・建築確認済証交付後だけど間取りを変更したい
・完了検査は終わっているけど入居前に間取りを変更したい
一戸建て住宅の建築をされている方で上記のお悩みを解決する記事です。
以前、行政職員として建築確認審査を担当していました建築士のYAMAKEN(やまけん)です。
この記事を読むことで、建築確認済証の交付を受けた後に変更がどの程度まで可能なのか一定の指標を確認することができます。個々の建築事情により異なりますので、法律上の考え方を身につけると思ってご覧ください。
法律上、完了検査前であれば変更はいつでも可能
建築基準法の法制度上、変更しようとする行為に着手する前であれば、変更は可能です。
なお、完了検査後は変更ではなく、改めて建築確認申請としての提出が必要となります。
また、法律上は、「軽微な変更」といって改めて確認申請を行う必要がないケースもあります。
軽微に変更については、専門的な知識となってしまいますので詳細は省きますが、建築基準法施行規則といって、国土交通省で定めた省令に「計画変更確認申請」が不要となるケースが定められています(省令第3条の2)
・高さや階数の減少
・建築面積や床面積の減少 ・・・etc
上記のような場合には、計画変更確認申請が不要となります。
詳しくはこちらの省令を読んでみてください。
一戸建て住宅で想定されそうなケースのみ記載しています。
(基本的な考え方としては、変更後も明らかに建築基準関係規定に適合していることが分かるようなケースが軽微な変更に該当します)
[施行規則第3条の2(抜粋)]*全体のほんの一部掲載なので注意くださいませ。
✔︎ 敷地面積が増加する場合の敷地面積及び敷地境界線の変更(当該敷地境界線の変更により変更前の敷地の一部が除かれる場合を除く。)
✔︎ 建築物の高さが減少する場合における建築物の高さの変更(建築物の高さの最低限度が定められている区域内の建築物に係るものを除く。)
✔︎ 建築物の階数が減少する場合における建築物の階数の変更
✔︎ 建築面積が減少する場合における建築面積の変更(都市計画区域内、準都市計画区域内及び法第68条の9第1項の規定に基づく条例により日影による中高層の建築物の高さの制限が定められた区域内において当該建築物の外壁が隣地境界線又は同一の敷地内の他の建築物若しくは当該建築物の他の部分から後退しない場合及び建築物の建築面積の最低限度が定められている区域内の建築物に係るものを除く。)
✔︎ 床面積の合計が減少する場合における床面積の変更(都市計画区域内、準都市計画区域内及び法第68条の9第1項の規定に基づく条例の適用を受ける区域内の建築物に係るものにあつては次のイ又はロに掲げるものを除く。)
イ 当該変更により建築物の延べ面積が増加するもの
ロ 建築物の容積率の最低限度が定められている区域内の建築物に係るもの
これはあくまでも建築基準法上の話であって、現実的には、工事(材料発注を含む)がどの程度進んでいるかによります。
基本的には、既に材料発注が完了している部分の変更については、材料発注や詳細設計、人の手配などでキャンセル不可能、若しくはキャンセル料が発生する場合があるため、一生分のローンを組まれて購入する住宅では、コスト面で変更対応困難である場合が多いです。
また、工事が完了しているケースでは、一部解体が必要となる場合もあり、簡単には変更することは不可能です。
とはいえ、絶対に変更できないケースはありません(コストをかければ可能です)
なお、注意点としては、ハウスメーカーの工場出荷製品(住宅)のケースです。
基本的に型が決まっている分、工場・倉庫にストックがあるケースで、軽微なものであれば変更対応も可能です。
そうではない場合には、例えば基礎部分から変更しなければならないケースなど変更対応は非常に困難となることも考えられます。そのためには、十分に担当建築士と打ち合わせを行い、納得した上で確認申請を提出するようにしましょう。
本記事のまとめ
・法律上、完了検査前であれば、変更はいつでも対応可能。
・「軽微な変更」に該当する変更であれば計画変更確認申請は不要。
*完了検査時に軽微な変更に係る書類を建築士が建築主事(民間確認機関)に提出
・現実的に変更対応ができるかどうかは、個々の工事状況によって異なる。
なお、建築物自体には直接関係ありませんが、住宅に附属する倉庫やカーポートを増築するケースがありますが、住宅本体の建築物の検査が完了する前は計画変更確認申請が、完了検査後であれば通常の確認申請が必要となります。
ちなみ、倉庫やカーポートを含む外構工事は施主発注とするケースがありますが、一体的な工事監理を考慮すると、当初から建築士に依頼し、設計してもらっていた方が後からの事務手続きが少なくて済みます。
今回の記事は以上です。
皆様の参考なれば幸いです。