耐火構造・耐火建築物とは?

この記事について
・耐火建築物って何?
・耐火構造と耐火建築物の違いが分からない。

こうした疑問に答えつつ、『耐火建築物』について解説します。

こんにちは!建築士のやまけんです。^ ^

この記事を読むことで耐火建築物とは何か、構造等を理解する事ができるようになっています。
ポイントごとにまとめているので、部分的に読み飛ばしてOKです。

それでは早速解説しますね。




耐火構造とは?

耐火建築物を理解する前に、耐火構造を知りましょう!

耐火構造とは、RC造(鉄筋コンクリート造)をイメージをしてもらうと分かりやすいです。
いかにも火に対して強そうではないですか?

それが耐火構造です。

これで記事が終わってしまうので、耐火構造を細かくみていきます。

[建築基準法第2条第7号(耐火構造)]
壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能(通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。

ポイントは、耐火性能の部分となります。

耐火性能とは、『通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能』をいいます。

どういうことかというと、自ら炎を出す火災においても一定時間、倒壊しない。なおかつ隣接する建築物に延焼を防止する措置が設けられている性能をいいます。

 

  1. 非損傷性:変形や溶融、破壊等が生じない性能→倒壊しない
  2. 遮熱性:外の火災に耐える性能(壁・床)
  3. 遮炎性:自らの火災の場合に外に火炎を出さない性能(外壁・屋根)

その上で、政令で定める技術的基準に適合する必要があります。

政令で定める技術的基準とは

政令で定める技術的基準とは建築基準法施行令第107条に規定されていて、1号から3号で具体的な性能が示されています。

1号は、構造耐力上支障のある変形等の損傷に耐えうる時間が規定されており、『1時間耐火』、『2時間耐火』、『3時間耐火』と呼ばれるのはこの所以です。

部位

・最上階
・最上階から数えた階数が2以上で4以内の階

・最上階
・最上階から数えた階数が5以上で14以内の階
・最上階
・最上階から数えた階数が15以上の階
基準等
間仕切壁(耐力壁)
1時間
2時間
2時間
構造耐力上支障のある変形・溶融・破壊その他の損傷を生じないこと。
外壁(耐力壁)
1時間
2時間
2時間
1時間
2時間
3時間
1時間
2時間
2時間
1時間
2時間
3時間
屋根
30分間
階段
30分間

2号:壁・床については、通常の火災による火熱が1時間(非耐力壁である外壁の延焼の恐れがある部分以外の部分については30分)加えられた場合に、加熱面以外の面の温度が可燃物燃焼温度以上にならないことと規定されています。

*可燃物延焼温度以上とは、最も高い部分の温度が200℃又は平均温度が160℃

3号:外壁・屋根については、屋内において発生する通常の火災による火熱が1時間(非耐力壁である外壁の延焼の恐れのある部分以外の部分・屋根については30分)加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないことが規定されています。

では、次に国土交通大臣が定めた構造方法についてです。

国土交通大臣が定めた構造方法とは

この構造方法は、告示(平成12年5月30日建設省告示第1399号)に規定されており、第1に壁、第2に柱、第3に床、第4に梁、第5に屋根、第6に階段となっています。

詳しくは告示を見てもらうのが一番分かりやすいですが、もっとも使用するRC造について超簡単に解説します。

鉄筋コンクリート(RC)耐火構造

部位 告示 時間 鉄筋コンクリート(RC)造における厚さ
第1 1号(間仕切壁:耐力壁) 2時間 10㎝以上
2号(間仕切壁:耐力壁) 1時間 7㎝以上
第2 1号 3時間 小径40㎝以上
2号 2時間 小径25㎝以上
3号 1時間
第3 1号 2時間 10㎝以上
2号 1時間 7㎝以上
第4 1〜3号 1〜3時間
屋根 第5 1号 30分間
階段 第6 1号 30分間

出典:H12建設省告示1399について鉄筋コンクリート造(RC)についてのみ抜粋したもの。

今回は、参考までに近年規定された木造耐火構造についても抜粋して記載します。

木造(W)耐火構造

部位 告示 時間 木(W)造における構造方法(下地が木の場合)
第1 2号(間仕切壁:耐力壁) 1時間 ・強化せっこうボードを2枚以上かつ厚さは42㎜以上
・強化せっこうボードを2枚以上かつ暑さは36㎜以上+厚さ8㎜以上の繊維強化セメント板
・厚さ15㎜以上の強化せっこうボード+厚さ50㎜以上の軽量気泡コンクリートパネル
第2 3号 1時間 ・強化せっこうボードを2枚以上かつ厚さは46㎜以上
第3 2号 1時間 ・表側:強化せっこうボードを2枚以上かつ厚さは42㎜以上、裏側:強化せっこうボードを2枚以上かつ厚さは46㎜以上
第4 3号 1時間 ・強化せっこうボードを2枚以上かつ厚さは46㎜以上
屋根 第5 1号 30分間 ・屋内側:強化せっこうボードを2枚以上かつ厚さは27㎜以上
階段 第6 1号 30分間 ・表側及び裏側:強化せっこうボードを2枚以上かつ厚さは27㎜以上

出典:H12建設省告示1399について木造(W)についてのみ抜粋したもの。

上記の告示によると、国土交通大臣の認定を受けたものでもOKです。

耐火構造のまとめ

耐火構造とは、建築基準法施行令第2条第7号に規定されるもので、耐火性能(非損傷性、遮熱性、遮炎性)を有する構造で国土交通大臣が定める構造方法(告示仕様)か大臣認定を受けたものをいいます。

耐火構造の構造方法については、構造別・部位別により細かく規定されていますので、設計する建築物にあわせて、告示を読み込むようにしましょう。

ちなみに、耐火構造については近年の改正により木造も可能となっています。
詳しくはこちらの書籍がおすすめです。

耐火木造[計画・設計・施工]マニュアル 平成30年3月改正 耐火構造告示 完全対応版

補足:『耐火構造』という用語で関係する法令は法第35条の3と防火避難規定(施行令第112条の防火区画など)ですね。ちなみに法第35条の3の規定については、無窓居室(一定規模の開口部を有しない居室)を有する建築物は、主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)を耐火構造又は不燃材料で造らないといけません。

それでは次に耐火建築物についての解説です。

耐火建築物とは

耐火建築物とは、耐火構造に次の性能を有するものが『耐火建築物』となります。

性能とは、外壁の開口部で延焼の恐れのある部分に遮炎性能を有する防火設備を設置するものです。

法令では次のように規定されています。

[建築基準法第2条9の2第ロ]
その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備を有すること。
防火設備:遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合し、かつ国土交通大臣が定めた構造方法又は認定品
遮炎性能:通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能

防火設備とは、一般的には編み入りガラスと呼ばれるものですね。

政令で定める防火設備とは、施行令第109条に規定されており、防火設備・防火戸・ドレンチャー等と規定されています。

防火設備の性能に関する技術的な基準ですが、施行令第109条の2に規定されており、加熱開始後20分間は加熱面以外の面に火炎を出さないものである事が求められます。

その上で国土交通大臣が定める構造方法又は認定品とする必要があり、構造方法については、告示(平成12年5月24日建設省告示第1360号)に規定されています。

一般的には国土交通大臣認定品を使用する事が多いですが、告示の存在も忘れてはいけません。

耐火建築物のまとめ

まとめると、耐火構造+外壁開口部に防火設備(延焼の恐れがある部分)とすれば耐火建築物となります。

補足:耐火建築物については、近年、耐火性能検証法が規定された事により、耐火構造ではなくても耐火建築物とする事ができるようになりました。詳しくは、施行令第108条の3に規定されています。
マニアック過ぎる規定なのでこの記事では説明を省略します。

本記事のまとめ

今回の記事については、耐火構造の基本的な解説と耐火建築物との違い。

又、耐火建築物とは何かについて解説しました。

ご覧いただいた皆様の参考になれば幸いです。

Photo by Bernard Hermant on Unsplash