「建築物移動等円滑化基準」と「建築物移動等円滑化誘導基準」の違い(バリアフリー法)

タイトルの「建築物移動等円滑化基準」と「建築物移動等円滑化誘導基準」の違いですが、”誘導”という文言があるかどうかです。笑

それは分かるよ!ですよね。
ということで、今回は、バリアフリー法の抑えるべきポイントについて、建築基準法上の関係から解説していきます。

こんにちは!建築士のYAMAKEN(やまけん)です。

知りたいところだけ読んで頂いてもらってOKです。




法律を理解する上で重要なポイントは法第14条

バリアフリー法の正式名称は、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」です。

この法律に規定される法第14条が、バリアフリー法を抑えるべきポイントの重要な一つとなっています。

[特別特定建築物の建築主等の基準適合義務等(法第14条)]
建築主等は、特別特定建築物の政令で定める規模以上の建築(用途の変更をして特別特定建築物にすることを含む。以下この条において同じ。)をしようとするときは、当該特別特定建築物(以下この条において「新築特別特定建築物」という。)を、移動等円滑化のために必要な建築物特定施設の構造及び配置に関する政令で定める基準(以下「建築物移動等円滑化基準」という。)に適合させなければならない
2 (略)
3 (略)
4 前3項の規定は、建築基準法第6条第1項に規定する建築基準関係規定とみなす。
5 建築主等(第1項から第3項までの規定が適用される者を除く。は、その建築をしようとし、又は所有し、管理し、若しくは占有する特別特定建築物(同項の条例で定める特定建築物を含む。以下同じ。)を建築物移動等円滑化基準(同項の条例で付加した事項を含む。第17条第3項第一号を除き、以下同じ。)に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない
6 (略)

特別特定建築物*1を建築する場合には、「建築物移動等円滑化基準」への適合義務があります。
※1 床面積:2,000㎡(公衆便所は50㎡)、用途:病院、展示場、ホテル・旅館、店舗、飲食店など。なお、増築・改築・用途変更の場合は、当該増築等に係る部分の床面積

第4項の規定は、「建築物移動等円滑化基準」への適合義務について建築基準関係規定(建築確認申請の際に審査される)となりますよってことです。

この特別特定建築物の適合義務がある「建築物移動等円滑化基準」ですが、施行令(第11条から第23条)に規定されているもので、必ず適合させる必要があります。

ちなみに第5項は、適合義務がない建築物でも、「建築物移動等円滑化基準」に適合するよう努力してねと言う規定です。

建築物移動等円滑基準

建築物移動等円滑化基準は、施行令第11条から23条に規定されています。

建築物の構造及び配置の基準 法令
廊下等 施行令第11条
階段 施行令第12条
階段に代わる(併設する)傾斜路 施行令第13条
便所 施行令第14条
ホテル・旅館の客室
(令和元年9月1日施行)
▶️バリアフリー法の平成30年改正(ホテル又は旅館のバリアフリー客室設置数の基準の見直し)
施行令第15条
敷地内の通路 施行令第16条
駐車場 施行令第17条
移動等円滑化経路(利用居室から道や車椅子使用者用駐車施設等までの経路など) 施行令第18条
標識 施行令第19条
案内設備 施行令第20条
案内設備までの経路 施行令第21条

施行令第22条は、”増築等に関する適用範囲”、施行令第23条は、自治体の条例による特定建築物の追加に関する規定となっています。

では、次に「建築物移動等円滑化誘導基準」についてです。

建築物移動等円滑化誘導基準

「建築物移動等円滑化誘導基準」の適合義務があるのは、バリアフリー法第17条第1項の規定基づく、所管行政庁からの”認定”を受ける場合です。

認定を受けることで、認定特定建築物の延べ面積の10分の1を限度として、容積率の特例を受けることができるようになります。
詳しくは記載しませんが、認定を受けるには、この「建築物移動等円滑化誘導基準」の他、資金計画(特定建築物の建築の事業を確実に遂行するために適切かどうか)も審査されます。

ちなみに、認定を受けることができる特定建築物とは、施行令第4条に規定されており、特別特定建築物と大きく異なる用途としては、共同住宅や事務所、工場が含まれます。

なお、所管行政庁とは、建築主事を置く市町村長、又は都道府県知事等のことであり、具合的には、バリアフリー法第2条第20号に規定されているので、詳しく知りたい方は、Google検索でお調べください。
まぁ、だいたいの役所は、バリアフリー法の認定窓口をホームページで公表していると思います。(公表していない自治体があれば、市民サービスを行う意思がないと判断されますよね・・・笑)

では、話は戻り、その誘導基準ですが、省令(平成18年国土交通省令第114号)にて定められています。

建築物の構造及び配置の基準 省令
出入口 第2条
廊下等 第3条
階段 第4条
傾斜路又はエレベーターその他の昇降機の設置 第5条
階段に代わり、又はこれに併設する傾斜路 第6条
エレベーター 第7条
特殊な構造又は使用形態のエレベーターその他の昇降機 第8条
便所 第9条
ホテル又は旅館の客室 第10条
敷地内通路 第11条
駐車場 第12条
浴室等 第13条
標識 第14条
案内設備 第15条
案内設備までの経路 第16条

省令第17条は、”増築等又は修繕等に関する適用範囲”が規定されています。

ご覧のように誘導基準の方が、規定されている項目も多いです。
又、誘導基準の方が制限が厳しいです。(認定を受けるので当然ですが・・・)

最後に、最近改正されたホテル又は旅館の客室設置数の考え方の違いみてみます。

ホテル・旅館における車椅子使用者用客室設置数の違い

項目 建築物移動等円滑化基準 建築物移動等円滑化誘導基準
車椅子使用者用客室 ☑️客室総数≧50
客室総数*1/100以上(1未満は切上げ)(例:客室総数200)
200室*1/100=2以上
☑️客室総数≦200・・・A
客室総数*1/50以上

☑️客室総数>200・・・B
客室総数*1/100+2以上

(例A:客室総数200)
200室*1/50=4以上
(例B:客室総数250)
250室*1/100+2=4.5≒5以上

補足

バリアフリーの設計標準については、国土交通省が公表している資料をご覧になるのが一番わかりやすいと思いますので、参考までにリンクを貼っておきます。

▶️建築物におけるバリアフリーについて

それでは、ご覧いただきありがとうございました。
みなさまの参考になれば幸いです。