この記事では、2025年4月1日から施行が予定されている木造の新構造基準について解説を行っています。
この改正により木造構造(在来軸組)は2025年4月基準が最新基準となる予定です。
記事を読む際の注意点
この記事の情報は、現時点で国土交通省が公表している内容のうち案として公表されているものを整理した抜粋版です。法の施行に必要な施行令の公布が未了のため今後変更となる可能性があります。
>>>国土交通省が公表している2025年4月の改正情報はこちらのリンクをクリックしてください。
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はじめに・改正法について
2025年4月施行分については、令和4年に公布された建築基準法等の改正法(建築物省エネ法等を改正する法律)によるものでです。
2023年から3年にわたって段階的に施行が行われており、最終3年目(2025年施行分)が大改正の部分の施行を予定しています。
この記事では木造構造の壁量規定・柱の小径の見直しについて書いていますが、この他にも木造構造計算が必要となる規模の引き上げや4号特例縮小(廃止)、省エネ基準への適合義務化などが予定されており、平成12、平成19年以来の大改正と言っていいくらいです、
令和4年改正法の全体像を把握したい方はこちらの記事をご覧ください。簡単にまとめていますので、きっと役に立つはずです。
令和4年改正法の全体像
2025年4月施行予定の木造構造の基準とは?
2025年4月基準では木造(軸組工法・枠組み壁工法)の構造に関する重要な部分(耐力壁の量と柱の小径)について改正が行われます。
背景としては建築物の省エネ化に伴い従来の建物よりも重量増となっていることから大地震時や大雪時の地震(多雪区域)に耐えられない可能性が指摘されていたためです。
太陽光設備や高断熱など、従来よりも建物重量が増していることから地震時に耐える構造とするために壁量等の算定方法が見直されます。
壁量規定・柱の小径規定が強化(精緻化)
なお、この壁量規定の見直しですが、従来の予定(2023年初め)では、建築基準法施行令第46条の表にZEH水準の建築物の区分が追加されるようなアナウンスでした(以下の関連記事を参照)。
当ブログでまとめた壁量変更に関する当初案
ところが昨年の12月に公表された最新の情報(事前周知をかねた審査・申請マニュアル)では、次のように改められています。
当初の考え方とは異なります!!
なお、当初予定していて積雪荷重を考慮する案は無くなっていました。
理由を読むと、国では実態等を踏まえて今回の改正では多雪区域の積雪荷重の考慮は行わないとしています。
このため、設計において積雪荷重を考慮する場合には耐震等級2または3を取得するか、住宅性能評価に準じて設計上考慮しておく必要があります。
なお、建築基準が改正されることに伴い住宅性能表示の耐震等級2は新耐震等級2、耐震等級3は新耐震等級3となる予定(2025年4月予定)です。
※これにより既存不適格となる住宅が生じると考えられます。
また、現在、長期優良住宅の認定基準では令和4年10月から壁量計算による住宅については耐震等級3が要件となっていますが、2025年4月からは新耐震等級2等が要件となります。
ここから具体的な基準について、計算例を踏まえながらどのように基準が強化されるのか確認していきます。
※荷重の実態に応じた計算。ただし、簡略化のため早見表、表計算ツールを整備予定
※積雪荷重は考慮しない。
※住宅性能評価(耐震等級2・3)の計算方法に同じ
※現状5倍が最大。当面は7倍が最大となる予定。
※荷重の実態に応じた計算。早見表、表計算ツールを整備予定
※積雪荷重は考慮しない。