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【No.6 壁量計算の改正の概要】木造ZEH/ZEB等は必要壁量が改正(改正案の概要を解説)

この記事では、2022年(令和4年)建築基準法・建築物省エネ法等の改正に伴う法第20条(構造耐力)改正の重要な項目の一つです。

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壁量計算の改正の概要

壁量計算の改正として、ポイントは2つです。

  1. 個々の建築物の荷重の実態に応じてより精緻(せいち)に検証する方法
    *新しい必要壁量計算方法(Ai・Co・Z・Rt・Σwi)/(Qo ・Afi)追加
  2. 簡易に必要な壁量を確認する方法(*従来の計算方法)
    *ZEH水準等の建築物の数値(㎝/㎡)が追加

❶は、今回の改正案により新たに追加された内容となり、詳細な計算方法を用いて、必要壁量を算出する方法です。実際の建物荷重を推定して算出する計算方法で、より設計する建築物の実態荷重に近い形になるものと思われます。

なお、計算方法が簡易となるよう、試算例(早見表)を活用できるようにするようです。

❷は、従来の計算方法で、「軽い屋根」、「重い屋根」に加えて「ZEH水準等の建築物」が追加される形です。ですので、単純に従来の基準値よりも「階の床面積に乗ずる数値 (㎝/㎡)」が最も高く設定されています。

構造計算(昭和62年建設省告示第1899号)によって壁量計算をパスする設計者もいると思いますが、多くの木造設計者がこの従来の計算方法(❷)を使って設計するのが一般的かなと思います。

4号特例が廃止され3号となり、3号特例は1階以下かつ200㎡以下のみが対象となりますから、これ以外の2階建ての木造住宅などは、壁量計算関係書類を建築確認申請図書に添付して、審査されることとなります。もちろん壁量計算・バランスチェックに不安があるという方は書籍等を購入して再確認しておくのが良いのかなと思います。

誰もが知っている日本建築センターによる木造設計の講習会でも使用されている「ひとりで学べるシリーズ(外部リンク)」のリンクを貼っておきます。*Amazonは参考です。(一社)日本建築センターのページから購入する方が安いです。

また、壁量計算と同時に改正される「柱の小径」の概要は、こちらの記事にまとめてありますので、あわせてご覧ください。

❶追加される詳細な計算方法とは?

必要壁量は、層せん断力分布係数*0.2*1.0*1.0*Σwi(固定+積載+積雪)÷0.0196*階の床面積で計算されることとなります。詳細は、国交省のホームページに掲載されているので、気になる方はご覧になってみてください。

*出典:国土交通省HP(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000166.html)

なお、国交省によると、従来は存在壁量として含めることができなかった雑壁(垂れ壁、腰壁など)を準耐力壁として算入することができるようになるほか、一定の高い耐力を有する壁の壁倍率上限を引き上げるようですね。

また、国交省作成の資料では、「運用上は、特定の仕様等の組合せを確認することで、必要な壁量の基準が簡易に把握できる試算例(早見表)を活用できることとする」と記載されているので、比較的、簡単に計算できるようになるみたいですね。

❷従来の壁量に追加される計算方法とは?

こちらは従来からある基準です。この基準に新たに「ZEH水準等の建築物」が追加されるようです。数値としては、従来の約2倍程度となります。

*出典:国土交通省HP(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000166.html)

枠組壁工法については、次の基準となるようです。

*出典:国土交通省HP(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000166.html)

❸その他の設計上留意事項

*出典:国土交通省HP(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000166.html)

設計上配慮することが望ましいとする規定です。
*上図の右側に記載の「+」という部分です。

施行令または告示に配慮することが望ましいという文言を入れるのか…、それとも技術的助言に記載するのかは不明です。

床組・接合部・横架材・基礎に関して住宅性能表示制度の評価方法基準における告示(平成13年国土交通省告示第1347号)第5の一部を適用してね。というものです。

施行予定日

建築基準法施行令は、令和5年秋(2023年秋)に公布(検討会で審議→パブコメ→閣議決定→施行令公布)され、令和7年4月(2025年4月)施行となります。

公布から施行まで1年半近くの周期期間が用意されるので、その期間中に説明会や講習会が実施されると想定されます。その期間中に講習会等を受講するのが良いかもしれないですね。

なぜ、今のタイミングで案が公表?(注意点)

*出典:国土交通省HP(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000166.html)

なんで、このタイミングで公表??と、めちゃ早くない?と疑問に思った方いるんじゃないでしょうか。実は、今回の令和4年改正法、省エネ基準の一部は10月1日から新たなルールで運用されています。

省エネ誘導基準(認定)、低炭素建築物認定、長期優良住宅認定については、住宅性能評価でいう、いわゆる省エネルギー性は「断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6」、耐震性は「耐震等級(倒壊等防止)等級3」に改められています。

省エネ性能は、従来の「省エネ基準を超える水準+低炭素化に資する措置」から、「ZEH・ZEB水準+再生可能エネルギーの導入+低炭素化に資する措置」に変更されています。ですので、住宅であれば従来は省エネ誘導基準は、マイナス10%だったのが、マイナス20%となります。

ここで注意して欲しいのが、あくまでも「省エネ誘導基準・低炭素認定・長期認定」であり、義務化される省エネ適合建築物の基準ではないという点です。全ての建築物は2025年4月から省エネ基準に適合しなければなりませんが、それはあくまでも省エネ基準であって、今回このブログで説明しているのは、省エネ誘導基準(ZEH水準等)関連となります。

話を戻しますと、「断熱等性能等級5」は、東京であれば外皮平均熱貫流率(UA値) 0.6以下となります。

また、「基準一次エネルギー消費量に対する設計一次エネルギー消費量の割合」である一次エネルギー消費量等級6は0.8(省エネ基準マイナス20%)となります。これらが、ZEH/ZEB水準ということになります。

補足

すでに長期優良住宅等では新たな認定基準で進んでいますが、国交省の質疑応答集にも書かれているように、新認定基準の住宅が、必ずしも今回の改正案(壁量+柱の小径)に適合するとは言えないとしています。

*出典:国土交通省HP(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000163.html)

認定自体は、2022年10月ルールに適合していればOKですが、令和7年4月以降は新基準で認定を受けるようになりますので、もしかしたら現行ルールで建築された建築物は「既存不適格」となる可能性があるため、今回のタイミングで新ルール案を公表して、不適格を減らそうとしているのではと考えられます。

お客さんに対して説明した方がよさげな内容かなと思うところです。

まとめ・ZEH水準等の建築物

ということでまとめです。

壁量計算については、「荷重の実態に応じて算定した必要壁量」を計算する方法と「必要壁量表(ZEH水準等の数値)」から確認する方法に変更されます。(*従来のルート1計算で壁量計算パスも可)加えて、設計上の留意事項として、床倍率、接合部、横架材、基礎などは住宅性能表示制度の基準を求められるようになります。

あくまでもZEH/ZEB(住宅+非住宅の省エネ基準−20%)の建築物(省エネ誘導基準・低炭素建築物認定・長期優良住宅認定など)が対象となり、2025年4月から施行予定の省エネ適合義務建築物の基準ではないことに注意が必要です。

つまり、ZEH水準等の木造建築物(戸建て・長屋、共同住宅、非住宅)としないのであれば、新壁量基準を適合させる必要はないと今の時点では言えますが、施行令が判明していない、つまり、ZEH水準等の定義が不明なため、どのような建物が対象となのか明確に言えないです。

*ZEH水準等の木造建築物。出典:国土交通省HP(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000166.html)

(妄想)
技術的助言が発出され、ZEH水準等の建築物以外でも太陽光パネルの設置等により荷重増の建築物については、新基準により設計することが望ましいことから適切に指導することが考えられる的な文書が入るかもですね・・・(省エネ適合判定の数値で判断するのかまだ不明な部分が多いです)
*個人的には、施行令で義務化される壁量や柱小径も大事ですが、その他の設計上の留意事項とされる接合部等も大事だと思っています。

それでは以上となります。こちらの記事が参考となりましたら幸いです。

「柱の小径」に関してはこちらの記事をご覧ください。