建築基準法と都市計画法の違いを知る

今回の記事
建築基準法と都市計画法は何が異なるのか

上記の悩みに答える記事です。

初めて両法に触れる方は、なぜ、二つに法律によってまちづくりのルールが定められているのか謎と考えると思います。

『建築』の立地をコントロールするという点では両法とも共通してますが、性質が異なります。

それでは、解説していきます。




両法の性質の違いのまとめ

両法を比べること自体が愚かな考えです。笑

はい。すみません・・・

以前、私の職場の先輩で次のように言っている人がいました。

”『都市計画法』は『建築基準法』の上位法で、都市計画法で決められたことの一部を建築基準法で行っているに過ぎない。”

なわけあるか!

愚かな考えだなと思っておりました・・・笑 否定してすみません。

都市計画法と建築基準法の歴史を知らないから、このような愚かな考えになるわけです。

実際は、両法の性質は異なりますし、そもそも上位と下位の関係にあるわけではありません。では、どのような制限なのか解説していきます。

都市計画法は、主に、都市の健全な発展を促すため、日本の国土の3割に満たない範囲に指定されている都市計画区域内における道路や公園、下水道といった基盤整備を行うとともに、地域地区や地区計画等を指定することにより建築物の用途ごとによる立地制限や誘導を行うものです。

一方で建築基準法は、全国一律に建築物の規模や用途に応じた構造等の最低限の基準を示すとともに、都市計画法に基づき市街化区域内において定められた用途地域や防火地域などに基づき、建築物の立地や構造等の制限を行うものです。

都市づくりを進めていく上では、都市を構成する商業、福祉、医療等の都市機能や住宅について、住環境を確保しつつ都市機能を増進させるためには最適な都市環境を構築する必要があります。

そのため、市街化区域内のうち、エリアごとに建築できる用途を制限することで、適切に住環境を確保しつつ商業や工業の立地を促進させることで、無秩序な乱開発を抑えながら経済と都市環境を両立させながら発展させることが必要となるわけです。

下図は、都市計画法と建築基準法において建築物の立地制限(基準)等について簡単に模式図として記載したものです。

都市計画法と建築基準法や異なる区域によって役割が明確に別れています。

特に、市街化調整区域内の建築については、都市計画法が立地基準の役割を果たしており、建築基準法ではこの立地基準は建築基準関係規定として建築確認申請時に確認することのみとなっています。一方で、都市計画区域外の建築については都市計画法の効力は及ばないため、都市の交通や経済などに影響を与える大規模な商業施設等の立地制限を建築基準法において担っています。

また、市街化区域内の建築においては、都市計画法で定められた用途地域が指定されると同時に建築基準法において建築物の用途の制限が受動的に行われるように規定されています。中には特別用途地区のように建築基準法において条例化が求められるものもありますが、基本的には用途地域の考え方のように都市計画法で規定されることにより、都市計画法のみでは実行力は発生せず建築基準法によって適用されるようになります。

なお、都市計画法で定められる地区計画については、地区計画の指定のみであれば、届出制度による緩やかな制限や誘導となりますが、この地区計画を建築基準法において条例化することによって、法的な拘束力を持たせることも可能となっています。


*建築物の立地制限(基準)に関する都市計画法と建築基準法の規定

このように建築基準法と都市計画法は密接に関係しており、両法に基づく手法によって都市づくりが行われているということが分かると思います。

ただし、建築基準法は建築物自体の構造や防火といった視点における安全性を担保するために、全国一律に適用される単体規定を整備しており、この点については都市計画法と大きく性質が異なります。また、都市計画法では、市街地の道や公園などの公共施設が不足したり狭隘な道路が整備されたりしないよう開発行為に関する規定(宅地造成等にかかる技術基準)が設けられています。

なお、開発行為については一般的に1,000(三大都市圏だと500)㎡以上とされていますが、1,000㎡を超えない宅地整備については、最低限の道路が整備されるよう建築基準法において道路位置指定(建築基準法第42条第1項第5号道路)という道路の整備に関する技術的基準が設けられています。

次に事例として一つの例を考えてみます。

事例で両法の役割を考える

ある市街化区域内の地域(街区)では、街並みの景観を整えるとともに住環境保護の観点から住宅以外の用途を排除したり高さや色彩の制限を設けたいと地域住民は考えています。このケースでは、4つの手法が考えられます。

  1. 建築協定・・・特定行政庁(知事・市)が認可
  2. 地区計画・・・市町村による都市計画決定
  3. 地区計画(建築基準法による条例化)・・・市町村による都市計画決定・建築基準法
  4. 任意協定・・・地域住民の取り決め

 

いずれも定めることができるルールは一緒ですが、公信力があるのは1〜3、さらに実効性を確実に担保できるには建築基準法における確認申請時にチェックされる3となります。

ただし、2と3については市町村が決定を行うため、それなりに理由が必要となります。

1については、地域住民が決めたルールを特定行政庁が認可するだけなので、そこまでハードルは高くないですが、その後の運営に難があります。運営ルールを明確に定めて持続性のあるものにしないと、あっという間に紙屑になります。

その分、市町村が決定したものについては、行政側でチェックするので将来にわたり持続させることが可能です。

両法によるこうしたまちづくりのルールは、同じ内容で定めることができるようになっているものの、拘束性や運営といった面で異なってきます。地域の条件によって手法の選択は異なりますから一概にこれが正しいということはないものの、両法があることによって、まちづくりを進めることができるが点がとても重要です。

最終的な本記事のまとめ

都市計画法と建築基準法の違いを考える事自体がナンセンスだということが理解できたでしょうか。
違いがあるという概念を捨て、都市をコントロールするために両法が協調するように規定されていると思って頂くのが良いです。

とはいえ、そんな私も一点だけ気になる点があります。それが、市街化調整区域内における建築の許可に関する規定です。

市街化調整区域の立地基準については、原則として都道府県知事等の許可が必要となるため、建築基準法ではなく都市全体の土地利用をコントロールする観点から郊外の開発抑制を行うため都市計画法に規定しています。

建築物を制限するという点では、市街化調整区域であっても建築基準法第48条の用途地域内の立地制限とあまり大差がない規定なので、できれば、この規定は建築基準法に持たせることも一つの手段かなと思うところです。
これから急速な人口減少によって、都市全体を見渡した土地利用のコントロールは重要性を増してきますから、検討する余地はあると思います。

それに、現在では、建築指導を行う部署と開発行為を指導する部署が一緒になり、指導している自治体の例を多く見るようになりました。つまり、実務上は法律の規定がスムーズな窓口運営に支障をきたしている可能性があるということです。

とはいえ、都市行政部局と建築行政部局は結構な縦割り行政なので、協力してまちづくりを進めるという点では少し難があります。『それは都市計画課です』、『それは建築指導課です』という考えがあると上手く進められないと思います。

ほんとちなみにですが・・・私の個人的な考えですが、建築職は貴重であるがゆえに、いわゆる優秀と呼ばれる方々は行政職に就きづらいと考えています。そのために、もちろん全ての人ではないという断りを入れると、安定を求める”The公務員”が建築職の半分以上を占めることで、組織の原動力かつ地域の自主性を阻害し、指導という名において権力を得たと勘違いし、都市行政部局と一緒になってまちづくりをやろうという意識が低い部分があるんだと思います。

自分のたちの住んでいる都市はまちづくりで前向きな行動をしていますか?今一度確認してみましょう。

前向きな行動している自治体はきっと良いまちづくりを進めているはずです。

 

それでは、今回の記事は以上となります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

Yanko PeyankovによるPixabayからの画像