建築物の用途の制限が厳しいからと落胆しない!!(第一種低層住居専用地域)

この記事では、第一種低層住居専用地域内は制限が厳し過ぎて、上手に土地活用できないことが悩みと思っている方向けの記事です。

13種類ある用途地域の中で、最も制限が厳しいとされる第一種低層住居専用地域内での土地活用について、やまけんの思考に基づく土地活用を提案します。笑

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この記事を読むことで、今後、人口減少により土地需要が減った中において、第一種低層住居専用地域内どのように土地を活用を検討すればいいのか考え方の一つを身につけることが可能です。

それでは、簡単に話していきます。




落胆はしなくてOK

用途地域は13地域あるといいました。第一種低層住居専用地域は、13地域ある中で最も厳しいと先に伝えましたが、実は違います。

最も厳しいのは工業専用地域です。

工業専用地域工業専用地域の場合、工業の利便を高める地域ですので、住宅や店舗、飲食店を建築することはできません。工業専用地域であれば、工業用途としての活用が可能です。特に、危険物系を扱う建築物の用途の場合、工業地域や工業専用地域のみでしか建築できませんから、工業系用途地域であれば、工業の用途として活用できないか検討してみましょう。

それでは、ここから本題に入っていきます。

第一種低層住居専用地域だからという理由で落胆している場合ではないですよ?

この地域であれば、一戸建ての住宅、兼用住宅、共同住宅(アパート、マンション)、長屋(アパート)を建築することが可能です。

ですが、比較的規模の大きい物販店舗や飲食店などは建築することができないため、土地活用としては、住宅や老人ホームなどの住居系に限られることから、一般的には制限が厳しいと考えてしまいがちです。

ところがです。よーく考えてみて下さい!!

建築できる建物の用途が限られるということは、全国チェーン展開するような店舗や飲食店、さらに附属する見た目の悪い看板や、センスないの個人商店などが乱立して建築される恐れが最も少ないため、少しだけ手を加えることができれば、街並みを整えることができるということです。

美観と土地の関係

街並みが整うと、どうなるのか。結果的に土地の価値は上がります。

美観は土地の価値と相関します。

わたしの経験上から言えることですが、街並みが美しいと街区のブランド力は上がります。例えば、鎌倉や京都といった歴史ある街の一部では、その土地利用に関して一定の維持を図るため、土地利用には、外壁な色彩や形態意匠などをはじめ様々な制限を課していますが、周辺の都市よりも人気がありますよね。

ちょっと、少しだけ考えてみて下さい。

あなたはこれから、ある土地の売却を予定しているとします。

考えてみて

Aの土地:土地の価格は3,000万円、用途地域は第一種住居地域のため住商混在で街並みが整っていない。24時間営業している店舗もあり、夜間になっても周辺の交通量が多い。

Bの土地:土地の価格は3,500万円、用途地域は第一種低層住居専用地域のため住宅中心に立地しているが、地区計画が定められており、住宅系以外の用途を建築することができない。また、建物の色や屋根の形、塀などに制限が設けられており、街並みが統一されている。夜間は交通量が少ない

どちらを買いますか?

人によって価値観は異なるので、一概にBの土地を購入するとは限りませんが、ここで言いたいのは、どちらを買いたいかということではありません。ポイントはこれです。

『Bの土地の価格はAよりも高く設定できる理由がある』と言う点です。

逆に『Aは価格を上げる明確な理由が無い』ということです。理由が無いのに価格が周辺土地よりも高いと言うことは、買い手から購入候補地から避けられてしまいがちです。

土地活用において重要なポイントは、制限を設けることで、土地(一街区単位)に希少性を持たせることです。

ちなみに制限とは、自分の建築会社じゃないと建築できませんよという建築条件ではありません・・・建築物・付属する門・塀などの意匠(外観)、並びに用途に制限を設けることです。

よく間違った解釈をする人がいるんですが、建築できる建物の用途が制限されると、土地の価格が下がるという考え。もちろん、市街化を促進しない”市街化調整区域”であれば当然のことなんですが、全ての土地に適用される考え方ではありません。

自分を基準にして考えると残念な考えとなってしまいます。

様々な用途が建築できれば、買い手候補者も増えるという考え方が絶対に正しいというわけではないですね。こ一定の条件というのがポイントなんですが、簡単に言うと、あなた活用しようとする土地は全国に敵がいっぱいるんです。

レッドオーシャンの中でも魅力を高める

敵は少ない方がいいですよね。

コアな買い手にダイレクトに響いた方が安売りする必要がなくなります。

制限していくことで、敵を少なくしていく感じです。もちろん買い手は少なくなりますが、ターゲット層を広げるいいです。

ちょっと難しいかもですが、自分基準ではなくて、買い手の気持ちになって考えてみるといいですよ。買い手全員が一律に単純な土地を考えているわけでは無いです。

不動産売買でも『準工業地域のため何でも建築することができます!』と書いている場合があります。それって、本当に買い手に届いていると思いますか?

わたしなら、何でも建築できるなら、隣地に工場できたら住環境も変わってしまうし、嫌だなと単純に思ってしまいますけどね。

その場合には、準工業地域のリスク(なんでも建築できる点)を広告に打った方が信用が増して、買い手がつきやすいですよ。

これから急速な人口減少によって、世帯数も減少することながら、国内のマーケットも縮小して店舗や飲食店の数も少なくなることが考えられる、つまり、土地を求める総数が少なくなるんです。その中で、全国の売り手を相手に勝負している場合ではありません。

だからこそ、第一種低層住居専用地域ではそもそも建物用途が制限されている数が多いので、さらに制限を設けることが可能となる点を有効に活用にすることができるんです。

ただし、難点があるんですけどね・・・

難しい点

先ほど述べたケースでは、小規模土地(50から100坪程度)だけでやっても効果はありません。

第一種低層住居専用地域内において法律以上に用途等の制限を設けるには、地区計画や建築協定を行うのが妥当ですが、これを行うには、比較的規模の大きい1街区(0.5ha以上)単位じゃないと意味がないんですよねー。

だって、美しい街並みは、美しい建築物と敷地が整然と並ぶことで初めて価値が生み出されますから。

そのためには、基本的に地権者全員の合意を得る必要があるので、方法としては、土地を購入するための資本が必要です。

資本以外を使うのであれば、行政と一緒になって街並みを整えるまちづくりをやるしかありません。

次のnoteでは、行政と一緒になって街並みを整える手法をお伝えします。
*現在、準備中

本記事のまとめ

第一種低層住居専用地域という理由だけで、土地活用ができないと落胆するのは間違いです。

制限されるからこそ、希少性を高めることで、街並みのブランドの向上が可能です。

でもこの話って、めちゃくちゃ大変そうと思って、誰もやらないですよね・・

つまり、そこはブルーオーシャンです。競合相手は少ないですよ。

ということで今回の記事は以上です。どなたかの参考となっていれば幸いです。

Photo by Luis Quintero from Pexels






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YamaKen都市計画(まちづくり)を通じて都市を美しくしたい人
【資格】1級建築士、建築基準適合判定資格者、宅建士など 【実績・現在】元役人:建築・都市計画・公共交通行政などを10年以上経験 / 現在は、まちづくり会社を運営:建築法規・都市計画コンサル,事業所の立地検討,住宅設計など