する建築士としては、住宅用地として適正であるかどうかの知見を有していますので、こういった判断をできる建築士に相談して建築用地に関する適切なアドバイスを受けることをおすすめしたいところです。

次回は、土砂災害や丘陵地などの安全面から住宅用地の選び方について解説していきます。

それでは、最後までご覧頂きありがとうございました。

*タイトル写真
cocoparisienneによるPixabayからの画像