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「リノベーション」による”まちづくり”で「市街地再開発事業」は不要になる?

 

「リノベーション」と「市街地再開発事業」の関係について考えるキッカケになればと思い書いている記事です
*現在のまちづくりを考える上で、両者はとても重要な手法となっていますので、このサイトをご覧になっている方は一度は聞いたことがあるはずです。

 

市町村でまちづくりを担当する方だけではなく、商工会議所や青年会議所をはじめとする「まちづくり団体」に所属されている方もご覧頂ける内容となっています。

建築や都市計画に携わっているYAMAKEN(やまけん)です。

現在まちづくりに関わる仕事をしています。
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「リノベーション」でまちづくりを行えば、「市街地再開発」は不要?

『リノベーション』の強みはイニシャルコスト(初期費用)を抑えることができる。

空き家や空き店舗を解消して、市街地の空洞化を抑制し、周辺地価の維持若しくは上昇に貢献できます。
(新たに建築物を建築するわけではないため、空き店舗や空き家を改修するリノベーションは相対的にイニシャルを抑えることが可能です)

一方で、『市街地再開発』は、密集市街地を解消して、道路や空地等の公共施設を設けながら、土地の高度利用を図ることで、火災等の災害に強い街区を整備しつつ、良好な都市空間を構築することができます。

市街地再開発のポイントは、民間事業者がやりたがらない公共施設の導入が可能なところです。
(公共施設は集客装置としての機能を有していると考え方も重要)

特に、木造住宅が密集し街区内の狭隘(狭く入り組んだ)道路等を解消するための手法として効果を発揮します。

ですので、市街地再開発事業を批判する方に言います。

・「リノベーション」で、大きな街区単位のリニューアルは可能ですか?

いやいや無理だし、そもそも両方の担うべき役割が異なるので、両者の関係は都市づくりに必要不可欠なものであることに違いはありません。

ただし、市街地再開発については、行政から補助金が交付される仕組みとなっているため、税金を使うという点から批判の的になっているだけです。

民間事業として補助金を活用せずに市街地再開発が可能であれば、それにこしたことはないですよね。

『市街地再開発事業』でも、オガールプロジェクトのようにテナントを先付けすれば、失敗はしません。

ただし、本当の成功は分からないですよ。

また、個店の魅力の度合いによって周辺経済に波及する効果は異なりますね。
世間的(一般的)には、稼げば成功と考えるのが妥当です。

テナントを先付けすることができれば、運営・メンテナンスを考慮しながら事業計画を作成すればいいだけですが、公金が入る市街地再開発事業のほとんどがそうなっていない(できていない・できないもあると思います)から成功しない例だけ取り出されているだけのように感じます。

では、次項から「リノベーション」の強みを掘り下げていきます。

空き店舗の発生

はじめに、リノベーションとはコンテンツの変更です。

家を修復することがリノベーションではありません。それはリフォームです。

ある程度想像つくかもしれませんが、以下にまとめます。

・駅から離れた場所ほど発生しやすく、上階であるほど発生しやすい
・面積が200㎡以下に集中しており、その中でも60〜80㎡の範囲にもっとも多い。
・路線価が高く、面積が広いところにも発生しやすい。
*出典「リノベーション事業を通じて遊休不動産の利活用による都心再生モデルに関する研究(概要) 研究責任者 北九州市立大学都市政策研究所・地域創生学類 准教授 片岡寛之 他」

 

上記に加えて、市街地で床が過剰供給されていれば、床余りが生じて空き店舗が発生します。

床が余れば相対的に空きテナントが発生することになりますから当然です。
とはいえ、物件に魅力があるかどうかも重要なポイントですが、ここでは論じません。

ちょっと、補足 リノベーションスクールは知ってますか?

実際の遊休不動産に関するリノベーションに事業企画を立案して所有者に提案し、実際に事業化すること

不動産所有者がいて、その方が店舗経営を辞めてそのまま放置し、誰にも貸す意思がない場合、空き店舗のままとなってしまいます。これが中心市街地でランダムに発生するとシャッター街になります。

しかしながら、不動産所有者が納得のいく(夢を描ける)事業計画を聞けば心が変わるかもしれないですし、不動産所有者と賃貸人を結びつける手法として、リノベーションスクールは有効に機能しているようです。

実際に、テナント経営などをされている方が教えているようですから、賃貸人にとっては少しでもリスクを減らすことが可能です。

気になる方はホームページをみてみましょう。

結局どういうこと

「リノベーション」や「市街地再開発」ともに、まちづくりを担うプレイヤーが必須であることは共通しており、特に「リノベーション」ではプレイヤーの存在なくして、成功(周辺エリアの価値向上)はありえません。

しかも、そのプレイヤーは価値を上げる取り組みを率先して実行していくことが求められます。

「市街地再開発」では、プレイヤーは、まちを経営(エリアマネジメント)する視点をもつことが重要です。

何故なら、市街地再開発事業の場合、一般的に集客範囲が広域に及ぶため、リノベーションと異なり、街のエリアの魅力を高める範囲が広域に及ぶからです。

私が伝えたいのは・・・

「市街地再開発事業は”失敗する”」
「税金ばかり投入して、何も解決していない。」
「絶対に成功はしない

不満やネガティブなイメージを持つのも言うのも簡単です。

ですが、まずは自分でやってみよう!!

話はそれからです。

(市街地再開発では、自分個人では無理と考えるかもしれませんが、一つのテナントとして借りてみるのもありじゃないかと思います。もちろんリスクは伴いますが、あなたの行動次第で、まちは大きく変わる可能性がある。)

私個人的には、行政職員で「商業者が悪い!」といった視点に立った方や「民間事業に肩入れすることはできない!」と豪語する人が大っ嫌いです。笑

また、「行政は何もしてくれない」と平気で発言する商業者も大っ嫌いです。笑

この両者が理解し合えることは絶対にないし、無理です。いやしなくて良い。
どちらかが変わらないと新たな価値を生み出すのは絶対に絶対に無理です。

はい。批判的なことを言ってすみません。

しかし、これが現実です。

また、まちづくりのほとんどは、「こういうのに取り組んでみるといいよね!」という議論で終わり、言い方悪いけど、話し合う自分達が好きな場合(自分達はやっている感を出して、行政に要望ばかりする)は多いのではないでしょうか。
それは、リスクを恐れているということでもありますね。

結局、誰もやらない(行動しない)で終わっているはず。
※ちなみに、行政に対しては要望するのではなくて、連携することが大切です。

地域のまちづくり団体もイベント団体となっているのが実情だと思います。
当然、自身の仕事以外に労力を注ぐため、とても大変です。

並大抵の考えではうまくいきません。
なので、注いだ労力は結果的に自分への利益として還元される仕組みとなっている必要があると思われます。
(ボランティアでまちづくりはあり得ませんね)

本当に「行動」している人は、既に動いています。

「行動」している人は、誰にも相談せず自分の力で動いています。

口だけ出されて、やったこともないのに批判されて、誰がそのまちづくり団体に入りたいと思います?

一方でまちづくり団体にも良い面はあり、まちづくり団体に入っておけば、後ろ指をさされなくて済みます。笑

既存ストック活用(リノベーション)と市街地再開発事業のまとめ

*個人考察を含みます

✔︎リノベーション自体は、建築基準法でいう用途変更と結果的には変わらない

✔︎リノベーションの実施には、不動産オーナーの理解が必須であるとともに、不動産オーナーと賃貸人の橋渡しを行う不動産業者(コーディネーター)が重要である。

✔︎リノベーションでも個店の魅力が必須であることには変わりない。

✔︎そのため、リノベーションを行った施設周辺の使われていない公園や広場などの公共空間をパブリックとなる集客装置としての機能を持たせることで、公共空間を中心にその周辺のリノベーションが促進され、段階的・連鎖的に街が変わっていく流れが理想である。

✔︎ただし、リノベーションの弱点は、木造が密集している市街地や狭隘な道路のみしかない場合、市街地の環境改善には大きく効果を発揮しない

✔︎そもそも両者では、担うべき役割が異なるため、市街地の環境改善には、必要に応じて、公共施設の整備を図るような「市街地再開発事業」や「小規模区画整理」などの導入を図ることが重要となる。

✔︎ですので、都市づくり(まちづくり)には、『リノベーション』と『市街地再開発事業』とを上手く使い分けることが重要となりますから、市街地再開発事業等の公共施設を導入しながら出来ることがあるわけで、税金投入=悪 の構図にはならないということです。

✔︎リノベーションのみでは、都市が抱える諸課題(例えば市街地内の狭隘な道路や木造密集の解消など)を解決できるわけではないということです。

 

 






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ABOUT US
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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など