今こそ、中心市街地を遷都する時代か。

はじめにこちらの図面を見てください。

これは、令和元年台風第19号による被害を受けた自治体の一つである福島県郡山市の浸水区域図です。
*容量が大きいので圧縮している関係上、画質が荒くなっています。詳細を知りたい方はこちらの郡山市公式ホームページをご覧ください。


※出典:郡山市ホームページ

この浸水区域のうち、立地適正化計画で定める居住誘導区域の一部と重なっているところがあります。
(郡山駅周辺ですと、駅北側は浸水区域と誘導区域が重複しています。)
※区域全体の図面は郡山市のホームページをご覧ください。


※出典:居住誘導区域及び都市機能誘導区域図(郡山駅周辺)

立地適正化計画で定める居住を誘導する区域である『居住誘導区域』のうち一部の区域が浸水区域(浸水想定区域)だとしたら自分だったら『居住誘導区域』をどう考えますか?

・指定しないで欲しいと思うか。
・または指定して欲しいと思うか。

その場合、

・自分が土地の所有者だったらどう考えるか。
・所有者でなければどう考えるか。

これは自分が置かれている立場によって考え方は変わります。

『居住誘導区域』に浸水被害の恐れがある区域を含めるかどうかの正解はないというのが現時点で出せる見解だと思います。

そもそも、居住誘導区域については、災害危険区域のように法令により居住を強制的に規制することが可能です。

さらに、河川洪水などの被害が発生する恐れがある区域は原則として含めないとすべきというのが国の考え(※都市計画運用指針)があるものの、一方で、従来の都市が河川流域沿いに発展してきた経緯もあるため、経済上の理由で現時点で誘導区域から除くという判断は難しいという見解もあります。

[都市計画運用指針(抜粋)]
次に掲げる区域については、それぞれの区域の災害リスク警戒避難体制の整備状況災害を防止し、又は軽減するための施設の整備状況や整備見込み等を総合的に勘案し、 居住を誘導することが適当ではないと判断される場合は、原則として、居住誘導区域に含まないこととすべきである。
ア 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第7条第1項に規定する土砂災害警戒区域
イ 津波防災地域づくりに関する法律第53条第1項に規定する津波災害警戒区域
ウ 水防法(昭和24年法律第193号)第15条第1項4号に規定する浸水想定区域
エ 特定都市河川浸水被害対策法(平成15年法律第77号)第32条第1項に規定する都市洪水想定区域及び同条第2項に規定する都市浸水想定区域
オ 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第4条第1項に規定する基礎調査、津波防災地域づくりに関する法律第8条第1項に規定する津波浸水想定における浸水の区域及びその他の調査結果等により判明した災害の発生のおそれのある区域

河川洪水は今に始まったことではなく、過去を遡れば幾度となく被害を受けては治水事業を行い、今日まで至っている経緯があります。忘れかけた頃に水害に見舞われ、また家を建て暮らし、そしてまた被害を受けるの繰り返し。

浸水想定もあくまでも想定であり、今後想定を超える雨量が発生する可能性があるかもしれない。

そうした際に、果たして今ある都市のうち、中心街となるような経済を支える機能が集積する地域や人が多く住む地域はこのままでいいのだろうか。

本当に都市のあり方に間違いは無いのだろうかという疑問を抱くことが大切だと思うんです。

現在の都市の成り立ちをよく理解した上で言えよと言われそうですね。
今ある都市のうち大半は戦国時代から江戸時代初期にかけて形つくられたものが多く、400から500年程度の歴史がある考えればすごいと勘違いしてしまいそうですが、実際には、人口が爆発的に増えた戦後に急速に市街地が拡大したので、拡大したエリアは50年程度の歴史しかないと考えると歴史は大したことはありません。

今ある都市の中心がそこにあるべきだって、現時点の都市の構造から理論的に正しいとは言えても、それはあくまでも現状追認でしかなく、もっと大胆な考えを持っても良い時期に到来しているのかもしれません。今ある都市の構造に疑問を抱くことも必要じゃないかなと思うところ。

ですから、中心部を安全エリアに遷都することも、これからの都市づくり手法の一つとして考えるべきではないかと思っているところです。莫大な費用が発生することも承知の上です。

遷都すべきという考えではなくて、これからの都市づくりの手法の一つとして考えを持ち合わせるべきことなんだと思います。

治水を選択するのか都市の構造を変える選択をするのか、これからの都市づくりが進むべき方向次第で都市はいかようにも変わるような気がします。

少し上から目線なら恐縮ですが、都市計画は、現状を追認するだけものではなくて、将来こうありたい(あるべきだ)と思う将来都市の構造の具現化を図る手法だという事も、住民や都市計画担当者は認識しておくべきことなのかなと思います。

ということで今回は以上となります。

コラムみたいな記事ですが、考えるキッカケとなれば幸いです。

Photo by Bruce Tang on Unsplash