「延焼防止建築物」とは何か[改正建築基準法第61条関係]

令和元年6月の法施行により、新たに「建築確認申請書第四面」に登場した「延焼防止建築物」を解説します。

こんにちは!建築士のやまけんです^ ^

法改正に伴う確認申請図書の様式変更により新たに登場した「延焼防止建築物」並びに「準延焼防止建築物」ですが、突然のことで、なんやねんって思った方結構いるのではないでしょうか。

そのような方向けに「延焼防止建築物」について説明していきます。




結論

はじめに、用語の定義です。

○「延焼防止建築物」とは建築基準法施行令第136条の2第一号ロの基準に適合する建築物
○「準延焼防止建築物」とは建築基準法施行令第136条の2第二号ロの基準に適合する建築物

*ちなみに、確認申請書第4面に記載のある「その他」とは、上記の「延焼防止建築物」と「準延焼防止建築物」に該当しない建築物の場合に、”チェック”することになります。

ここでは施行令しか書いていないので、そもそもの法律についてみてみましょう!!
その法律は、建築基準法第61条になります。
でもって、ポイントは政令の部分となります。

(防火地域及び準防火地域内の建築物)
第61条 防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するためにこれらに必要とされる性能に関して防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、門又は塀で、高さ2m以下のもの又は準防火地域内にある建築物(木造建築物等を除く。)に附属するものについては、この限りでない。

旧法において、耐火建築物や準耐火建築物、外壁軒裏防火構造が規定されていた法第61条、62条、64条が新法第61条に統一されたことに留意する必要があります。
なお、屋根の構造方法を定めていた法第63条は法第62条に変更されています。

この統一により、これまで定められていた法文の内容が政令並びに告示において規定されることになっていますが、その中で、新たに「延焼防止建築物」と「準延焼防止建築物」が規定されています。

では、その政令(令第136条の2)を確認していきます。

旧法と新法の関係

階数 防火地域 準防火地域
100㎡以下 100㎡超 500㎡以下 500㎡超
1,500㎡以下
1,500㎡超
4階以上 現:耐火建築物
新:第一号イ・ロ
現:耐火建築物
新:第一号イ・ロ
3階建て 現:準耐火建築物
新:第二号イ・ロ
2階建て 現:準耐火建築物
新:第二号イ・ロ
(木造)
現:防火構造等
新:第三号イ・ロ
(非木造)
現:防火構造等
新:第四号イ・ロ
平屋建て

*平成30年改正建築基準法・同施行令等の解説(国土交通省住宅局建築指導課・市街地建築課)説明会テキストP33をもとに編集
*表の「新」に記載の号は、建築基準法施行令第136条の2

○第一号は、旧法において、「耐火建築物」とすることが求められていた規模
○第二号は、旧法において、「準耐火建築物」とすることが求められていた規模
○第三号は、旧法において、「外壁・軒裏の防火構造と延焼の恐れのある部分の外壁開口部に片面防火設備を設けた建築物」とすることが求められていた規模
○第四号は、旧法において、「延焼の恐れのある部分の外壁開口部に片面防火設備を設けた建築物」とすることが求められていた規模

なお、「イ」については、旧法において規定されてきた技術的基準となります。

今回説明する「延焼防止建築物」とは「ロ」の部分となり、「イの技術的基準による建築物と同等以上の延焼防止性能を確保するために必要な技術的基準」となります。

でもって、その技術的基準とは、新たに設けられた告示となります。

防火地域又は準防火地域内の建築物の部分及び防火設備の構造方法を定める件(令和元年6月21日)

この告示が「延焼防止建築物」と「準延焼防止建築物」を語る上では必須となります。

延焼防止建築物

あらためてお伝えすると「延焼防止建築物」とは建築基準法施行令第136条の2第一号ロに規定されています。
では、どのように規定されているか。次のようになっています。

[建築基準法施行令第136条の2第一号ロ]
当該建築物の主要構造部、防火設備及び消火設備の構造に応じて算出した延焼防止時間(建築物が通常の火災による周囲への延焼を防止することができる時間をいう。以下この条において同じ 。)が、当該建築物の主要構造部及び外壁開口部設備(以下このロ及び次号ロにおいて「主要構造部等」という。)がイに掲げる基準に適合すると仮定した場合における当該主要構造部等の構造に応じて算出した延焼防止時間以上であること。

大切なポイントとしては、延焼防止時間(建築物が通常の火災による周囲への延焼を防止することができる時間)となります。
今回の改正から登場した用語なので非常に大切です!!

つまりは、上記の基準に適合している建築物が延焼防止建築物となるんですが、ようわからんですよね。
少しわかりやすく表現してみると、

延焼防止時間tfs≧延焼防止時間tfs,0 が成立するものをいいます。

○延焼防止時間tfs・・・計画建築物の延焼防止時間
火災が発生した場合に、その火災によって周囲の建築物への延焼を抑制し続けることができる時間を意味するもので、実際に建築しようとしている計画の内容(主要構造部、防火設備、消化設備など)に応じた構造方法が用いられているものとした場合の延焼防止時間(計画計画物

○延焼防止時間tfs,0・・・想定建築物の延焼防止時間
計画建築物と同一の位置・用途・形状の建築物においてイ号(旧法において規定されてきた技術的基準)に適合する主要構造部や防火設備の構造方法が用いられているものと仮定した場合の延焼防止時間(想定建築物

国が行った説明会(平成30年改正建築基準法に関する説明会第2弾)の際の資料が分かりやすかったので掲載します。
資料では、想定建築物は耐火建築物となっていますが、計画建築物では、主要構造部が75分準耐火構造だったり60分準耐火構造にしています。


*出典:平成30年改正建築基準法に関する説明会(第2弾)国土交通省

補足

「延焼防止時間」については、あくまでも旧法で規定されてきた技術的技術を前提として、それと同等以上の延焼防止性能を有するための相対的な基準として規定しており、少し解釈が難しいんですが、”相対的な同等性を示す指標”でしかないことに留意する必要があるようです。
(実際に設計してみるとわかるのかもしれないですね・・・)

とはいえ、この手法を用いることで、従来、RCで耐火建築物としていたものについても、建築物の一部を木造の準耐火構造にするなど、主要構造部の部位ごとに材料を変えることも可能となるかもしれません。(私自身、現時点ではこういった建築物の設計は想定されてないので、今後、自社の建築物などにおいてやってみようかなとも考えているところです。その前に告示の読み解きをしなければならないという問題が・・・泣)

今回の記事が読者の皆さまの参考になれば幸いです。

それでは、最後までご覧いただきましてありがとうございました。